記事提供:TOCANA

オックスフォード大学といえばイギリスの名門中の名門大学で、ケンブリッジ大学と人気、名声、実力ともに二分する超難関大学である。しかも、オックスフォード大学の入試は、その難しさでは群を抜いているといわれている。

その、オックスフォード大学の入試問題の一部が、模範解答例とともに公開されている。イギリスの「Daily Mail」紙のレポートを見てみよう。

■オックスフォード大学の入試問題

オックスフォード大学へ入学を希望する学生は、国内で最も競争率の高い試験を突破しなければならないが、その試験そのものが単に難しいだけと誤解されているところもあるという。

入試担当部の部長でもあるサミーナ・カーン博士によれば、オックスフォード大学の口述試験は、受験生の生い立ちや家庭環境に関係なく、与えられた問題に対して、どういう興味を示し、その興味を他社にどう見せることができるかを公平にはかるものであるという。

現代言語学科、医学科、哲学・政治及び経済学科、数学科、臨床心理学科の各問題を見てみることにしよう。

質問:何をもって小説もしくは戯曲を政治的と判断するか?(現代言語学科)

学寮制を実施しているオックスフォード大学だが、そのセント・ヒルダ・カレッジの面接官であるヘレン・スイフトさんによれば、口述試験では、受験生がいかに文学と言葉を意識しているかを知るために、特定の作品の話題からはじめていき、普遍的なモノの捉え方の質問に移っていくという。

そこに正答が存在しているわけではなく、作品の内容が政治的あればなぜそうなのか、それともスタイルが政治的なのか、そもそも文学作品はすべて政治的な要素をはらんでいるのか、どれほど政治的なモノであっても著者が政治的な意図はないとしたらどう判断するのか、といったさまざまな議論の中での受験生の対応を探ることが口述試験の目的だという。

議論の中で自身の意見を発展させていくことができる学生は有望で、当初の自身の発言と矛盾するような内容についてまで論理的に展開させることができるような学生は特に優秀であるらしい。

質問:イギリスでの癌による死亡は4人に1人であるが、フィリピンでは10人に1人である。何がこの差を生じさせているのであろうか。(医学科)

クイーンズ・カレッジのクリス・ノウベリー氏によれば、この質問に対する正しい解答はひとつではないとしている。

質問に対してどう論理的、科学的にアプローチをかけて、イギリスとフィリピンの医学的、社会的背景の差を考え、答えに近づいていこうとするかの姿勢が問われているということである。

問題解決能力、批判的思考力、知的好奇心、コミュニケーション能力なども、ディスカッションの中で判断されていき、正しい答えを導き出すよりも、その思考の過程のほうが重要視されるとのことである。

質問:誰かを非難するということはどういうことか正確に考えなさい。(哲学・政治および経済学科)

セント・アンズ・カレッジの面接官イアン・フィリップ氏によれば、この質問には答えがない代わりに、例や提案を創造して提示できるかどうかを見ることができるという。

多くの学生は非難する人間と非難される人間の例をあげながら理論を展開していくが、その中でも独自の理論を提案し、そしてさらに批判的な視点で自分の提案の反例を提示できるような学生を高く評価しているという。

質問:ハシゴが壁に立てかけてある。ハシゴの段はそれぞれ違う色に塗り分けられていて、横から見ることができる。このハシゴが地面に倒れた時、それぞれの段はどういった軌跡を描くか?(数学科)

クライスト・チャーチ・カレッジのレベッカ・コットン=バレットさんによれば、数学の口述試験では、具体的な事象から抽象的な理論を導けるかどうかが合格の鍵になるという。

倒れてゆくハシゴを段階に分けて図にしていけば、軌跡は4分の1の円弧を描き、三平方の定理を利用して簡単にその数値を知ることができるが、そこからどういった数学的な抽象論を導き出していくかを見ているということである。

質問:IQテストの結果調査では、兄弟姉妹でテストを受けた際に多くの場合年長者のほうが高いIQを示している。どうしてこういう結果になるかを考えなさい。(臨床心理学科)

セント・アン・カレッジのケイト・ワトキンさんによれば、この問いからいかに多くの心理学の要素を捉えることができるかを見ているという。

口述試験中に面接官がさまざまな要素や、条件などを次々と提示していき、それを踏まえてどういった回答をしていくかが判断基準になる。

自分が導き出した回答に、科学的、論理的な理由付けがなされ、仮説を検証し結論にたどり着くことができる受験者が合格に近いということになる。この質問にも正答はなく、重要なことは、いかに科学的な態度で仮説を導き出したかということである。

どの学科においても、正しい答えを導き出すことが合格の必要条件ではなく、そこに至るまでの過程を重視しているように感じる。

日本の入試では、より早く、より正確に正答にたどり着くことが絶対の正義であるが、どうやらオックスフォード大学ではそうではないらしい。

どちらの入試システムがよくて、どちらが悪いというものでもなく、東大生とオックスフォード大生のどちらが頭がいいかと比較をしても仕方がないのであろう。単に“違う”だけなのか、特別な意味を有するのか――。

何年、何十年か先にそこで学んだ学生たちがどうなっているかで判断するしかないのかもしれない。

出典:Daily Mail

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