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「タバコ1本12分」。これはタバコに含まれる発がん性物質によって縮まる寿命です。人間が何かをしたり、何かを口にしたりした時、それがどれだけのリスクがあるかを寿命の減りで示したものを「損失余命」といいます。

『それで寿命は何秒縮む?』(半谷輝己/すばる舎)は、普段は気にすることがない私たちの習慣や食事にひそむ健康リスクを「損失余命」というものさしを用いて紹介しています。著者の半谷輝己さんは福島県出身。

あの東日本大震災による原発事故の風評被害を体験し、不安を抱えた消費者に専門知識を伝える活動を通じて、「損失余命」という考え方にたどり着いたそうです。食事の中の健康リスクを知ってしまうと、「毎日の食事が安心して食べられなくなる」。

そう思うかもしれません。しかし本書では、そうした不安を払しょくする正しい知識を教えてくれます

コーヒー1杯 20秒

1979年、米国ピッツバーグ大学のバーナード・コーエン博士は、コーヒーに多く含まれるカフェインが膀胱がんの発生率を高めるという論文を発表しました。昔からコーヒーは胃が荒れる、小さな子供や妊婦には飲ませてはいけないといわれています。

確かに頷ける話ですが、コーヒーの効能については、いまも研究者たちの論争が行われています。

日本の国立がん研究センターでも、コーヒーを飲まない人より、1日に3~4杯飲む人のほうが心筋梗塞、脳卒中、呼吸器の病気による死亡リスクが低下するという研究成果を発表しています。そもそも損失余命は、リスクのみを考慮した指標。

ものによってはリスクを相殺して寿命を延ばすメリットもあるのです。コーヒーについては1日4杯程度に抑えておけば、むしろ健康に良いと考えられるそうです。

ソーセージ1本 25秒

昨年、WHO(世界保健機関)が「加工肉や赤身肉には発がん性がある」と発表して話題になりました。加工肉をたくさん食べている人は、大腸がんの発生率が高くなるというのです。

日本でも食の欧米化が進んだことで大腸がんが増加しており、「がんの死亡数予測(2015)」(国立がんセンター)で女性では1位、男性3位になっています。しかし大腸がんは早期に発見しやすく、がん検診を受けるだけで死亡率が60%減少し、

発病した場合でも生存率が70%前後ある「治るがん」なので、極端に怯えなくともよいのです。

育ち盛りの子供にとっては、身体を作るのに必要不可欠なタンパク源であることはかわりません。とり過ぎに注意すれば、無理に食事から排除する必要はないといいます。

白米お茶碗1杯 39秒

「まさかお米にも健康リスクが!?」と驚きですが、お米は成長の過程で土壌の無機ヒ素を吸い上げてしまう性質があります。しかし、実際には1キロあたり平均で0.1~0.2ミリグラム程度。

これまで日本国内でお米の無機ヒ素による健康被害の報告はなく、流通している作物は国や地域の検査機関が常にチェックをしているので「安全」なのだそうです。

「安全」は過去の研究データや検査結果で証明することができますが、「安心」は消費者が「大丈夫」と納得しない限りは達成できません。「安心」のラインをどこで線引きをするか、最終的には個人の問題だと語っています。

残留農薬・食品添加物1食 ほぼ0秒~最大10秒

こちらも予想外ではないでしょうか。農薬や食品添加物はとくに身体に悪いというイメージですが、国や地域が定めた基準値以下であれば、健康被害を起こすほどの摂取量にはならないといいます。

しかし少なからず毒性があるのは確かで、人によってはアレルギーを起こすこともあるため個人の体質にあった摂取を考えるべきとしています。

また近年では健康志向の高まりとともに家庭菜園で野菜を育てる人も増えていますが、なかにはプロの農家が使わない危険な農薬を知らずに使っている人もいて、スーパーなどで売っている農作物よりも危険であると訴えています。

私たちの寿命は1日2時間延びている

私たちの食事や習慣はどれもこれも「損失余命」だらけです。しかし悲観的にならなくても大丈夫。何故なら日本人の平均寿命は1日あたり2時間ずつ増えているのです! これは食事や習慣のリスクだけではない、プラスの効能のトータルと考えられています。

つまり私たちには毎日2時間分の貯金があるのです!損失余命の合計が1日2時間を超えなければ、私たちの寿命はどんどん延びていきます。そう聞くと、毎日の無駄遣いをやめて、どうやって寿命を貯めようかなと考えてしまいますね。

みなさんも「損失余命」で、健康の家計簿をつけてみてはいかがでしょうか。

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