記事提供:長谷川豊 公式ブログ

大学時代からの友人とお茶をする機会があり、先だっての僕の騒動について3時間ほど話し合いが出来ました。

彼女はとにかく性格がよく、面倒見がいいことから学生時代から僕たち男子学生に人気で、結婚して母親になった今でも変わらずに面倒見がいいというか…こういう状況になった僕が気になったのでしょう。

今は名古屋に住んでいるそうですが、東京に仕事に来るチャンスに、僕に声をかけてくれたのです。

そこで彼女に言われた解説は、今回の一連の騒動をとてもよくまとめてくれており、僕自身がとても納得できるものでした。

今回の一連の騒動では、世間の一般的な評価と、ずっと僕のブログの読者でいてくれていた皆さんとの「温度感」がとても違うことが気になっていました。

「多くの透析患者」を「誹謗中傷」した。

まず、世間は僕を上記のように表現します。「多く」の透析患者に対して「誹謗中傷」した、と。

言うまでもなく、これは間違っています。

何度も改めて読み直しておりますが、そもそも僕のブログ記事は米印で注釈も打っているように「ごくごく一部」のモンスターペイシェント(態度の悪い患者)に対して書かれているのであって、問題と言われた9月19日のブログであっても、文章中に何度もその注意書きが記してあります。

こちらのブログに寄せられている多くの僕を擁護するコメントの通り「長谷川さんは一部の人にしか言っていないじゃないか!」というコメントは、やはり間違いありません。

僕も何度も読み直していますが、確実にそれは「理屈上」はあっています。

実際に何人の弁護士先生にも確認させてもらっていますが、「米印までつけて注釈を打っている以上『ごく一部の患者』に対して文面であることは確か」という確認は全先生方が認めてくださっています。

しかし「多くの」透析患者を「中傷した」と言われています。

また「中傷した」というコメントも、僕はありえないと考えています。

僕も何度も何度も読み返しています。しかし、どう読んでも「社会保障制度への警鐘」以外は書き込まれていません。これも「以前からの僕のブログ読者」がコメントでも多く擁護してくださっているところです。

そして、繰り返しますが「文面上」は、やはりそれで合っているのです。僕は一度だけでも短い文章でもなく、何度も繰り返し、日本の社会保障制度の未来を憂う文章をつづっています。

どこをどう探しても「透析患者のバーカ、バーカ」と書かれている文章などは存在しません。

こちらも弁護士先生に確認させていただきました。僕の文章は「透析患者への誹謗中傷」には「確実に該当しない」旨、確認が取れています。

しかし、未だに僕を誹謗し、攻め立ててくるコメントが後を絶ちません。

メディアの中でも、未だに「透析患者を誹謗中傷した長谷川が…」と記事を書いているサイトもあります。

もちろんこれらの記事に対しては、今後、文章を改めてもらうように要請していくつもりですが、それ以上に今回、僕には解き明かしたい「興味」があったのです。

なんで、こんなに多くの「誤解」や「誤読」が生まれているのか。

もちろん、ただの「長谷川嫌い」「長谷川ヘイト」が非常に多いことは確かです。僕の評判が落ちればそれで嬉しいだけの人間も少なくないのでしょう。

文章自体を読まずに、ネットニュースのタイトルだけを見て、感情的になっている人もかなりの割合いるのでしょう。

なんでここまで文章を読まないのかな~…。

正直に言って、そんな戸惑いがずっとあったことは確かです。

ですが、そんな僕に大学時代の友人が話してくれた解説は、本当にあまりにもよく理解できるものでした。

「ハセ、言葉には『意味』と『力』の2つがあるんだよ」

「ネットでは強い文言なので『殺せと言った』ばかりが言われてるじゃない?」

彼女は僕に話し始めました。ちなみに彼女は、学生時代は同じ放送研究会のアナウンスの部門にいた同志です。

母親となった今でも、アナウンスの仕事を続けているだけではなく、ペンネームを使って自分の読んだ本の感想などをサイトに書く仕事もしているようです。

そんな彼女はさすがに僕と同様に…いえ、それ以上に「言葉」に対してこだわりのある人なのです。彼女の言葉はとてもまとまっていてわかりやすかったので、記憶している限り、言われたままに綴ります。

「今ネットでは、ハセの『殺せ』と言ったってことばかりが強調されてるじゃない?確かに、あの言葉は絶対に使っていい言葉ではないんだけれど、実は印象を絶対的に悪くしたのは、そっちじゃないと思うんだよね」

「え?どういうこと?あの言葉以外に何かあったっけ?」

「まずかったのはね…『自業自得』という表現だと思うよ?」

「一部のモンスターペイシェントに対して使ってる言葉だよね?問題行動をする患者は…俺は今でも自業自得だと思うんだよね」

「ハセ、言葉には『意味』と『力』の2つがあるんだよ。ハセがタイトルに使ってしまった『そのまま殺せ』っていう言葉は、ハセが言うように『実はそんなこと本気で言ってない』って多くの人が分かってる。でもね、その前に使っている『自業自得』っていう言葉、これはハセが思っているよりもずっと残酷な言葉なんだよ」

「ふむふむ」

「『自業自得』っていう言葉は『落ち度のある人がその分の責任を背負う』っていう意味はあるけれど、それはあくまで『辞書の上の意味』でしかなくて、言葉の持つ『力』というか『影響』というか…『自業自得』っていう言葉はね、『真面目な人にこそ刺さっちゃう言葉』なのよ」

「ん???」

「人間なんて、どんな人であっても、どこか「自業自得」な部分を背負ってるわけ。でも、本当はハセが攻めたかったモンスターペイシェントは…むしろ、そんな自覚はない人たちなわけ」

「確かに…俺が目にした患者はそんな感じだった…」

「でも、ハセの使った『自業自得の人工透析患者』っていう表現は、ハセが攻めたかった『モンスターペイシェント』ではなくて、本来であれば、ハセが守りたかったはずの『真面目で責任感が強い誠実な患者さん』にこそ刺さっちゃう言葉なの」

「…あ…」

「私も、かなり自分で抱え込んじゃう人間だから、よく分かる。『自業自得』って言われちゃうと『そういえば、あの時の自分がダメだったかも…』『あの時、こんなこと出来たかも…』って、とてもつらい気持ちになる言葉なのよ。ハセは本当はそういう真面目な透析患者を救いたいからあのブログを書いたんでしょ?」

「そうだ。このままだと、絶対に政府は『透析患者は一律で1割負担』って言い出す。もう目の前まで来ていることは間違いないんだ。だからこそ、どこかで線引きして、他の患者にまで迷惑をかけるモンスターペイシェントは切り離す努力が必要だと訴えたかった」

「そう伝わらないんだよ。『自業自得の透析患者』ってタイトルを打った段階で、真面目な人ほど『あぁ、私は責められている』『そういえば自分はあの時、一度だけ薬を飲み忘れていた…』って自分の落ち度を探し始めちゃう。そんなミスくらい、ほとんどの患者が抱えちゃってる。だから、大半の透析間やそのご家族が『長谷川さんは私を自業自得だと責めている!』「私は自業自得だから死ねと言ってきている』って受け取っちゃう。真面目な人ほど、強くそう思うの」

「…それは…」

「私も文章を読んだけれど、確かに文中にちゃんと注釈はあるよ?でもタイトルは文章の顔だから、そのタイトルを読んだだけで、もう、悲しい感情が溢れちゃうんだよね。で、冷静な感情で文章を読めなくなっちゃう。ハセは『多くの患者は治療費を全額出してでも救うべきだ』ってちゃんと書いているけれど、その文章までもう持たないんだよね。辛くなりすぎて…」

「…ぐむむ…それは…」

「言葉には『意味』だけじゃなくて、その言葉が持つ『力』があるんだよ。『自業自得』っていう言葉は真面目な人を、とても追い込んじゃう『力』を持った言葉なんだよね。理論上はハセの言ってることも間違っていないので、例えば裁判とかになったとしたら、ハセの言い分は通るかもしれない。でも、あのタイトルのつけ方はハセの言いたかったことが全然伝わらない。受け取る側も人間なんだから。あのタイトルはやっぱりたくさんの人を傷つけたんじゃないかな…」

情けない話ですが、彼女の言うことには一言の反論もできませんでした。

彼女の言う通りです。

言葉には『意味』と『力』が存在します。

なので、ペンは剣よりも強い暴力となるときがあるのです。言葉の持つ攻撃力が相手を突き刺すからです。

そんなことは、アナウンサーである僕こそが、誰よりも分かっていなければいけないことでした。

僕は『自業自得の透析患者』という表現を、自分の取材したときに目にしたモンスターペイシェントに対して使っています。そして、その説明は文中に二度も三度も書かれていました。

なので、全員、それをちゃんと読み解いてくれていると勝手に考えていたわけです。だって注釈つけてるし~~と。

しかし多くの真面目な…一般的な患者さんの誰の心の中にでもある「自業自得」の概念。全くモンスターペイシェントでも何でもない患者さんの多くやそのご家族に『長谷川は自分に対して殺せと言ってきた』という誤解を与えてしまったわけです。

だって「自業自得の透析患者」とタイトルに書かれているから。

「自業自得」という言葉がカバーする範囲が広すぎたのです。これが、あのタイトルがもっと正確に…。

「医師の言うことも聞かず、看護師のお尻を触って喜んでいるような不良患者は、他の患者さんへの迷惑だ!そんなやつら、全額自己負担にせよ!そんな連中が『俺らの医療費は国が払いやがれ』と言ってきたなら、そんなバカ、そのまま殺せ!このままじゃ日本の医療制度は崩壊だ」

という文言だった場合…確かに何の問題も起きていない可能性があります。確かに、彼女の指摘するように『殺せ』の文言がそのままの意味でないことも伝わりやすくなります。もっとも、それでも「殺せ」はよくないのだけれど…。

僕は今回、大切にしてきた多くの仕事を全部失ってしまいました。

大切な仲間たちに、多くの迷惑をかけてしまいました。

僕の唯一の武器である「言葉」で沢山の人をいやな思いにさせてしまったためです。

今は逃げずに向き合うべき。

そして、何があっても言葉のミスをしないように、しっかりと成長すべき。

わざわざ名古屋からありがとう。大切な友人に心からの感謝を込めて。

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