2015年のナショナル・ジオグラフィックの調査によると、世界で約9800万人の児童が労働に従事していることが明らかになっています。そのうち59%の児童は、健康被害や怪我の恐れなど、危険で苛酷な環境での労働を強いられています。

世界の国でみると、アジアや南米、北アフリカと比較して南アフリカの児童労働は21%以上にもなり、数値が高ければ高いほど人身売買などの人権問題が深く絡んでいるという大きな社会問題にもなっています。

西アフリカの共和制国家セネガルでは、教育を受けさせるために親が送り出したはずの子供たちが、路上で物乞いをさせられ奴隷のような生活を強いられているとして問題になっています。

「タリベ」と呼ばれる子供たち

狭く不衛生な環境で雑魚寝状態の子供たち。セネガルの首都ダカールにあるイスラム教の学校「ダーラ」では、「タリベ」と呼ばれる子供たちが寝泊まりを共にしています。寄宿学校といえば聞こえはいいですが、食べ物不足のために子供たちは朝から市内へ物乞いに出させられるという生活を送っています。

お金や米を集めに歩く子供たち

出典 https://www.youtube.com

この名ばかりの学校では、朝から子供たちを市内へ送り出し、子供たちは裸足で何時間もお金や米を求めて家々を訪ねて回ります。学校であるならば、教育を受けるのが普通。しかし、子供たちの通う「ダーラ」では物乞い以外にさせられるのは、コーランを暗記することだけ。自分たちが思っていた教育とはまるでかけ離れた生活をしています。

1日に8時間も物乞いに歩かされる子供たち

出典 https://www.youtube.com

下は3,4歳ぐらいの幼い子供も含まれているとされ、毎日、長時間歩いて家から家を訪ねるのはかなり大変です。セネガルの平均日給が4ドル(約400円)であるにも関わらず、子供たちはそれと変わらぬ金額を得てくるようにと学校の「マラブー」という宗教指揮者から指示されます。

出典 https://www.youtube.com

時には車に乗っている人から恵んでもらうことも…。物乞いで得たお金やお米は、学校へ帰るとマラブーに徴収されます。物乞いの量が少ないと暴力を振るわれることもしょっちゅうというのですから、これは間違いなく「児童虐待」に当たるでしょう。

マラブーから叩かれる子供たち

奴隷のように鎖に繋がれている子供も…

ショッキングな光景を目の当たりにしたのは、マリオ・クルスさんというポルトガル出身の写真家です。彼は去年、ようやくセネガルの子供たちの実態を撮影することに成功しました。その様子が米紙『the Washington Post』に掲載されていますが、どれも痛々しく2016年という現代に、学校とは名ばかりの場所で子供たちが奴隷扱いされているという現実に胸が痛みます。

子供が鎖で繋がれているのはもちろん逃げないようにするため。子供たちは物乞いとコーランを暗記することだけを強制されています。イスラム教が浸透しているアフリカでは、子供たちが幼い頃からコーランを覚えるのはごく一般的だと言われています。

しかし、教育を受けさせると称してコーランの暗記と物乞いだけの生活は「学校生活」とは言えません。

親と約束したのに…現実の違いに失望する子供たち

「ダーラ」の中には、何百キロも離れた家からここに着ているという子供たちも少なくありません。約5万人の子供の親は「学校で勉強できる」と信じて子供を「ダーラ」へ送るのです。ところが現実は物乞いの暮らし。それを知った親は失望を隠せません。

児童への虐待も後を絶たず

アイロンを押し付けられたり叩かれたりと暴力に耐えている子供たち。学校の衛生状況も最悪で、地面に穴を掘っただけの場所がトイレとなっているために虫が湧き、子供たちは年中ダニに噛まれているといった状態だそう。

出典 https://www.youtube.com

コーランを暗記させられる子供たちは、覚えが悪いとまたマラブーに暴力を振るわれます。

「物乞いさせなきゃ、食べていけないじゃないか」

出典 https://www.youtube.com

マラブーの一人は「家族は無責任だ。子供たちをここに送り付けて知らん顔だ。食料不足だからこれだけの子供たちの面倒なんて見られない。だから食べるためには物乞いをしなきゃいけないんだ。物乞いをするということは、精神も鍛えられるし悪いことではない。仕方がない状況だからそうしてるのだ」と主張します。

ヒューマンライツウォッチ(Human Rights Watch)はセネガルの「ダーラ」と呼ばれる学校で起こっている問題を深刻に捉えています。「中には、10歳未満でここに送られて、マラブーや年上のタリベに性的暴行を加えられたりしている子供もいる。マラブーの子供がタリベをレイプするケースもありました」と2014年の一件を振り返って語りました。

「このケースでは、マラブーに脅されて結局タリベは泣き寝入りです。」こうした人権問題は、更に人身売買にも繋がってきます。「ダーラ」では収益を上げるために人身売買組織からの斡旋で、他国から子供たちを買うマラブーも存在するのだとか。

人身売買が法的に禁止されてはいても、闇をくぐって子供たちを犠牲にする大人は絶えることがありません。知らない間にここに連れて来られたという子供の中には、自分がどこかた来たのか、家族はどこにいるのか全くわからない子供も…。

また度重なる暴力のせいで、タリベの中には「夜、怖くて眠れない」という子供や、既にトラウマにより苦悩を抱える子供たちも少なくない様子。

「子供を奴隷化させるのは間違っている」

マラブーの中には、子供の人権を優先してそのように発言する人もいるそう。しかし、ほとんどの「ダーラ」では、児童の人権はことごとく無視されているのが事実。

子供たちには教育が必要であって、泣きながらコーランを暗記させることが大切かというとそうではないのだというのが児童の人権を守る団体の主張です。とはいえ、セネガルのショッキングな現状を変えることができるのかというと、それには今後も計り知れない時間と努力が必要なのでしょう。

日本に住む人から見ると、世界のどこかで子供たちが満足な教育を受けることができずに、学校機関から奴隷同様の扱いを受けているという事実はショック以外に他ならないでしょう。

しかし、2016年という時代であってもこのような現実が地球の裏側で存在します。ヒューマンライツウォッチはこれからもこのような子供たちの人権を守るため、活動を続けていきます。そしてその活動を通して、同じ地球上で起こっていることを私たちが知るということはとても大切ではないでしょうか。

出典 YouTube

この記事を書いたユーザー

Mayo このユーザーの他の記事を見る

公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

得意ジャンル
  • 話題
  • 社会問題
  • 動物
  • 海外旅行
  • 育児
  • テレビ
  • カルチャー
  • 美容、健康
  • ファッション
  • 感動
  • コラム
  • おもしろ

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス