記事提供:favclip

10月13日、アメリカの歌手ボブ・ディランへのノーベル文学賞授与が発表されました。

同賞をミュージシャンが受賞するのは史上初ということもあり、オバマ大統領もツイッターでお祝いのメッセージを送りその快挙を祝福するなど、大きな話題を呼んでいます。

しかし、賞の授与を決めたスウェーデン・アカデミーがボブ・ディラン本人へ受賞の意志確認と12月に行われる式典への出席確認を試みるも、なかなか本人と連絡がとれないという状況が続いています。

一方ボブ・ディランは、その間コンサートを行うなど通常運転中。ですが、この件に関しては頑なに沈黙を決め込み、本人からのコメントは一切発表されていません。

そのような状態にあって、ボブ・ディランが「賞を受け取るのか?」、それとも「辞退するのか?」。どちらの答えを選択するかに世界中の注目が集まっています。

過去に辞退は6人だけ。ほとんどが政治的な理由で辞退

今回のボブ・ディランの件で、「ノーベル賞って辞退できるの?」と思った人も少なくないはず。

実は、100年以上続くノーベル賞の歴史のなかで、これまで受賞を辞退した人は6人。そのほとんどは、政治的な理由で辞退しています。

まずひとりは、ソ連の小説家ボリス・パステルナーク。彼は、著作の小説『ドクトル・ジバゴ』の内容が反ロシア革命的と見なされ、ソ連共産党から強い圧力を受けてノーベル文学賞を辞退しています(1958年)。

また、ドイツやオーストリアのリヒャルト・クーン、アドルフ・ブーテナント、ゲルハルト・ドーマクは、ナチス・ドイツ政権により受賞を辞退させられました。

このように辞退者には、自ら進んで辞退するというより、「辞退せざるをえなかった」人が多いことがわかります。

そのため、後に情勢が変化した際に受賞したり、本人の没後に遺族へ賞が送られたりするなどして結果的に賞を受け取っている人もいます。

自ら意志を貫き辞退する人も

そんな彼らとは異なり、なかには自らの意思で辞退した受賞者もいます。

それは、1964年にノーベル文学賞を受賞したフランスの哲学者ジャン=ポール・サルトルと、1973年にノーベル平和賞を受賞したベトナムの政治家レ・ドゥク・トのふたりです。

サルトルは、受賞候補に自身の名が挙がっていることを知り、辞退の書簡をノーベル賞委員会に送付しました。

しかし、当時の郵便システムのトラブルなどもあって書簡の到着が遅れたため、賞が発表された後に辞退する形となりました。

その書簡のなかでサルトルは、辞退の理由を「私はどのような公的な賞も辞退してきた」と説明。

さらに、「いかなる人間も、生きながらにして神格化されるには値しない」という哲学者らしい彼の信念を感じさせる言葉で辞退を表明しました。

もうひとり自ら進んで辞退したレ・ドゥク・トは、ベトナム戦争でアメリカがベトナムから撤退することとなった「パリ条約」締結の功績が認められ、ノーベル平和賞を受賞します。

しかし同氏は、「まだベトナムの真の平和は得られていない」とし、ベトナム戦争の余波が残り、悲願のベトナム統一は道半ばであることから賞の受賞はふさわしくないという理由で辞退しています。

ノーベル賞という世界的かつ歴史的な名誉を自ら放棄し、信念や目的達成に邁進したふたり。その行動から生き様を感じさせられますね。

仮にこのまま辞退することになれば、約40年ぶりの辞退者となるボブ・ディラン。

さすがにこのまま無言で押し通すのは難しく、受賞するにせよ辞退するにせよ、何かしらのコメントをしかるべきタイミングで発表する必要があると思われます。

一体、どんなコメントが届くのでしょうか?

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス