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北野貴章(テレビ朝日チーフディレクター)/『しくじり先生 俺みたいになるな!!』

『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)の北野貴章チーフディレクターへのインタビュー企画。第3回では、“非常勤講師”としてこの番組にたびたび出演している「オリエンタルラジオ」の中田敦彦について詳しく聞いた。

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敵から同志へ…中田敦彦という男――「打ち上げにも絶対に来なかった」

――中田さんは深夜時代から『しくじり先生』に何度も出演されていて、今ではスピンオフ企画として『中田歴史塾』という別の番組まで始まりました。中田さんはこの番組にとってどういう存在なんでしょうか。

北野:最初はもう「敵」でしたね。もちろん僕らは敵だとは思っていなかったんですけど。ちょうど2年前の10月にこの番組が始まって、最初に一緒に授業を作ったときには、正直、中田さんは僕らに対して敵対心がすごくあったんです。

自分たち(オリエンタルラジオ)の人気が落ちてきている間に上がってきた若林(正恭/オードリー)さん、吉村(崇/平成ノブシコブシ)さんがレギュラーの番組で、自分たちが“しくじった人”として出てきて、過去のしくじりを話さないといけないわけじゃないですか。

構図としてはすごく悔しい気持ちが強かったはずなんです。

そんな中で出てもらったんですけど、その当時の中田さんは「最初にやった自分たちの授業がベストで、それ以降のこの番組はずっと右肩下がりだ。あとは落ちていけばいいんだ」って言ってたんですよ。

これ、最初は冗談で言ってるのかなと思ってたんですけど、半年後ぐらいにオリラジの単独ライブに行ったら、そこでもそれをめっちゃ言っていて。あっ、マジなんだ、って思って(笑)。

その後、深夜時代の最終回でまた中田さんに出てもらえないか、とお願いしに行ったときにも、「もう出し切ったから」って断られていたんです。

たぶん、中田さんとしても悔しかったのが、自分たちが出てから右肩下がりだったはずの『しくじり先生』が人気になって、ゴールデンに上がるということで。

「オレたちのプレゼンがすごかったんじゃなくて、コンテンツ自体がすごかったということを認めざるを得ない」って言っていて(笑)。それを番組の中で、自分で説明しなきゃいけないっていうのがまた悔しかったんでしょうね。

北野貴章(テレビ朝日チーフディレクター)/『しくじり先生 俺みたいになるな!!』

北野:ゴールデンに上がってから中田さんが先生役を務める「しくじり偉人伝」というコーナーを始めて。そこでもやっぱり若林さん、吉村さん、澤部(佑/ハライチ)さんとはポジションが違っていて。

生徒役の人はその収録がダメでも次があるけど、中田さんって一回一回のその授業がダメだったら二度と呼ばれない。中田さん自身はそういう感覚で収録に臨んでるんですよ。

僕自身は一緒にやっていきたいと思ってますけど、数字が悪かったりしたら、ダメだって言われちゃうこともありますし。そういう感覚でやってきたから、『しくじり先生』の打ち上げにも中田さんは絶対に来なかったんですよ。

だから、中田さんの授業のときには、ネタを選ぶところから他の先生とやるとき以上にものすごく練っていくんですよね。ネタ自体もちょっとハードなものを選んだりします。

あえて誰も興味ないだろ、みたいな偉人を取り上げたりするんですよ。毎回の授業で何かしら新しい要素を入れて、チャレンジしていこうって思っているので。

それでこの前、『中田歴史塾』っていう特番の企画が通って。あれは『しくじり先生』のスピンオフ番組ですけど、内容は歴史番組だし、中田さんメインの企画じゃないですか。

枠も違うし、新たな番組を作るぐらいの感覚だったんです。これを始めたときに、中田さんに対して僕が初めて「同盟を結びましょう」って言ったんです。

――同盟(笑)!

北野:緊張感のある関係でずっとやってきたんですけど、これからは同盟を結んで一緒にがんばっていきましょうよ、っていう話をして。それを受け入れてもらって、『中田歴史塾』をやったんですよね。

あの授業のオンエアが終わって、この前、中田さんと初めて打ち上げに行ったんですよ。それが僕としては良かったですね。他のメンバーとはちょっと違う独特の付き合い方があります。

まあ、『しくじり先生』では節目節目で中田さんと一緒にやってきているので、レギュラー陣と同じくらいこれからも中田さんと一緒にやっていきたいとは思っています。

『Perfect Human』で再ブレーク――「誤解されやすい人だと思う」

――最近、中田さんは『Perfect Human』の歌ネタで話題になったりして、オリラジ自体が再ブレークしているという評判もありますよね。その点について北野さんは個人的にはどうお考えでしょうか。

北野:『しくじり先生』をやっていると、しくじってる人の噂話がめっちゃ聞こえてくるんですよ。そんな中で、中田さんの話もよく出てくるんです。

「今はヤバい」「また天狗になってる」とか(笑)。でも僕は、まあ、前の天狗だった時代のことは知らないですけど、以前と今は違うと思います。

やっぱり誤解されやすい人だと思うんですよ。思ったことをはっきり言うし、納得できないことはやらないし、自分はこうしていきたいっていうプロデュース力もすごくある人だから。

あんまり関係性ができていない中で、打ち合わせとかで会って、「これってどういうことですか?」って言うときに、その話し方とか詰め方もすごく理詰めで来るから、もう絶対に反論不可能な感じになってしまう。

そうなったときに、スタッフとしては「ウッ…」ってなるじゃないですか。それが軋轢を生んじゃってるところはあると思うんです。

でも、昔みたいに、ただ売れてるから傲慢になってるわけじゃないので、ちゃんと向き合って話せば天狗じゃないっていうのは分かるんじゃないかな、と思います。

<次回番組内容>

■10月31日(月)19時~『しくじり先生 俺みたいになるな!!』3時間スペシャル

元「キマグレン」のクレイ勇輝が、神奈川県・逗子海岸で運営していたライブハウス「音霊」のために借金2億円を背負っていた過去を持つ“しくじり社長”として登場。“行き過ぎたポジティブ思考で周りを巻き込み迷惑をかけないための授業”を行う。

<プロフィール/北野貴章(きたの たかあき)>

1986年3月2日生まれ。2010年にテレビ朝日に入社後、『そうだったのか!池上彰の学べるニュース』『くりぃむクイズ ミラクル9』『ギリギリくりぃむ企画工場』など人気バラエティ番組を担当。

2013年にスタートした『しくじり先生 俺みたいになるな!!』で、現在チーフディレクターを務めている。

<撮影/五十嵐美弥(本誌)>

インタビューアー

ラリー遠田

1979年生まれ。東京大学文学部卒業。作家・ライター、お笑い評論家として執筆、講演、イベントプロデュースなど多方面で活動。

主な著書に『逆襲する山里亮太』(双葉社)、『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コア新書)がある。『ヤングアニマル』(白泉社)に連載中の漫画『イロモンガール』の原作を手がける。

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