笑うだけで死に至る可能性がある疾患というのが存在します。「難治性てんかん」を患う人の中には、笑ったり泣いたり怒ったりと感情の起伏の度に1日何十回と発作を起こし、その度に命の危機に直面するために全く油断ができません。

この「難治性てんかん」は、抗てんかん薬の服用によって抑制できない慢性のてんかんではありますが、手術次第では発作を緩和させたり消失させることも可能なのだそうです。日本では10万~20万人の患者がいると言われています。

難治性てんかんを患う9歳の少女

英チェシャー州に住むミリー・ウエブちゃん(9歳)は、難治性てんかんを患っている一人。どんなに楽しいことがあっても、笑ったら命の危険に晒されてしまうという生活をしています。

薬でコントロールできない発作のために、1日50回は発作が出るそう。発作が起きて転倒し頭を打ったり、唾液が気管に詰まったりすると窒息を起こし、もちろん危険です。

思いっきり楽しめるはずの誕生日パーティーも危険

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ミリーちゃんにとっては、楽しいことも十分楽しむことができません。いつ発作を起こしてしまうかわからないからです。過去にも友達の誕生日パーティーでファミリープールに入り遊んでいた時に発作が起こり大変なことになったそう。

それ以来ミリーちゃんは、またいつどこで発作が起きるかも知れないことを考えると、不安になるために外に出たがりませんでした。家族は幼い子供が思いっきり楽しめないのはあまりに不憫だと思っていた頃、飼っていた二匹の犬のうち、仔犬のエルモがミリーちゃんを助けるようになりました。

1歳のエルモがミリーちゃんの監視役に

特別に訓練を受けてもいないエルモ(写真左)は、ミリーちゃんが発作を起こしそうになる前に優れた感覚で察知し、それを家族に知らせるという能力を持っているようで、まるで訓練を受けた犬のようだと家族は語っています。

父親のスチュアートさん(45歳)は「エミリーが小さい時は、まだ言い聞かせて家に居させることもできたし、本人も出たがらなかったけれど、だんだん成長してきてやっぱり友達と遊んだり、外に出る機会も多くなるので、エルモはミリーのいいパートナーになってくれています」と話しています。

エルモはミリーちゃんの救世主となっている

エルモはミリーちゃんが今年の夏、庭の小さなビニールプールで発作を起こしそうになった時も、ある日全身けいれんを起こしそうになった時も、ミリーちゃんの一挙一動を素早く感知し、ミリーちゃんの意識が遠のいてしまわないようにミリーちゃんの鼻を舐めて刺激したり、唾が気管に詰まってしまわないように取り除いたりしてくれたそう。

またある日は、ミリーちゃんがソファーで寝ている時に発作を起こしかけ、それに気付いたエルモが素早くミリーちゃんの顔を舐めました。母親のリンダさんはそれでミリーちゃんの発作に気付いたと言います。エルモは誰よりも早くミリーちゃんの危険を察知する救世主なのです。

ミリーちゃんはこの5年間、12種類もの異なった治療薬を試して来たそうです。ところがどの薬も発作には効きませんでした。母親のリンダさんは「ミリーは強い子です。発作が起きても、意識がはっきりしたらもういつも通りに戻ろうとしています。あの子のやりたことを止めることはできないでしょう」と言います。

また、これまでに何度もミリーちゃんの発作を助けてくれているエルモとミリーちゃんの間には特別な絆が生まれています。リンダさんは「今でもエルモの能力にはじゅうぶんなのですが、もし正式にエルモがサポートドッグとして訓練して認定されれば、ミリーはエルモと一緒にどこにでも行けるでしょう。そんな日が来たらどんなに嬉しいか」と話しています。

まだ9歳という幼い我が子がいつ発作を起こし、命の危険に晒されるかわからないということは両親にとっても、本人同様恐怖でしかありません。「エルモは神様からのギフト」と喜んでいるミリーちゃんが、病気を抱えながらもエルモと一緒に外出できるようになればきっと素敵でしょう。そんな日が1日も早く来るといいですね。

*記事掲載に当たっては出典元の許可を得ています

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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