みんなが普段疑問に思っていることを編集部が調査・解決するコーナー「素朴なギモン」。今回は誰もが「あれ?」と思う議員の呼び方について調査します。

国会中継を見ていると、議長は議員を「君付け」で呼んでいますよね。性別や歳に関係なく、女性の蓮舫議員や80歳で現役最高齢の片山虎之助議員でさえも「君付け」。

これには違和感を覚える方は多いようで…

「○○君」という呼び方は、対等もしくは目下の相手に使われるため、そう思うのも当然です。なぜ議員は「君付け」で呼ばれるのでしょうか?

「君付け」のルーツは明治時代

そもそもの始まりは明治23年に開かれた、第1回の帝国議会。日本で初めて選挙が行われて成立した議会でした。

この議会で議員を呼ぶ時に、アメリカの議会で使われていた「Mr.」を和訳し、「君」という敬称を使ったそうです。これが、議員を「君付け」で呼んだ始まりとされています。

議員を「君付け」で呼ぶ法的根拠もある!

議員同士が「君付け」で呼ぶ法的な根拠もあります。まず衆議院規則第二百十二条には、こう書かれています。

第二百十二条 議員は、互いに敬称を用いなければならない。

出典 http://www.shugiin.go.jp

また「参議院先例集」の433では、敬称について具体的に触れています。

議員は、議場又は委員会議室においては互いに敬称を用いる。議員は、議場又は委員会議室においては互いに敬称として「君」を用いる。

出典参議院先例集

このふたつの条文にのっとり、議場では皆が「君付け」で呼び合っているというわけです。

「君付け」に違和感を感じる理由は、「君」の使い方が時代とともに変化したため

呼び方の歴史、法的根拠はあるにせよ、議員が「君付け」で呼ばれることにはやっぱり違和感を覚えます。そう感じる理由は、「君」という言葉の使い方の変化にあります。

元々「君」は、君主や母君といったように、支配者や目上の者に使う敬称でした。筆者の手元にあった「広辞苑 第三版」には、二通りの使い方が記されていました。該当部分を抜粋します。

②敬称。イ:尊敬すべき目上の人につけて呼ぶ語 ロ:同輩または同輩以下の人の氏名の下に添える語

出典広辞苑

明治の末ごろまでは、「君」は同輩以上や目上への敬称として一般的に使われていたそうです。第1回帝国議会が行われたのが明治23年ですから、この頃はまだ「君」でよかったのです。

しかし時代が流れ、「君」という呼び方は同輩や目下の相手に使うのが主流となっていきました。今、私たちが国会中継を見ていて違和感を覚えるのは、「君」を付ける対象が当時とは違っているからなのです。

過去には「さん付け」で議員を呼んだ議長も

「君付け」のルーツともなった第1回帝国議会の時代には、女性の参政権が認められていませんでした。議員は全員男性だったため、呼称は「君」だけが使われていました。

議会の運営においては先例が重視され、先の「参議院先例集」で具体的に記されていることもあってか、現在の議場では女性議員も「君付け」で呼ばれています。もともと「Mr.」が和訳されたものであることを考えれば、ちょっと変ですよね。

平成5年、女性として初めて衆議院議長となった土井たか子氏は、議員を「君」ではなく「さん」と呼びましたこれは女性議員への配慮だったと言われています。

しかし土井たか子衆議院議長のあとは、再び「君付け」に戻っています。慣例を変えるか守るか、様々な意見があると思いますが、「君付け」は女性に参政権のない明治の時代から残っているものです。

女性議員が活躍している今、時代に合わせて見直してもよいのでは…とも思います。

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Spotlight 編集部 Shin-shin このユーザーの他の記事を見る

生まれは昭和、ライター生活はウン十年。紙媒体がメインでしたが最近はWeb等でも記事を書き始めています。それなりに生きてる割に人生経験はショボく、しばしば情報の波に流されて溺れます。そんな中でも、面白くて心を打つ情報をお届けできればと思います。

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