【1】日本の漫画は、世界トップクラス

日本の漫画は、世界トップクラスだと言っても過言ではありません。日本のみならず、海外にも多くのファンを抱え、様々な話題が日夜飛び交っています。

楽しみ方も様々。王道の「雑誌・コミック」を始め、「アニメ」「映画」「ゲーム」など、漫画を原作にしたものは多数あります。「聖地巡礼」として、作品の舞台となった土地に足を運ぶ…なんて事もあります。

経済効果も大きく、政府が「クールジャパン戦略」のひとつとして、重要視しているという話もあります。

じゃあ、「これだけの人気コンテンツを作る作者・漫画家さんは、どのくらいの収入を得ているのか?」と言われれば…あまり話題になりません。

これだけの人気を得るコンテンツですから、作者の収入はかなりのモノだろう…と推測できますが、具体的な数字を見る機会は少ないと思います。
漫画を描く作家さん、いわゆる「漫画家さん」は、一体どのくらいの収入を得ているのでしょうか?

【2】作者の収入源は、どうなっている?

漫画家さんの収入源は、やっぱり漫画作品そのものです。多くの場合、週間・月間などの定期連載を行っている雑誌に作品を掲載し、読者に読んで貰うところから始まります。

雑誌は、様々な出版社から発売されています。そこに原稿を渡し、雑誌に掲載される事になります。この時に出版社から原稿使用料が支払われます。漫画家さんにとって「第一の収入」になります。
(ただ、原稿使用料はさほど高くない事が多いので、これだけで漫画家を続けていくのはキツイと思われます。)

連載を続けていくと、作品のストックが溜まっていきます。そうなると、雑誌という形態ではなく、「コミック」「単行本」としてまとめた形で発売します。これの実入りが大きく、多くの漫画家さんにとって「収入の大黒柱」となります。

漫画家さんの連載ペースや、作品一話ごとのページ数にもよりますが、概ね3ヶ月に一冊程度のペースで新刊が出る様子です。
(連載を経ずに、いきなり単行本にして発表する作品も、少数ながらあります。)

話は少し逸れますが、この「本などの単品を発売した時に、作家さんに入る収入」を、「印税」と呼ぶ事が多々あります。(同じ意味で、CDを作る作詞・作曲家さんにも当てはまります)

「税」という名前が出てきたから、「税金の一種?」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、そうではありません。国などの公的機関が深く関わる話ではありません。純粋に、「作品が売れる事で、作者に入る収入」の事です。

なぜ「印税」という言葉になったのか?には、理由があります。
昔は、作家等の収入を計算・確保する目的で、作者の検印(ハンコ)を押し、商品の数を勘定していたそうです。その様子が、税金の一種である「印紙税」を納める時の作業風景に似ていたので、俗に「印税」と呼ばれだしたのが始まりとされています。

さて、話を「漫画家さんの収入」に戻します。
連載で人気が出て、単行本が多数売れるというレベルに達した作品は、アニメ化されたり、映画の原作に使われたりする事も多いです。この時に発生する「脚本としての原作使用料金」も、収入のひとつになります。

更に、作品を使ったキャラクターグッズ、おもちゃ、ゲームなども出る事があります。こちらでも、「著作権使用料(ロイヤリティ)」が発生します。これも漫画家さんの収入になります。

他にも、作家として講演活動をしたり、タレントとしてテレビ出演したり、イベントでサイン会をしたり…等の活動をする方もいらっしゃいます。この時に支払われるギャラも、収入源になります。

【3】実際の金額は、おいくら?…江川達也氏の場合

では、実際の収入は、一体いくらになるのでしょうか?。この話題について、赤裸々に語ってくれた有名漫画家さんがいます。タレント活動でもお馴染みの「江川達也」氏です。
2015年に放送された番組「マネースクープ」にて、漫画家の収入源がどうなっているのかを詳しく語っています。

江川氏の話によれば、大まかに分けて、以下の「四種類の収入」があったそうです。

(1)雑誌原稿料…1ページ4500円~8000円
原稿料は、「完成原稿1ページで何円」と決まっている。作家によって価格は違うと思われるが…。
新人作家の話に限れば、江川氏が精力的に連載していた1980年代では「1ページ4500円」程度。現在の相場は「1ページ8000円」程度。
そうなると、今現在・週間連載で19ページを毎週描くとすれば、8000円 × 19ページ × 4週間(約一ヶ月)=約60万円となる。
月収で60万円。結構稼いでいるのでは?…と思われがちだが、漫画製作の作業量は多く、一人だけで仕事をしていたら締め切りに間に合わない。その為、アシスタント(作画補助)を従業員として数人雇い、各々に給料を払っている。作業場としてスペースを借り、家賃を支払わなければならない場合もある。それらは作家の自腹。従って、原稿料だけでは赤字である。

(2)単行本の印税…数億円以上も可能
江川氏の場合、単行本の価格の10%が、印税として作者に払われていた。当時の単行本価格は約360円。これの10%=36円が、一冊印刷される毎に支払われる。
江川氏の代表作『まじかるタルるートくん』は全21巻。これの第1巻が100万部を超えたらしい。この時の印税収入は、一冊36円 × 100万部 = 3600万円第1巻だけでこの金額なので、全21巻となると1億円は軽く超えるだろう。
江川氏のピーク時の単行本のみの収入は、2億円以上だった…とのこと。

(3)アニメ化の原作使用料…一話につき、10~15万
江川氏の代表作『まじかるタルるートくん』はアニメ化され、全87話が放送された。一話毎の使用料を平均13万円と仮定した場合、全87話 × 13万円 = 1131万円となる。
なお、アニメは一週間に1話程度の放送が主流で、全87話となれば、二年がかりで放送していた事になる。従って「年収」で考えると、1131万円 ÷ 2年間 = 565万円となる。

(4)キャラクターグッズの著作権料…売り上げの数%
文房具、人形、ぬいぐるみ…など、漫画・アニメのキャラクターグッズは多い。この売り上げの数%が、作者に入る。
その中のひとつ「ゲーム化された時の著作権料」について。上記『まじかるタルるートくん』はファミコンソフトになった事がある。定価は5800円。これが30万本売れた。著作権料は「売り上げの3%」に設定されていたので、定価5800円 × 30万本 × 3% = 約5200万円となる。
全てのグッズ収入を合せると、約1億円だったとのこと。

なお、近年よく見られるのは、「漫画やアニメを原作としたパチンコ・パチスロ台」。『まじかるタルるートくん』は、連載終了してから16年後の2008年に、パチンコ台になっている。これにも著作権料が発生する。その収入は3000万円だったとのこと。

上記の情報をまとめると、以下の様になります。

(1)雑誌原稿料…1ページ数千円。月で数十万円。アシスタント人件費などを考えれば、これだけでは赤字。

(2)単行本の印税…単価の10%が相場。単行本が売れれば、数億円以上も可能。収入の本丸になる。

(3)アニメ化の原作使用料…一話につき、10~15万。一年間放送する長期モノだと、年収で約500~600万円。

(4)キャラクターグッズの著作権料…売り上げの数%。

江川氏の場合、ピーク時には年収3億円以上あったそうです。

【4】実際の金額は、おいくら?…『ナカイの窓』の場合

漫画家の収入について、つい最近のテレビ番組でも話題になっていました。その番組は、2016年10月19日放送の『ナカイの窓』です。

この番組に、豪華な顔ぶれが揃いました。その顔ぶれは…

森田まさのり氏(代表作:ろくでなしBLUES、ROOKIES等)
福本伸行氏(賭博黙示録カイジ・シリーズ、アカギ等)
板垣恵介氏(刃牙シリーズ等)
花沢健吾氏(アイアムアヒーロー等)
水城せとな女史(失恋ショコラティエ等)

全員が名の通った漫画家さんで、アニメやドラマになった作品も多いです。

この番組で詳細に語られた事はいくつかありますが、「アシスタントの給料」について細かく触れていた事が驚きでした。

●アシスタントの給料は、漫画家さん毎に変わってくる。一律ではない。

●森田氏のところで、月給35万円くらい。これとは別に、ボーナスも出る。また、ひとつの作品が終わると、その度に退職金を出す。

本人曰く「アシスタントの絵が上手すぎて、それくらい出したくなる」

●板垣氏のところは、トップチーフで手取り月収130万円くらい。アシスタントは、「漫画家の補助者」というよりは「背景を描くプロ」である。なので、高い給料を払いたくなる。

更に、作家さん本人のいる前で、「それぞれの代表作の印税収入」を具体的に計算していたのも驚きでした。
印税のシステムや金額は、江川達也氏が「マネースクープ」の中で語っていた内容と同じです。「単行本1冊の値段の10%に、発行部数を掛けた金額」です。

出演者の代表作について、番組内でザックリと計算したところ、以下の様な結果になりました。アシスタントさんの経費等を払っても、かなりの額が残りそうです。

森田まさのり氏『ろくでなしBLUES』&『ROOKIES』→ 40円 X 7500万部 =30億円

福本伸行氏『カイジ・シリーズ』&『アカギ』→57円 X 3000万部 =17億1000万円

板垣恵介氏『刃牙シリーズ』→45円 X 6300万部 =28億3500万円

花沢健吾氏『ボーイズ・オン・ザ・ラン』&『アイアムアヒーロー』→60円 X 700万部 =4億2000万円

水城せとな女史『失恋ショコラティエ』→40円 X 300万部 =
1億2000万円

代表作のみで、全員が億超えしています。しかも、これは「単行本の印税収入のみ」なので、「アニメ・ドラマ原作使用料」や「キャラクターグッズ使用料」などは別です。全てを合計すると、一体いくらになるのでしょうか?。想像もつきません。

【5】単行本ランキング 歴代トップ10

更に調査を進めると、歴代の単行本・発行部数ランキングを見つけました。

上記サイトによれば、作品毎の発行部数は、以下の通りです。(作者敬称略)

1位 『ONE PIECE』尾田栄一郎  3億2080万部
2位 『ゴルゴ13』さいとう・たかを 2億部
3位 『ドラゴンボール』鳥山明 1億5700万部

4位 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』秋本治 1億5650万部
5位 『名探偵コナン』青山剛昌 1億4000万部
6位 『NARUTO』岸本斉史 1億3500万部

7位 『美味しんぼ』雁屋哲太/花咲アキラ 1億3000万部
8位 『SLAMDUNK』井上雄彦 1億2000万部
9位 『ドラえもん』藤子F不二雄 1億部
同率9位 『鉄腕アトム(完全復刻版)』手塚治虫 1億部
同率9位 『タッチ 完全復刻版』あだち充 1億部

どの作品も、世代を超えて愛されるものばかりです。知らない人の方が少ないでしょう。

では、推定できる印税収入を計算してみましょう。ここではトップ3のみに絞って計算してみます。

1位 『ONE PIECE』尾田栄一郎  3億2080万部

1冊の価格を、平均400円として、その10%は40円。
40円 × 3億2080万部 =  128億3200万円

2位 『ゴルゴ13』さいとう・たかを 2億部

1冊の価格を、平均500円として、その10%は50円。
50円×2億部=100億円

3位 『ドラゴンボール』鳥山明 1億5700万部

1冊の価格を、平均400円として、その10%は40円。
40円×1億5700万部=62億8000万円

重ねて言いますが、これは「いち作品の、単行本の印税収入のみ」です。これに他の収入を合せると…想像がつきません。

【6】まとめ

この様に、漫画家になって成功を収めれば、超高額の収入を得る事も夢ではありません。
しかし、これだけの収入を得るという事は、それだけのクオリティを作品に求められるということです。決して甘い話ばかりではありません。

成功されている漫画家さんは、皆が「かなりの努力家」であり、「仕事に真剣に向き合って頑張っている社会人」であると思います。これからも、素晴らしい作品を期待したいですね。

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