これまで社会問題の一つであるホームレスの記事を書いてきました。筆者はイギリスに住んでいますが、今日も買い物に出ると、狭いエリアだけでも4、5人のホームレスの人たちを見かけました。

減らないホームレス人口

Licensed by gettyimages ®

チャリティ精神が篤い国イギリスでは、多くのチャリティ団体が存在し、スープキッチンやフードバンク、またシェルター(ホームレスの宿泊施設)などの斡旋を行っています。移民に対しても異国で心地よく過ごせるようにとできる限りの努力を惜しまないボランティア団体の人々…。それでもイギリス国民、移民含めホームレス人口は年々増えています。

女性のホームレスもよく見かけるように…

Licensed by gettyimages ®

ホームレスになる理由は人それぞれ。私たちが想像もできない事情があるのでしょう。アルコールやドラッグ依存症が原因でホームレス生活をしている人もいれば、家族に先立たれ生活する余裕がなくホームレスになった人も。

そして、海の向こうから流れて来た人たち…仕事を求めてイギリスに来ても、物価の高いイギリスは今も就職難。なかなか仕事にはありつけないというのが現状です。

貧しさのために極限状態のホームレス生活をしている人は世界中に存在します。ボランティアとしてホームレスの救済に当たる人たちは見返りを求めずに活動しています。言葉だけではなく行動に移し、見返りを求めない親切をすることは決して容易ではありません。

社会には、慈善団体に所属してボランティア活動をしている人たちだけではなく、そうした見返りを求めない優しさをとても素敵な方法で表す人もいます。これは2015年の話ですが、筆者の心に深く残った出来事だったのでこちらで改めてご紹介したいと思います。

レストランのゴミ箱を漁って食べ物を探していたホームレス

Licensed by gettyimages ®

その日の食べるものがないという世界をあなたは味わったことがありますか?幸いにも筆者は一度もありません。ホームレスの人たちは、毎日がギリギリの暮らし。恥もプライドも捨てて生きるために時にはゴミ箱を漁らなけれなならないことも。

米オクラホマにある一軒のレストランカフェ「P.B.Jams」のオーナー、アシュリー・ジロンさんは、ある日、店先に出してあったゴミ箱が荒らされているのに気付きました。

「袋に包んで捨てたはずの食料がなかったんです。袋は裂かれて食べ物がありませんでした。こういう行為をしないと生きていけないというホームレスの人たちがとっても気の毒に思えて傷つきました。」

例え「かわいそう」という同情からでも十分ではないでしょうか。その気持ちであることを思いついたアシュリーさん。店の窓ガラスに一枚のメモを貼りました。

「あなたは人間よ。どうか遠慮しないで」

「食べ物を探してゴミ箱を漁っていた人へ

あなたは人間よ。ゴミ箱の中の食べ物を漁るよりもずっと価値があるわ。どうか店が開いている時間にサンドイッチと新鮮な野菜を食べに来て。食べ物も水も無料で提供するわ。何も心配しないで。

あなたの友人、オーナーより」

アシュリーさんのこの貼り紙は拡散され、後にインタビューを受けたのですが「私は、誰だかわからないホームレスの人が店に来てくれるまであの貼り紙を外しません。プライドがあってゴミ箱を漁った後には店に入って来られないかも知れません。でも、私はその人が食べ物に困っているなら食べ物を提供したいだけ。

誰でも困った時には多かれ少なかれ最悪の状況に陥った経験があると思います。そんな時、誰かの助けが欲しいと思ったことがきっとあるでしょう。困っている人がいて、もし自分が誰かに手を差し伸べられる立場にあるなら、私は手助けをしたいんです」と話していました。

これからだんだん寒い冬がやってくる

Licensed by gettyimages ®

これから冬になる国で生活しているホームレスの人たちは、きっと避けることのできない冬の路上生活を思うだけで憂鬱になることでしょう。絶望の先には絶望しかないという状況で生きる人々を、アシュリーさんのような見返りを求めない親切心を見せる人は、少しでもその絶望の先に希望が見えるようにと願っているに違いありません。

この出来事から1年ほど経っていますが、アシュリーさんの店のゴミ箱を漁っていたホームレスの人は、店にサンドイッチを食べに入ってきたのでしょうか。今はどうしているのでしょうか。

寒い日には温かい飲み物が得られますように…

Licensed by gettyimages ®

人知れず行方不明になったりするホームレスの人たちは大勢います。生きる希望を失った人たちにとっては、自分の命の価値も定かではなくなっているのかも知れません。でも、誰にも彼らを批判する権利はありません。

これまで記事を書かせて頂いて、毎回実感することは「誰にでも他人には計り知れない人生を抱えている。だからホームレスの人たちのことも決して見下してはいけない」ということです。

彼らがこれから迎える寒くて厳しい冬には、たとえ一杯でも温かい飲み物が手に入りますようにと願わずにはいられない筆者です。

ホームレスに関する記事です。こちらも併せてどうぞ

この記事を書いたユーザー

Mayo このユーザーの他の記事を見る

公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

得意ジャンル
  • 話題
  • 社会問題
  • 動物
  • 海外旅行
  • 育児
  • テレビ
  • カルチャー
  • 美容、健康
  • ファッション
  • 感動
  • コラム
  • おもしろ

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス