記事提供:テレビPABLO

『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)の北野貴章チーフディレクターへのインタビュー企画。第2回では、知られざるスタジオ収録現場の裏側についてうかがってみた。

『しくじり先生』チーフD・北野貴章が語る――第1回:エゴとストイックが生み出す「面白い」

綿密な準備と素のリアクションが肝――「生徒には事前に一切何も教えない」

――先生たちの授業の収録は毎回リハーサルなしの一発録りだそうですが、うまくいくかどうか不安になったりはしないんでしょうか。

北野:もちろん、不安ですよ。最近の収録でも、直前まで「大丈夫かな?」って思っている授業は結構あります。出てくれる先生と僕らスタッフは、平均10時間ぐらい打ち合わせを繰り返しているんです。

だいたい3時間ぐらいの打ち合わせを3~4回やって、ここをこういうふうに言いましょうとか、こういう話し方にしてもらえますかとか、そういうところまで詰めています。

だから、全体の話の流れ自体は、先生とスタッフの間では共有しているんですよ。でも、生徒には事前に一切何も教えないんです。どんな先生が来るのかすら話さないです。

だから、いざ収録が始まると、生徒側は素でリアクションしてくる。僕らが作ったものだけでやるとたぶん予定調和になっちゃうんですよね。

生徒はどういう話になるかを知らないから、ワケわかんない質問とかもするんですよ(笑)。そうすると、先生側はめちゃくちゃ作り込んできた分だけ、「えっ、そんな質問来るの!?」って驚いたときのリアクションが素になるんですよね。

そのときに答える返事とかもたぶん本心だろうし。この番組ではそこをすごく大事にしてます。

学校みたいな設定の他の番組だったら、生徒役でひな壇に座っている人たちもこれからやることをすでに共有していて、質問もたぶんカンペで出ていて、先生の方もカンペを読んで進めていくと思うんですよ。そこは他の番組とは違うところかなと思います。

“ビジネス反省”はバレる――「先生自身が本当に心の底から反省していなかったら意味がない」

北野貴章(テレビ朝日チーフディレクター)/『しくじり先生 俺みたいになるな!!』

――生徒の素のリアクションを重視しているんですね。

北野:視聴者の方も教科書を事前に作ってきているのは分かっているし、もともとの台本があるっていうのはみんな知ってることだと思うんですよね。

その中で、生徒までその内容を知ってたら、そこで展開される話が単に先生自身の自己弁護みたいに聞こえてしまう。

だから、生徒からは何も準備せずに素のリアクションをしてほしいし、「こいつ、本当に反省してるのかな?」って思ったら、それを素直に言ったりします。

先生が実は反省してなくて、“ビジネス反省”で来ていたとしたら、それって収録中に結構バレるんですよね。そこをちゃんとツッコまれる。で、こちらもそういうところは絶対切らずに使うようにしています。

――その方がリアルですよね。

北野:そこは大事にしています。僕らスタッフが、いくら先生をいい形で見せたいと思っていても、先生自身が本当に心の底から反省していなかったら意味がないですからね。

無理に取り繕っても番組的にもたぶん得るものが少ないから、本当に思ってるところをちゃんと見せてあげれたらと心がけています。

――北野さんはチーフディレクターとして現場で出演者の方に指示を出したりすることはあるんでしょうか。

北野:はい、あります。先生にも生徒にも両方に出します。先生はやっぱり緊張とかされる方が多いので、冒頭とかめっちゃくちゃ速くなったりするんですよ。教科書のページをとばしちゃったりとか。

そういうときには「もっとゆっくり落ち着いて話しても大丈夫ですよ」とか、そういうことをカンペで出したりします。

あと、そういう場合には、若林(正恭/オードリー)さんとか吉村(崇/平成ノブシコブシ)さんに「フォローしてあげてほしい」っていう指示を出したり。

話の中身の部分で「こういう質問をしてほしい」とかを書くことはあんまりないんですけど、先生に「教科書を見すぎです」とか、そういうのを出したりしますね。どうしても緊張するとそうなってしまいがちなので。

<次回番組内容>

■10月31日19時~「3時間スペシャル」

元「キマグレン」のクレイ勇輝が、神奈川県・逗子海岸で運営していたライブハウス「音霊」のために借金2億円を背負っていた過去を持つ“しくじり社長”として登場。“行き過ぎたポジティブ思考で周りを巻き込み迷惑をかけないための授業”を行う。

<プロフィール/北野貴章(きたの たかあき)>

1986年3月2日生まれ。2010年にテレビ朝日に入社後、『そうだったのか!池上彰の学べるニュース』『くりぃむクイズ ミラクル9』『ギリギリくりぃむ企画工場』など人気バラエティ番組を担当。2013年にスタートした『しくじり先生 俺みたいになるな!!』で、現在チーフディレクターを務めている。

<撮影/五十嵐美弥(本誌)>

インタビューアー

ラリー遠田

1979年生まれ。東京大学文学部卒業。作家・ライター、お笑い評論家として執筆、講演、イベントプロデュースなど多方面で活動。

主な著書に『逆襲する山里亮太』(双葉社)、『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コア新書)がある。『ヤングアニマル』(白泉社)に連載中の漫画『イロモンガール』の原作を手がける。

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