「もっと読者がハッとするような企画を持ってきて!」

昨晩、徹夜で考えた企画が3秒で砕け散った。

編集者になり早6年。若さやパワーがあるわけでもないし、ベテラン編集者のような経験や落ち着きもない。30歳を目前につまずきかけている、わたくし編集者のエディ子

私って、やっぱりこの仕事向いていないのかも…。そんなことを考えながらぼーっと歩いていたら、いつの間にか新宿2丁目にたどり着いていた。ふと顔をあげたら、目の前に立ちはだかるマッチョの男性のポスター。

こ…「国道4545(しこしこ)」…!?

出典Spotlgiht編集部

こ、これは!

今やテレビで見ない日はないほど大活躍のマツコ・デラックスさんが、かつて編集者を務めたことでも有名なゲイ雑誌『バディ』…!毎号の企画やコピーの秀逸さがネット上でたびたび話題になっており、ひそかに気になっていた雑誌だった。ここなら、きっとなにかヒントがあるはず!

ということで、『バディ』で名企画や名コピーが生み出される裏側を探るべく、編集部に直撃取材!編集長のHIROさん営業部の中村よしはるさんにお話を伺いました。

美しいグラビアも。ゲイのための雑誌『バディ』とは!?

出典Spotlgiht編集部

「どうぞ~」と優しい笑顔で受け入れてくださった営業部の中村さん(左)と編集長のHIROさん(右)。

ーーさっそくですが、まずは『バディ』について教えてください。


HIROさん:『バディ』は20代から40代のゲイやバイセクシュアルの男性をターゲットにした雑誌です。「ゲイのためのライフマガジン」をコンセプトとして、ゲイにまつわるバラエティに富んだ企画を展開しています。

ーー「ゲイのためのライフマガジン」!表紙だけ見ても、気になるコピーがたくさんあります。

HIROさん:ゲイのための雑誌ですが、じつは女性にも人気があるんですよ

ーーえー!…でも確かに言われてみれば、巻頭のグラビアなんて、裸の男性が川べりの林の中で憂いたような表情を浮かべていて、とても美しいショット…。女性ファンが存在するというのも納得です。

中村さん:過去に女性ファンが多かった男性ゲイモデルの方もいました。彼に登場してもらっていた時期は、女性の読者さんがすごく増えた年でしたね。

男性同士の筋肉がぶつかり合う…。「男同士のリアルなエロ」

出典Spotlgiht編集部

ーー今、女性にはBL(ボーイズラブ)が人気ですが、それとはまた違いますよね。

中村さん:そうですね。気をつけてほしいのは、ウチの雑誌では美化されたものではなく、生々しい「男同士のエロ」を紹介しているということ。

ーー確かに男性2人の筋肉同士がぶつかり合うSEXシーンには、アクロバティックな猛々しさを感じますね…。

HIROさん:そういった意味では、誌面を見て驚かれる方も多いですね。以前、女性の読者さんで定期購読をご注文された方がいたんですけど、「返金はいいので、途中で購読をストップしたいです」という方がいました。おそらく想像されていた「男同士のエロ」をうちが遥かに超えてしまっていたのか、過激すぎると思われたのかもしれません。

ーーそんなこともあったんですね…! 

中村さん:そうなってしまうと申し訳ないので、今から『バディ』の読者になる方は、まずは定期購読じゃなく、1号ごとに買っていただいたほうがいいと思います。ウチのホームページからは、発売されたばかりの最新号も購入できますよ。

編集部のメンバー内では、あのスポーツ選手が人気…

出典Spotlgiht編集部

ーー編集部のメンバーは、どのような構成ですか?

HIROさん:編集部のメンバーは、編集が3人、デザイナーが1人、営業が1人です。

ーー実は少ない人数で作っているんですね。編集部のみなさんの恋愛対象は、やはり男性なんでしょうか?

HIROさん:誌面をつくるにあたって、読者の気持ちを汲み取れたほうがいいので、ウチの編集部では、基本的にはストレートの人は取らずに、ゲイやバイの人を採用しています。

ーーそうなんですね。せっかくなので、おふたりのタイプを伺ってもいいですか?


HIROさん:目が細くて、色白の方ですかね。有名人でいうと、最近はラグビーの藤田慶和さんが好きです。

ーーでは、中村さんは?

中村さん:薄い顔・濃い顔問わず、顔のインパクトが強い人です。ラグビーの桑水流裕策さんが例ですかね。

ーーおふたりともラグビー選手がお好きなんですね!

HIROさん:好きなタイプは人それぞれですけど、やっぱりラグビーや柔道の選手はゲイから人気があって、王道といえるかもしれないですね

ーーガッチリ系ですね。

中村さん:そうですね。観戦するならフィギュアスケートが人気なんだと思うんですけど、好きな有名人というと、線の細い方たちよりも、ガタイのいい方たちの人気が高いです。

初めて編集の仕事を振ってくれた優しい大先輩!マツコ・デラックスさんの思い出

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ーーかつて『バディ』編集部には、あのマツコ・デラックスさんも所属されていたんですよね。おふたりはマツコさんとご一緒に働いていたのでしょうか?

中村さん:編集長はマツコさんがいた時期にはまだいなかったんですけど、僕がここで働きはじめたときには、既にマツコさんは編集者として活躍していたので、僕にとっては大先輩です。

ーーその当時、マツコさんはどのような印象でしたか?

中村さん:すごく頼りがいのある編集さんでしたね。僕は営業なのですが、もともとは編集志望だったんです。小さい会社なので、ときどき編集の仕事も回ってくることがあるんですけども、一番はじめに編集の仕事をくれたのがマツコさんでした。すでに世の中でも彼女の「素」のキャラクターっていうのは知られていると思いますが、すごく優しくて、配慮の行き届く方ですね。今でも、数年に一度お会いするんですが、マツコさんのお仕事の話をいろいろ聞かせてもらっています。

『バディ』の名企画&名コピー制作の裏側

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ーーたった5名のメンバーで、どうやってこんなにバラエティー豊かな企画を生み出しているのでしょうか?

HIROさん:ウチはスタッフの人数が少ないので、普段はだいたい「エロ担当」「バラエティー担当」「写真ページ担当」といったふうに、各分野ごとに単独でそれぞれのセンスで企画やコピーづくりをしています。

ーーなるほど、「エロ」や「バラエティー」など担当が分かれているんですね。企画のアイデアはどんなふうに決まるんですか?

HIROさん:たとえば、今年の夏はオリンピックがありましたので、それにちなんで「オチンピック」のように、季節性に絡めてネタを考えることもあります。大きい特集のときはみんなで話し合って企画の方向性を決めますけど、基本的に自分たちのやりたいことを発信しています。「エロ」系の企画やコピーは、ここにいる「YOU」がつくっているんですよ〜。

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※真ん中の青いシャツのお兄さんがYOUさんです。

ーーYOUさんはいつもどんなことを意識して、企画やコピーを生み出しているんですか?

YOUさん:まず企画については、先ほど編集長からも話があったように、好きなように任せてもらっているので、基本的に自分のやりたいことを優先しています。とにかく「目立つ企画」を意識して考えています。

気づいたら「おち◯ち#△&%」などのフレーズをブツブツ…

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ーー確かにどの企画も、その名前からして、非常に目立ちます…!「国道4545(しこしこ)」なんて、目にしただけでドキッとしてしまいます…。

YOUさん:コピーについては、口に出して引っかかる言葉やフレーズってあるじゃないですか?その言葉やフレーズに、「ゲイ」「チン◯ン」「ア◯ル」とかを当てはめていくと、自分の中で「あら、すてき」と感じる瞬間があって、その言葉が企画のコピーにつながっていきます。

ーー(笑)。確かに、言葉遊びの楽しさがあるコピーが多いですよね。

YOUさん:コピーは、語呂や音の響きを大事にしています。音の響きを確認するために、編集部にいるときも移動中も気づいたらついブツブツと、「おち◯ち#△&%」など、コピー案を独りで唱えてしまっていることもしょっちゅうです

ーーほう!YOUさんの頭の中は「18禁」なコピーのことでいっぱいなんですね…!

YOUさん:時期によっては、ですけどね。あと、コピーの出来を確認するために、知り合いにコピー案を突然、LINEとかで送りつけて、その反応を参考にすることもあります。既読スルーされることもありますけどね(笑)。

一同:(爆笑)。

HIROさん:僕だったら、友達やめます(笑)。

YOUさんがこれまでに考えた秀逸なコピーの中からベスト3を厳選!

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今回の記事では特別に、そんなYOUさんのお気に入りコピーのベスト3と、その理由を教えていただきました!

【1位】ヤル気を起こす乱れた社則に密着 体の一部がもっこり上場「株式会社 半裸」

選んだ理由:見慣れた「株式会社」という字面に全く合わない社会性ゼロの言葉の組み合わせが気に入っています。ギャップ萌えってやつですね。(YOUさん)

【2位】そうだ、日本でヤろう。「ニホンノセクスワケモチエエ」

選んだ理由:海外の人のガチな発音を知りたくて、仕事で通訳をしている知人に協力してもらって制作した、思い出深いコピーです。当初は「ニホノセックスワケモチェ」だったのですが、語呂が悪いと感じ、調整しました。(YOUさん)

【3位】本日は剥け日和 皮かむり調査委員の「仮性訪問」

選んだ理由:剥け日和」ってなんだよ、って誰もが素直にツッコめる安直さが気に入っています。いつか「最近剥け日和が続いているよね〜」という会話が体育会系男子から聞けるのを楽しみにしています。(YOUさん)

一同:(大爆笑!)。

ーー1位から3位まで、どのコピーも面白すぎます!「ニホンノセクスワケモチエエ」なんて、外国人の方がその台詞を言う想像をふくらませてしまいます…。

ネットの時代だからこそ、雑誌ならではのバラエティーに富んだ企画を

出典Spotlgiht編集部

HIROさん:こうやって「面白い」と思ってもらえることは、「バディ」の大きなテーマのひとつなんですよね。

ーー実際、ゲイの人たちのことを詳しく知らない人でも、面白く読める内容ですよね。

HIROさん:それはやはり、「雑誌力」というか。一つひとつの企画やコピーの面白さはもちろんですが、ページをめくるごとに、魅力的な企画やコピーがあって、「1冊まるごと楽しいから読みたい」と思ってもらえる存在でありたいです。

ーーたしかに『バディ』を読んで感じたのは、エロの世界をたっぷり紹介しつつ、オリンピック選手の見どころをゲイ目線で切り取ったバラエティー豊かなネタがあったり、グラビアの美しさがあったり、マンガがあったり…。雑誌にしかできない、ワイワイ賑やかな楽しさがありますよね。

中村さん:雑誌ならではの魅力を活かしたいですね。かつてインターネットやSNSがまだ浸透していなかった90年代は、ゲイ同士が出会うための最大のツールはゲイ雑誌の『文通欄』でした。一時期は、ゲイ雑誌が世の中にはもっとたくさんあったんですよ。

ーー文通欄!『バディ』にはそんな役割もあったんですね!

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過去の紙面を見せていただきました。

中村さん:ネットの普及で出会い方は変わり、ゲイ関連の情報もネットで見ることが多くなりましたが、いろんな情報が1冊にまとめられているという雑誌・読み物ならではの面白さってあると思うんですよね。

HIROさん:エロを目的に読まれる方も多いと思いますけど、それ以前に「毎月楽しいものがいっぱいあるから読みたい」と思ってもらえる雑誌づくりを目指しています。

ネットでは提供できない、1つのページにビジュアル的な美しさや魅力的な文章が収まっているものを見る楽しみ、また1冊にバラエティ豊かな企画でいっぱい詰まっているワクワク感を発信していきたいです。

中村さん:本誌が1冊を通してどんな魅力を出していくかが、編集部の腕の見せどころですよね、編集長!

HIROさん:これからも面白い雑誌をつくれるように頑張ります!

ーー『バディ』編集部のみなさま、今日はありがとうございました。これからもワクワクするような企画やコピーを楽しみにしています!

出典Spotlgiht編集部

その会話を聞いているだけで仲の良さや信頼関係が伝わってきた『バディ』編集部のみなさま。お互いの個性を大切にし、尊重し合っているからこそ、こんなにも柔軟で遊び心あふれる企画が生まれるのだろう。

編集部を後にして、さっそく『バディ』を購入。中を開いてみたら…そこには、めくるめく男同士のぶつかり合い。そして、好奇心を掻き立てるコピーの数々。胸の高鳴りが止まらない。

「おち◯ち#△&%…」

気づいたら、気になるフレーズをつぶやいている私がいた。

遊び心あふれるコピーや細部までこだわったクオリティの高い企画が次々誕生する雑誌『バディ』。次回はどんな企画やコピーで私たちを驚かせてくれるのか、目が離せません!

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出典©TERRA PUBLICATIONS INC.

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