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成長ホルモンというと、思春期に身長を伸ばしてくれるホルモンというイメージがありますよね。

もちろんその働きは間違いではないのですが、実は思春期以降も非常に重要な役割を果たしているのです。

今回はそんな成長ホルモンについて紹介していきます。

要チェック項目

□成長ホルモンは体の様々な機能にとって重要

□成長ホルモンが不足してしまうと、さまざまなトラブルが

□成長ホルモンを分泌させるには、睡眠や運動、食事が重要

成長ホルモンとは

人間の体内には100種類以上のホルモンがあり、それぞれが体の様々な機能をコントロールする働きを持っています。

そしてその中でも成長ホルモンは、その名の通り体の成長をつかさどるホルモンです。正確には“ヒト成長ホルモン”、英語では“Human Growth Horomone”略してHGHという呼び方をされることもあります。

成長期に成長ホルモンの分泌が活発になり、短期間で大きく身長が伸びるというのは皆さんご存知でしょう。しかしそれだけでなく、髪や爪、骨や皮膚な体のあらゆる細胞の成長・代謝にかかわる重要なホルモンなのです。

詳しく見ていきましょう。

成長ホルモンの役割

【身長を伸ばす】
幼少期から成長期にかけて、成長ホルモンの分泌が最も活発になる時期があります。

この時、成長ホルモンはIGF-1という成長因子の分泌を促進させているのですが、これによって骨細胞の分裂や増加が活発になり、身長や骨格が成長していくのです(逆にホルモンバランスが崩れるので、思春期にニキビができやすくなる)。

思春期を過ぎると分泌量が落ち着いてくるのですが、まったく分泌されなくなるということはありません。骨だけでなく、髪や爪などを成長させる働きもあるため、思春期が終わってからも重要な存在なのです。

【疲労回復やケガをした皮膚の再生】
成長ホルモンには身体の細胞を成長させる機能だけでなく、回復させる機能もあります。負荷がかかり疲労した筋肉細胞や、ケガをした肌細胞などがあった場合、成長ホルモンがその細胞に働きかけて再生させるのです。

また疲労を回復させることでより免疫力が高まったり、肌の代謝が良くなることで美肌やアンチエイジング効果に期待できるなど、うれしい副産物もあります。

【脂肪の分解】
成長ホルモンには脂肪の分解をする働きもあります。本来体脂肪はトリグリセリドという形で体に蓄えられているのですが、成長ホルモンはこのトリグリセリドを脂肪酸とグリセロールに分解してくれるのです。

ただし成長ホルモンが行ってくれるのはあくまで分解まで。この脂肪を燃焼させるには有酸素運動が必要なので要注意です。

成長ホルモンの分泌が減ると…

しかし成長ホルモンの分泌が不十分であると、体に様々な影響が出てきてしまいます。

代表的なものとしては、骨が弱くなって骨粗鬆症の原因となったり、筋肉量が低下することで疲れやすくなったり、皮膚の代謝がわるくなるのでシミやシワが増えたり、

脂肪分解作用が衰えるのでコレステロールや内臓脂肪が増えていったり…

年を取ると体はどんどん衰えていきますが、老化と呼ばれる現象にはこの成長ホルモンがかかわっていることが非常に多いです。

また老化だけならまだしも、様々な病気を引き起こしてしまうこともあるので非常に厄介。考えられる病気としては

【糖尿病】
成長ホルモンが不足してしまうと、内臓脂肪が増えてインスリンの働きが抑制されてしまいます。

本来食事をしたときには血糖値が上昇するのですが、その後インスリンが分泌されて、緩やかに血糖値を下げてくれる働きがあります。

しかしその働きが抑制されてしまえば、上がった血糖値が下がっていかずに糖尿病が引き起こされてしまうことがあるのです。

【動脈硬化】
成長ホルモンが不足してしまうと、だんだんと心臓の機能も低下していきます。

そうなると血液の流れが悪くなるだけでなく、血管が硬くなって管内に血の塊(血栓)ができてしまう動脈硬化が引き起こされてしまうのです。

そしてこの動脈硬化から心筋梗塞や狭心症など、生命に重大な危機を及ぼす病気へとつながってしまうことも…。

などなど。どちらにしても、成長ホルモンは体にとって非常に重要なものなので、分泌量が下がって体にいい影響が出ることはありません。

なので分泌量を減らさないためにも、日常生活の中にさまざまな工夫を取り入れていきたいですね。

成長ホルモンの分泌には睡眠が1番

成長ホルモンは寝ている間の分泌量が最も多いです。生活リズムや睡眠時間にかかわらず、睡眠中は必ず分泌されています。

ただし睡眠の質や睡眠時間の短さによっては、十分な量が分泌されないことがあるので要注意。成長ホルモンをしっかりと働かせたいのであれば、質のいい睡眠が必要になってきます。

質のいい睡眠にはメラトニンというホルモンが非常に重要です。メラトニンは夜に体が眠くなる1~2時間ほど前から分泌が始まり、入眠後3時間ほどでピークになります。

そしてこのメラトニンが多く分泌されている間、脳は深い眠り、いわゆるノンレム睡眠状態に。これこそが成長ホルモン分泌に必要な質のいい睡眠です。

つまり成長ホルモンをしっかり分泌させるには、メラトニンの分泌がピークになるころに合わせて睡眠をとることが重要ということですね。

メラトニンは太陽の光を浴びてから15時間ほどで分泌が始まっていくので、毎朝太陽光を浴びておけば、夜にかけて分泌が始まるころに睡眠時間を持っていくことが容易になります。

結局のところ、質のいい睡眠をとるためには、規則正しい生活が大切だということです。

睡眠以外でも成長ホルモンは分泌できる

また睡眠以外でも成長ホルモンの分泌を促進していくことができます。もちろん分泌のピークは睡眠中であることには変わりないのですが、普段の生活に取り入れていくだけでも、その効果には期待できます。

【低血糖・空腹】
空腹によって低血糖の状態になると、成長ホルモンの分泌が始まります。空腹の状態でも活動するためにはエネルギーが必要です。

ですがそのエネルギーが体外から摂取できないとなると、内部に蓄えられているエネルギーを消費しようと、肝臓のグリコーゲンが分解され、エネルギーとして使われるようになります。

そしてこの際、成長ホルモンが分泌され、肝臓でグリコーゲンの分解を促進してくれる働きがあります。

【有酸素運動・無酸素運動】
また運動も成長ホルモンの分泌に期待できるでしょう。

ランニングなどの有酸素運動を行った場合は、体内で一酸化窒素が産出されるのですが、この一酸化窒素には成長ホルモンの分泌を促進させる効果があり、先ほど紹介した脂肪分解作用と併せるとダイエットには効果てきめんです。

一方の無酸素運動でも、成長ホルモンの分泌を促進する乳酸が多く産出されます。無酸素運動下では、体内のグリコーゲンが乳酸に分解されることによってエネルギーとして消費されます。

乳酸というと疲労物質というイメージがあるかと思いますが、実際には無酸素運動下での臨時エネルギーのような役割があるのです。

特に加圧トレーニングなどによってより負荷がかかると、より多くの乳酸が産出され、成長ホルモンの分泌も促進されていきます。

【食事】
成長ホルモンにかかわる栄養素は、たんぱく質やアルギニンが代表的ですね。たんぱく質は、成長ホルモンを生成するのに必須の栄養素です。

分泌を活発にするわけではありませんが、ダイエットで食事制限をしていると、たんぱく質が不足しがちになり、成長ホルモンが生成されないので注意しましょう。

成長ホルモンの分泌を促進する効果があるのはアルギニンの方ですね。アルギニンにはソマトスタチンと呼ばれる、成長ホルモン阻害因子の生成を抑制してくれる効果があるのです。

さらに一酸化窒素の生成を促進する効果があるので、有酸素運動を行う前に摂取しておくとより効果的ですね。

オルニチンはエビ・シラス・鶏肉・落花生や納豆・豆腐・きな粉などの大豆製品(もちろん大豆そのものを含む)に多く含まれています。

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成長ホルモンを気にかけた生活を

いかがだったでしょうか。思春期だけでなく、普段の生活の中でも非常に重要な役割を果たしている成長ホルモン。

健やかな生活を送るためにも、成長ホルモンが不足しないような工夫を取り入れていきたいですね。

(監修:Doctors Me 医師)

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