知られざるママの実態や本音を紹介するコーナー「ママのホント。」

物心付いたときに、お父さんはいなかったというKさん。去年高校を卒業し、地元の市役所に就職をした可愛らしい女性です。

「お母さんはわたしが小学生の頃からずっとパチンコ店で働いていました。家でも休んでいるところを見ないくらい働き者で、立派なお母さんでした」

しかし、シングルマザーであるということや、パチンコ店で働いているということで周囲からチクチク嫌味を言われてきたとKさんは語ります。

頑張るお母さんのことを笑われた学生時代

「気が付いたらお父さんは思い出の中の人だった…」というKさん。彼女がまだ赤ちゃんだった頃の写真に写っていたお父さんの姿は見たことがあるけれど、お父さんには会ってもいないし、会いたいとも思っていないといいます。その理由は“満足な養育費を払ってくれていないことを知ったから”

Kさんが小学生の頃から、お母さんは近所のパチンコ屋さんで働いていました。歩いて通えるくらい自宅からは近くにそのお店はあったそうですが、鍵を開けて学校から家に帰ったときに1人ぼっちで寂しかった。でも、お母さんが一生懸命働いてくれているのを知っていたから、寂しいなんて口にしたことはなかったんだそうです。

「みんながとある学習教材を使って勉強しているのを知って、お母さんにおねだりしたことがありました。そしたら、お金が無いからすぐには買ってあげられないと謝られたんです。そこで“別れたお父さんから養育費をもらえないか聞いてみる”と言って、電話をしてくれたんですが、どうやら断られたようで。子供ながらに、お父さんはわたしのためにお金を用意してはくれないんだと思い、これまでお母さんが1人で一生懸命にわたしを育ててくれていたということに気づきました

Kさんは、お母さんのことを誇りに思っているといいます。仕事を休んだところを見たことがなかったとも教えてくれました。

「お母さんの肩を叩くとカチカチで、肩たたきしているわたしの手が痛くなっちゃうんです」

慢性的な肩こり…。パチンコ屋さんでの接客と、重い荷物の持ち運びでお母さんはいつも満身創痍だったようです。しかし、そんな事情も知らないKさんの同級生は、たびたび心のないことを言って浴びせてきました。

「お前の母さん、パチ屋でミニスカート履いてるんだってな。もうオバサンなのに、ミニスカートかよ!」

パチンコ屋さんの制服のスカートが短かったことから、それを見かけた同級生の親から噂話は広がり、悪口になってKさんの元に届いたのです。お母さんは悪くない、バカにした奴は、許さない…。Kさんは悔しい思いを抑え、耐えてきたといいます。

夢があるけど、叶えられない現実。精一杯の暮らし…

いつからか、Kさんには夢が出来ました。年末になると頻繁に流れるテレビコマーシャルを見た影響から、“丸い大きなケーキと、バケツにたくさん入ったチキンをクリスマスにお母さんと食べたい”と思ったのです。小学校高学年のときにお母さんにおねだりすると、また謝られたそうです。

「クリスマスの日もお母さんはいつも仕事でした。冷蔵庫には、“メリークリスマス!”と書いた紙きれが置いてあって、ラップをはがしてオムライスをチン。ケーキを1人で食べるのが定番でした。いつか絶対に、あの大きなケーキにロウソクをいっぱいたてて、バケツに入ったチキンをたくさんお腹いっぱい食べてやる…。小さな夢でした」

年末になると、お母さんはパチンコ屋さんで働く以外にも自宅で内職をしていたそう。布の手袋をして、飛び出す仕掛けのメッセージカードを組み立てる作業や、おもちゃの景品を箱に詰めて封をする作業…それでいくら稼げたのかはわかりませんが、Kさんのお母さんは寝る間も惜しんで働いていたのでしょうね。その頑張りを傍で見て、高校3年生になったKさんはある決心をします。

「今年はわたしがお母さんにクリスマスプレゼントするね」

Kさんの通う公立高校では、アルバイトは原則禁止でした。しかし、担任の先生との面談で事情を話し、新聞配達のアルバイトの許可をもらうことができました。それから、毎朝早起きをして、Kさんは新聞配達をし、それから登校。帰宅したら、お母さんの内職を手伝って、お金を稼ぎ始めました。

「今年はわたしがお母さんにクリスマスプレゼントするね」

Kさんが高校3年生のクリスマスの日も、例年通りお母さんは仕事でした。夕食の支度はわたしがやると言い、お母さんが仕事から帰ってくるのを待ちました。貯めたお金でまん丸の大きなケーキを買ってきて、スーパーに行って骨付きチキンを6本も買ってきたといいます。

パチンコ屋さんの閉店後、店の片付けなどをしなくてはならないので、お母さんの帰宅は夜中の1時過ぎ。Kさんが寝ていると思って、そっと鍵を開けて、ただいまも言わずにリビングに入ってきました。

「お母さんおかえりなさい。そして、メリークリスマス!一緒にご馳走食べようよ」

仕事から帰ってきたお母さんに、大きなケーキと買ってきた6本のチキンも見せました。Kさんのお母さんは、帰ってくるなり目を丸くし、そして涙を流したといいます。どんなときも見ることが無かったお母さんの涙…。初めて見るその涙は間違いなく、喜びの涙でした。

当時のことをKさんのお母さんにお話しを伺ってきました。

「本当に申し訳ないことをしていました。満足に塾にも通わせてあげられなかったし、一緒に過ごす時間さえ確保できなかった。それなのに、こんなに真っ直ぐ優しい子に育ってくれて、本当に嬉しかったです。チキンもケーキも、結局2人では食べきれなくて、次の日も食べたんですよ。これまで生きてきて一番、嬉しかった日です」

食べきれないほどのチキンとケーキに囲まれて、クリスマスの真夜中に日々の苦労をねぎらいあった母と娘。誰になにを言われても、お母さんの後ろ姿をKさんはしっかりと見ていました。

今日も市役所の窓口で、笑顔で働く魅力あふれる立派な女性。見えない苦労をたくさんしていているからこそ、Kさんの笑顔には輝きを感じるのだと思います。

この記事を書いたユーザー

Spotlight編集部 コンテンツハートKIE このユーザーの他の記事を見る

代表を務めるのは元船舶料理士、フリーライターとして活動し6年目になるKIE。仕事、育児、家庭、家事…”なにも諦めない生き方”の実現を目指し、やる気に溢れたママさん達とライター集団を結成。心にそっと寄り添う、日常に彩りを添える記事の執筆を目指し活動しています。

得意ジャンル
  • インテリア
  • マネー
  • グルメ
  • 育児
  • 料理
  • 暮らし
  • キャリア

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス