知ってるようで知らない、だけど気になるあの仕事をSpotlight編集部が深掘り取材するコーナー「シゴトペディア」。今回は、書類や小型の荷物をオートバイで輸送する「バイク便ライダー」の仕事に迫ります。

「この書類、今日中に得意先に届けなきゃ!でも、郵便だと到底間に合わない…」
ビジネスマンであれば、誰もがこんな事態に見舞われた経験があるのでは?

そんな時に救世主となってくれるのが、電話一本で駆けつけ、荷物をすみやかに配送してくれる「バイク便ライダー」です。荷物を素早く届けるという、簡単なようで、思い通りにはいかなさそうなこの仕事。配達を迅速に完了させる、そのスピード感あふれる業務には、どのような秘密があるのでしょうか?

そこで今回は、東京や大阪などの都市部を中心にサービスを展開する「ソクハイ」にて、ライダーとして活躍する渡辺良介さんに直撃インタビュー!その仕事内容から、お仕事にまつわるユニークなエピソードまで伺いました。

書類から忘れ物のピックアップまで依頼はさまざま

出典株式会社ソクハイ

――「バイク便ライダー」というと、急ぎで書類を送るときに使われているイメージがありますが、実際にはどんな依頼が多いですか?

渡辺さん「依頼内容はさまざまで、『この契約書類を午前中に取引先へ届けてほしい』といった依頼から、『タクシーにスマホを忘れてきてしまったので、タクシー会社まで行ってピックアップしてきてほしい』といった要望まで、法人から個人のお客様まで幅広くご依頼をいただいています」

――スマホのピックアップを依頼されることもあるんですね(笑)。

「はい。宅配便と大きく異なる点は、荷物をお預かりしたらすぐに届け先に向かうことです。搬送中にほかの依頼先などに立ち寄ることはありません(※一部、荷物を混載するサービスもあります)。『バイク便』を利用した場合、『ライダー1名を貸し切って、迅速に荷物を届けることができる』と考えていただけると分かりやすいかと思います」

ビルのセキュリティの向上により困ったことが…

――移動の際、渋滞など困ることはありますか?

「あまり知られていないのですが、バイクでの移動時間よりも、建物に到着し、お客様のいるフロアに着くまでの時間のほうが長くなる場合があります」

――え…なぜそんなことになるんですか?

「最近は厳重なセキュリティがなされているビルが多く、入館手続きや来館者用のIDの借用といった作業をしていると、あっという間に20分ほど経過してしまいます。実際、ビルに入ってからの時間より移動時間のほうが短かった、なんてケースもありますね(笑)」

バレンタインデーに起きたほっこりエピソード

――バイク便のライダーという仕事ならではの、心に残ったエピソードを教えてください。

「心に残ったエピソードというと、ある年のバレンタインデーのことが思い出されます。その日はかなり冷え込む日だったうえにとても依頼が多く、また、依頼をされるお客さまもなんとなくピリピリとしている方が多い日でした。

その日、最後の荷物を依頼された先に届けに行った時、荷物を手渡し、営業所に引き返そうとしたところ、お客様から『ちょっと待って』と呼び止められました。すると、『中身はチョコレートなので、どうぞ召し上がってください』と、かわいらしい小包みを手渡されたことがありました。遅い時間に依頼したことを申し訳なく思われたようで、わざわざ用意してくれていたと聞き、とてもうれしかったことを覚えています」

上司が部下を起こすためだけに依頼

――他にも思い出深いお話があれば、聞かせてください。

「これはびっくりしたエピソードになるのですが、ある日の早朝、とあるお客さまから小さな封筒を一通渡され、個人のお宅に届けるよう依頼されました。届け先の家に到着しましたが、呼び鈴を押しても音沙汰なし。さらには、電話番号にかけても出られないので、依頼主のお客さまに連絡したところ、『とにかくインターフォンを押し続けて欲しい』と伝えられました。

躊躇しながらも連続で呼び鈴を鳴らし続けたところ、いかにも寝起きという感じの男性が出てこられて。封筒を手渡し、その方がその場で封筒を開けたところ、中には『起きろ』とだけ書かれた手紙が入っていたんです」

――なんだかシュールな光景です(笑)。

「これまでのやり取りなどから察するに、どうやら依頼主はこの男性の上司で、また、この方は普段から寝坊癖がある様子。大事なアポイントメントがある日に、部下を確実に起こすため、上司の方がわざわざバイク便を使われたようでした(笑)」

――バイク便を使われたら、起きざるを得ませんもんね(笑)。ライダーさんが起こしてくれて、部下の方もきっと助かったのでは。

「お客様からの依頼はさまざまですが、荷物を届け終わった際、『時間通りに届けてくれて助かったよ!ありがとう』といった感謝の言葉を直接いただけると、やはりうれしく感じますね」

出典株式会社ソクハイ

――最後に、バイク便ライダーの仕事を一言で表現すると何でしょうか?

「お客さまからいただいたさまざまな指示を遂行しつつ、きちんと荷物をお届けすることがバイク便ライダーの仕事です。また、ただ単に早く届ければいい訳ではなく、お客さまの代理人になったつもりで、気持ちをこめてお届けすることが大切だと考えています。

少しかっこよすぎる言い方かもしれませんが、バイク便ライダーは『エージェント(代理人)』と表現できるのではないでしょうか」

雨の日も風の日も、確実に依頼を遂行することを求められるバイク便ライダー。それだけに大変ではありますが、訪れた先で思わぬ人間ドラマに遭遇することもある、味わい深いお仕事なのかもしれませんね。

この記事を書いたユーザー

Spotlight編集部 このユーザーの他の記事を見る

Spotlight編集部の公式アカウントです。

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス