記事提供:ORICON STYLE

SEKAI NO OWARIが、動物殺処分ゼロプロジェクトを支援するシングル「Hey Ho」を発売した。

これまでも、良質なJ-POPであることはもちろんのこと、社会問題を世に問う楽曲を発表してきたセカオワ。葛藤もある中で、熊本地震のボランティア活動をきっかけに生まれた方法論とは?制作過程でのFukaseとSaoriの“ケンカ”も明かす!?

「メッセージ性は強くなりがち。そこではないところをケアできる曲に」

――SEKAI NO OWARIというバンドは同じところには留まっていない、常に何か新しいトライをするバンドです。動物殺処分ゼロプロジェクト支援シングル「Hey Ho」も、こちらが予想もしていなかった展開でした。これまで同様、今回もFukaseさんの発案だということですが。

Fukase あ、はい。コンセプトや曲を決めるの、僕の役割になっています。去年の「ANTI-HERO」「SOS」以来、新曲を作るのは1年ぶりくらいなんですが、この2曲を作ってリリースしたあと、ずっと、次はどうしようかと考えていたんですね。

今年のツアー中くらいから、そろそろシングルの準備をしようと思い、出すのなら秋だなと。トゲトゲしいものから恋愛をテーマに歌詞だけ書いたりもしてたんですが、どれもしっくり来なかったんです。そんな中、熊本で地震があったときに、僕らは福岡にいたので、そこから車で移動して現地でお手伝いをするという経験をしまして。

Nakajin 
一般のボランティア団体さんと一緒に、瓦礫などを運び出したりしてね。炊き出しにも参加しました。

Fukase 
支援グッズも発売することが決まっていて。でも、その告知をライブのMCでするときに、来てくれる人たちが、“買わなきゃいけない”と感じたり、“買わない自分はダメなんじゃないか”って思ってしまうんじゃないかという、不安があったんですね。

僕自身、24歳ぐらいまでは非常に貧乏で、行きたいライブのチケットを買うのが精一杯で、それ以外のものは到底買えない時期があった。だから、とにかくヘンなプレッシャーだけはかけたくはなかったんです。

プロジェクトと連動していると、どうしてもメッセージ性は強くなりがちですが、そこではないところをケアできる曲にしたくて、新曲もこういった歌詞になりました。

「5年後、10年後に何か行動を起こすキッカケになるかもしれない」

――楽曲はFukaseさん、Saoriさん、Nakajinさんの3人で作られたということですが、意外なことに、3人での制作は初だったとか。曲作りの“キャスティング”も、Fukaseさんの提案で。

Fukase 
はい。僕としては子どもの頃から漠然と考えていたことをテーマにしているので、自分だけで書いたら、自分ひとりだけのプロジェクトになってしまいそうな気がしたんです。

僕以外のメンバーも、今回のテーマについて何も考えていなかったわけではなく、そこに触れるタイミングがこれまでなかっただけのことで。その辺はSaoriちゃんも歌詞にしています。大切にしないと、大切にならない。

縁がないと知ることがないことはたくさんあると。僕らにとって、自分たちがどう思うかを考えるタイミングは曲作りであり、この機会に、みんなで考えよう、というのはありました。

Nakajin 
僕は小学校の頃からFukaseを知っているので、今回のテーマに対する違和感とかは全くなかったです。これまでも過去の作品、「虹色の戦争」「世界平和」「深い森」でもFukaseは表現してきましたから。

ただ、プロジェクトにピンと来るタイミングが今じゃない人も当然、たくさんいるわけです。でも曲として好きになってもらえれば、5年後、10年後にプロジェクトのことを思い出してくれたり、何か行動を起こすキッカケになるかもしれない。

そのためにも、何回も、この先も長く聴いて楽しめるよう、新しい発見があるような音にしようと思いました。勇ましいところもあれば、ちょっとコミカルなサウンドも入れて、ホッとするような印象もある。力が抜ける感じの、アホっぽい音というか(笑)。

「“じゃあ、お前が先に書けよ!”ってケンカになりました(笑)」

――Saoriさんはいかがですか?

Saori 
一番最初にFukaseが歌詞を書いてきたときは、どういったスタンスで関わるのか、私はまだよくわからなかったんです。なので正直に、「支援シングルで、この詞だと伝わらないんじゃない!?」って返したら、「じゃあ、お前が先に書けよ!」ってケンカになりました(笑)。

DJ LOVE 
グループチャットでそういうやりとりをしているのを、僕らは静かに見守っていました(笑)。

Fukase 
否定するだけで提案がないから、何がダメなんだ、じゃあ書いてみろよって言ったら、すごくいいのが上がって来たんです。いや、ホントにすみませんでした、って感じでしたね(笑)。

Saoriちゃんの歌詞にインスパイアされて、僕の中に海のイメージが浮かび、サビの<Stormy Seas>が生まれた。そこから、Saoriちゃんが<嵐の海を渡っていく>に書き直してくれて、これは「RPG」の続編なんだなってことになったんです。というか、Saoriちゃん、ちょこっとBメロで(僕のを)パクったよね?

DJ LOVE 
(素で)えっ!?

Saori 
パクッてないよ。「俺が書いた歌詞にお前が合わせろ、俺は変えない」って言い切るからさ、1番と2番を摺り合わせて、なんとか繋がるように変えたら、急に「俺も変えようかな」って言ってきたんだよ。

Fukase 
そうでした。まぁ、こういうことはよくあるんです(笑)。お互いのアイディアを使って表現するっていうことなんですけど。「Death Disco」とかも、もともとはSaoriちゃんのアイディアだったしね。

でも、作詞で混ぜるのって、相当難しい。シリアスな内容をミックスするのは、かなりわかり合っていないと大変だよね。考えが似ていないと成立しないし。(Saoriに)作詞に参加するようになった最初の頃は、その辺ですごく悩んでたでしょ?

Saori 
うん。Fukaseの歌詞がすごい好きだし、尊敬している作家のひとりなのに、作詞の経験がない自分が入っていいのかなって。最初はものすごいプレッシャーがあったし、「そんなことできない!」って言いながらやってました。

Fukase 
俺のスタイルに寄せてきて、そこから抜け切れてないなぁってずっと思っていたけど、「マーメイドラプソディー」ぐらいで、こっちが思ってもいないことを書いてくるようになって、「ああ、Saoriちゃんのスタイルができたんだね」って話していたんだよね。

僕の歌詞の場合は“語り”なんだけど、Saoriちゃんのは詩的だよなぁって。あと、Nakajinさ、「Error」のサビ、ちょっとだけ変えたよね?

Nakajin 
ああ、サビの順番変えたり、副詞を足したりはするね。もちろん、ちゃんと元の意味を変えないよう、気をつけてるよ。

Fukase 
「Error」もさ、最初はもっと、のほほんとした終わり方だったんだけど、Nakajinが回想シーンっぽい、走馬燈のような間奏を入れてきたから、死ぬことになっちゃった(笑)。

「一緒に住んでるアメリカ人が、“なんでそんなに忙しいんだ!?”って」

――そんなとき、DJ LOVEさんは!?

Fukase 
けん玉だよね(笑)。

DJ LOVE 
レコーディングのとき、大体、けん玉持ってますね。

Fukase 
今、うちにアメリカ人が一緒に住んでいるんですが、昨日、「なんでそんなに忙しいんだ!?自分の時間がなくてもいいのか!?」って話から、LOVEの重要さがすごくわかったって言ってた。

彼がいなかったら、きっとメンバー同士がピリピリしていただろうって。確かに、LOVEの笑い声が聞こえてくると、すごいホッとするんだよ。

DJ LOVE 
というか、今みんな疲れてボロボロだから、大体、何言っても笑ってくれるよね(笑)。

――最後にミュージックビデオのお話も。

Fukase 
今回は、Nakajinが100人オーケストラみたいなアレンジにしたので、いろんな楽器の音が入っているということがわかるように、レコーディングみたいなミュージックビデオになりました。

DJ LOVE 
途中、蓄音機で雷の音を録音している場面もあるしね。僕ははじめて、ジョウロで人に水をかけましたよ。

Nakajin 
間奏で聴きやすいんですが、嵐の音も入っていたりするんですよ。動物の演奏家たちも楽器をいろいろ使っているせいか、リスナーから「私もファゴットやってるので、出てきてうれしいです」といった反応もあったりして、こちらもうれしかったです。

僕も4種類の楽器を弾いてますからね。そのひとつがブズーキっていう、ケルト楽器なんですが、その指摘はまだないです(笑)。映像として認識することで、またその音が伝わりやすくなると思うので、ぜひこちらも観ていただきたいですね。

(文/根岸聖子)

「Hey Ho」ミュージックビデオを公開!

出典 YouTube

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス