記事提供:ORICON STYLE

3人組ロックバンド・Hi-STANDARD(ハイスタンダード、通称ハイスタ)が、2000年4月の「LOVE IS A BATTLEFIELD」以来、約16年半ぶりとなる4曲入りシングル「ANOTHER STARTING LINE」を10月5日に発売。

異例の事前予告なし、店頭販売のみで初の週間シングルランキングでの首位という快挙を成し遂げた。ハイスタと言えば、1990年代中盤から“メロコア”ムーブメントをけん引した伝説的なバンドだが、2000年に活動休止。

その後、2011年にロックフェス『AIR JAM』が復活、バンド活動も再開させたが、ここにきて突然の音源発売。現在人気の若手バンドなどにも多大な影響を与えたハイスタとは何だったのか?改めてHi-STANDARDの功績を追ってみたい。

インディーズシーンで独自の流通を確立、メディア露出せず口コミでファン獲得

Hi-STANDARDは、難波章浩(Vo&B)、横山健(Vo&G)、恒岡章(Dr)の3人と脱退した松本敦彦で1991年に結成。1994年6月30日にミニアルバム『LAST OF SUNNY DAY』を発売し、翌年11月にアルバム『GROWING UP』で注目される。

1997年のアルバム『ANGRY FIST』は初登場4位を記録、“インディーズレーベル(PIZZA OF DEATH RECORDS)制作/メジャーレーベル(トイズファクトリー)流通”という新たな発売スタイルを確立させた。

そして1999年、PIZZA OF DEATH RECORDSがトイズファクトリーから独立すると、アルバム『MAKING THE ROAD』はインディーズながら3位を獲得し、累積65.3万枚という“快挙”を成し遂げたのである。

約16年半ぶりのシングル「ANOTHER STARTING LINE」で初の首位

「当時の日本のヒット曲は、メジャーアーティストやテレビ番組の主題歌や挿入歌が主流。そんななか、海外を含めてですが、マイナーレーベルのハイスタのヒットは異例でした。

ハイスタの音楽は“メロコア”(メロディック・ハードコア)と呼ばれ、リズムやギターは激しいパンクロックながらメロディラインは叙情的……というジャンルですが、ハイスタは日本でメロコア・ブームを作ると同時に、グリーン・デイやオフスプリングといったアメリカの人気パンクバンドとツアーも回るなど、海外での人気も高かった。

しかもその人気も、本人たちがメディアへの露出を嫌ったため、ほとんどが口コミで広がったという“本物”の人気だったのです」(エンタメ誌編集者)

『AIR JAM』を機にバンド主導によるフェスが、メジャーシーンにも“逆輸入”

ハイスタの楽曲が全編英語詞というのも、当時では珍しかった。お世辞にも英語の発音がいいとは言えないが、全編英語詞の“ハードルの高さ”をクリアできたのも、メロディラインの良さがあるからだ。

この全編英語詞のスタイルはその後、ONE OK ROCKなど近年の人気バンドにも引き継がれ、ONE OK ROCKで言えば、“日本人離れした発音のよさ”とまで評されている。

そしてハイスタは、日本の音楽界を語るにおいていわゆる“ハイスタ後”、さらにはフォロワーたちの形容のひとつとして“ハイスタっぽい”、との表現が定着するまでに強い影響を与えたのである。

「ハイスタ最大の“偉業”とも言えるのが、バンド同士の横のつながり、バンドによるバンドのためのバンド活動を日本で確立したことです。

その象徴が『AIR JAM』。これは1997年にHi-STANDARDを中心に企画されましたが、パンクロックとスケボーなどのストリートカルチャーがコラボしたイベントです。

3回目の2000年には、千葉マリンスタジアムで開催されるなど絶頂を極め、当時“エモ系”と呼ばれたHUSKING BEEやミクスチャー系のBACK DROP BOMB、BRAHMAN、THE MAD CUPSULE MARKET’Sといった、いわゆる“AIR JAM世代”のバンドの手によるロックフェスにまで成長しました。

そして現在では、こうしたアーティスト個人やバンド主導によるフェスやイベントが、メジャーシーンに“逆輸入”されるようになったのです」(前出の編集者)

ハイスタは、この『AIR JAM 2000』を最後に活動休止してソロ活動に移行するが、2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに、同年4月、復興支援として11年ぶりに『AIR JAM』が開催し、Hi-STANDARDも復活。今年の12月23日には、4年ぶりに福岡ヤフオク!ドームで『AIR JAM 2016』が開催される。

通販や音楽配信が当たり前の今、CDショップ店頭販売のみという原点回帰

2015年7月、メンバーの横山がKen Yokoyamaとして初めて『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演した際、タモリに「何で地上波に出ようと思ったの?」と聞かれると、「もっと若い子にバンドに興味を持ってもらいたいと思って」と出演の経緯を説明、

さらに「ダンスとか歌とかに向かう子がすごく多い気がしますね。楽器はあらためてカッコいいよってところを見てもらいたいです」と語った。

するとネットでは、「今の日本の音楽業界に風穴を開けてほしい」「たまたま観た少年で、身体中に稲妻落ちて人生変わっちゃったヤツいると思う」などと大絶賛。

結成25周年で16年半ぶりの新曲は、星野源やSEKAI NO OWARIといった現行の人気アーティストを抑えて首位を獲得。通販や音楽配信が当たり前となった今、あえて主要CDショップ店頭のみで販売(10月26日より通販解禁、DL販売開始)。

しかも、事前告知“一切なし”という異例の発売方式にも彼らの“音楽”に対する向き合い方を感じる。

「これだけ便利になった世の中でどこまで面白みとして発揮できるのかなというのが狙い」(横山)、「今回の作品は手に取ってもらいたいという思いが強い」(難波)という言葉通り、日本の様々な音楽シーンを変革してきたHi-STANDARD。

これからも、日本の“元ロックキッズ”から“現役ロックキッズ”まで、強烈な影響を与え続けていくことだろう。

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