「やられた方が悪い」

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小さい子供や老人、あらゆる立場の女性がインドではレイプ被害にあっています。しかし、インドでは事件を報じる際に、着ている服が男性を誘惑したのではないか、そんなところを一人で歩いている方が悪いのではないか…など被害者に非があったのではという受け止め方をすることが多いのです。

・写真で送るメッセージ

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そんなインド社会に向けて、写真家のGanesh Toastyさんはあるフォトシリーズを発表しFacebookに投稿しました。被害者の習慣や服装は関係ない、レイプが起こるのは、加害者の人間性が欠けているからだというメッセージをこの作品は伝えていました。

写真は物語調で23枚で構成されています。全ての写真を見終わった後に一番最後の写真を見ると、ドキッとさせられるメッセージが伝わってくるということで話題となっています。

1.美しい女性

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花瓶を両手で持つ心優しき美しい女性。彼女の名前はタニリカ。彼女はお花が大好き。一日のほとんどの時間を植物の世話に費やしていました。

彼女は好奇心が旺盛な若者で植物の研究のためしばらく実家から離れていましたが、自分の戻る場所は実家だと気づき、故郷に帰ることにしました。

2.父親と再会

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タニリカには父親がいました。彼はこの小さな海岸町で静かに暮らしていました。娘が出ていくときは寂しかったけれど止めはしませんでした。

もう戻ってくることはないかと思っていた娘とまた一緒に住める日が来て、彼はとても喜びました。それは人生で最も幸せを感じる瞬間でした。

3.希望に満ちていた

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空を見あげる彼女の笑顔はまぶしく瞳は希望に満ち溢れていました。

4.親友の二人

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一方、漁師のカシールとセルヴァムは幼馴染で親友でした。元々カシールの方が裕福な家庭に生まれていましたが、高校に入るとそれが逆転しました。カシールの父がアルコール中毒に陥り家族が多くを失ったのです。その時も、セルヴァムは変わらず傍にいて支えてくれました。カシールにとってセルヴァムは大切な存在です。

しかし、セルヴァムは普段は物静かな青年ですが、まれに感情が高ぶると暴力的になる性格でした。

5.友人を紹介

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セルヴァムはカシールに友人のルドラとヴァスを紹介しました。

ルドラはこの中で最年少。幼いころに父を亡くし、母が切り盛りするパン屋を必死に手伝い生活をしてきました。そんな中、彼の唯一の希望は当時付き合っていた彼女でした。彼は彼女にたくさん愛情を注ぎましたが、彼女はそれを裏切るように別の男と去ってしまったのです。彼は女性を信じられなくなっていました。そして彼は、嫌な思い出や現実から逃げるかのように風俗へ通うようになります。

ヴァスは非常に博識で、本をよく読む人でした。

6.キレイな女性を見た

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4人はそれぞれの話をし盛り上がりました。そして、カシールにみんなの注目が集まりました。この町に住むキレイな女性の話をしたときです。2回だけ町中でその女性を見たことがあると話しました。

7.彼女を発見する

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そして4人が歩いていると、その女性を見つけたのです。カシールは「あの女性だ」と指を差しました。

8.欲望がこみ上げる

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セルヴァムは彼女を見た瞬間、欲望がこみ上げてきました。ルドラも同じくニヤリと笑い同じ感情を抱いたのです。ヴァスはただ彼女を怖がって見ていました。

9.獲物を狙う動物のように

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セルヴァムはカシールの腕をつかみ、タニリカに近づいていきます。カシールは困惑するもののセルヴァムに逆らおうとはしませんでした。

まるで獲物を狙う動物のようにそろりそろりと彼女に近づいていきます。

10.捕まるタニリカ

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タニリカはいつもと違う異変を感じ、走り出そうとしましたが遅すぎました。その瞬間、スカーフの裾を掴まれたのです。彼女がショックを受けた瞬間に、セルヴァムは口をふさぎました。そして他の男たちもセルヴァムに協力したのです。

11.男数人で女性一人を

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セルヴァムはルドラとカシールに彼女を捕まえるように指示しました。

12.抵抗しても無駄

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セルヴァムは彼女を見つめました。まだ逃げることができると思っている彼女に、逃げようとすることは無駄だということを無言で伝えます。

13.暴力で服従させる

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そして、セルヴァムの拳が彼女に向かって飛んでいきました。
するとその瞬間あたりは静まり返りました。タニリカの口元から出た血は、ルドラの顔に飛び散りました。

14.抵抗すると殴られる

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彼女は倒れました。叫びたい、起き上がりたい、逃げたい、けれどそれをしようとするとまた手をあげられることを彼女は理解しました。だから動けなくなってしまったのです。

15.人気のない場所に運ぶ

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セルヴァムはルドラのカシールに彼女を森の奥の方に連れて行くように指示しました。

16.人間ではなくなる気がした

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ルドラはまだ自分がしていることに当惑していました。彼女の方を見ました。すると彼女はじっとこちらを見返しました。彼女は抵抗はしませんが、瞳からは涙がこぼれていました。
このままことに進んだら自分が人間ではなくなるような気がしました。

17.「彼女を行かせなさい」

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ルドラには彼女の手から静かな悲鳴が聞こえてきたのです。彼が生涯にわたって聞いているのと同じ悲鳴。彼の心はささやきました。『彼女を行かせなさい』 と。

18.彼女の前に立った男性

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ずっと暗闇の中にいたルドラ、彼に光が差しました。そして、彼は彼女の前に立ちました。

19.もめる男性たち

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セルヴァムはルドラがしたことに驚きました。セルヴァムは彼女に近づこうとしますが、ルドラが前に立ちはだかり止めます。犬のように怒るセルヴァム、しかしルドラはどうじません。セルヴァムはヴァスに手を貸すように怒鳴りましたが、ヴァスは何かをすることはありませんでした。

20.「ありがとうございます」

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タニリカは力を振り絞り起き上がりました。ただ家に帰りたい、それだけでした。目の前には言い争いをする男性4人の姿がありました。また腕を掴まれるかもしれないと思うと恐怖がこみあげてきます、しかしそうなることはありませんでした。

そして、小さくささやきました。「ありがとうございます」

21.駆け寄る父親

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家に帰ると、父親は狂人のように彼女にかけよりました。父親は娘の血まみれの姿、乱れた髪を見てショックを隠せませんでした。

22.「何も起こらなかった」

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可愛い娘がこんな姿になって、何が起こったか聞きたい父親ですが、娘の苦しむ姿を見て声をかけることさえできませんでした。

タニリカは父親の方にもたれかかり、静かに家に向かって歩き出しました。そして、心の中でささやきました。「私は大丈夫よパパ、何も起こらなかった」

23.「私が悪いの?このキズは癒えるの?」

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フォトシリーズの最後にはこの写真が掲載されていました。この写真にはタニリカの父親との思い出から、ある思いが込められていました。

私の脳裏にある記憶がよみがえります。あれはまだ私が幼かった頃のことです。

ある日、私は家の外で遊んでいる時に小石につまずいて頭から転んでしまいました。痛みに叫ぶ声を聞きつけた父が、私を助けるためにとんできました。父は私を抱きかかえ病院に向かう道中、私を泣き止ませるために勇敢な少女たちの物語を聞かせてくれましたが、私は泣きつづけました。

病院ではお医者さんが私のこめかみをきれいにふき、傷に絆創膏を貼ってくれました。しかし、数日たち自分の姿を鏡で見た時に、絆創膏がとれてこめかみに小さく赤い形がついているのを見つけました。それを見た私はまた泣きはじめました。

父に、これはいったい何なのか、ずっと残るものなのかと尋ねました。父は小さく笑って私を抱き締め、それは「傷跡」といって何も恐れるようなものではないと教えてくれました。

傷跡というのは、2、3日すれば消えると説明してくれました。それでも私は納得しませんでした。鏡を見るたびにイライラし、怒りにまかせて別のものに八つ当たるようになりました。私は芝生に石が転がっていれば拾い、小さな女の子が持てる限りいっぱいの怒りで投げ捨てるという行為を数日間続けました。それを見かねた父は穏やかに私が何をしていたのか尋ねました。

彼は静かに私の話を聞き、話し終わった時、ため息をつきました。父はまだ私が手に握っていた石を取り、優しい声で「君が転んだのは石のせいではない」と言いました。石に命はなく自然の力によって置き場所を決められていて、その1つに私が不幸にもつまずいてしまったのだと語りました。

父はそれを事故と呼びました。そして身の回りには石のように命を持たない物がたくさんあるのだから、今後は命を持つ私がつまずかないようもっと注意して行動しないといけないよ、とアドバイスしてくれました。

私はしばらくの間、父が私の味方になってくれないことに腹を立てていた記憶があります。2、3日後には傷跡は消え、私は前に進みました。

血の付いた顔で、心に傷を負ったままここに座る私の心に、その記憶が波のようによぎります。

男性に襲われたのも私が悪いのでしょうか? 森の中を散歩していたらあの男たちにつまずいてしまったのも私のせいなの? 事故なの? あの男達も石と同じように命はないのですか? 

私は、外を歩く度に悪魔に連れていかれないように注意しなければならないの? それとも、悪魔が現れたとき自分の身を守れない私が悪い?それができない私はこれからずっと家に閉じこもっているべきなのですか?


一番大事な質問…この傷は癒えるの? 私はまた前に進めるの?

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・男性に襲われたのは自分のせいなのか

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幼いころから、外で何かが起こったときは自分に責任があると教えられてきたタニリカ。こういった教育をすることはタニリカに限ったことではありません。そして、一見タニリカの父親のいっていることは正しいようにも思います。思い出話の前半部分では、石に腹を立てているタニリカはワガママな子だと感じた方もいらっしゃったのではないでしょうか。

しかし、「石」を「性的暴行を行う男性」に置き換えてみたとき、この話に納得がいかなくなるのです。それは、タニリカが石に腹を立てていた理由が理解できた瞬間です。

・誰が悪いのか

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インドでは、人気のない道を一人で歩く女性が悪かった、女性らしい服装をして出歩いているのが悪かったなど、レイプ被害にあった女性側にも問題があったという目で見られることが少なくありません。このフォトシリーズはそういった考え方の人に真実を伝えたいという思いで制作されたそうです。

石は命を持ちませんが、男性は命があります。その男性が牙をむいてきたときも、女性側が気を付けていなかったから悪いと言えるのでしょうか。そうではなく、男性の人間性に問題があるということがこのフォトシリーズを見ればわかると思います。

・男性の友だち関係

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また、このフォトシリーズは登場人物の背景が細かく設定されていてそういった意味でも引きこまれます。シリーズに登場した4人の男性には色んな考えを持った人がいて、誰か一人でも悪いことを考えている人がいたら、周りの人たちも流されてしまうということがあるということが暗示されています。

レイプをしようとする男性は「悪」という考えが根付いていない社会では、つられて一緒に行動を起こしてしまう友人がいてもおかしくありません。

また、人間には2面性があります。普段はいい人に見えていても、悪い人だったということもありますし、意思の弱い人は周りに流され悪いことに巻き込まれることもあります。また、悪いことをしてきた人に良い心が残っており改心することもあるということが、フォトシリーズに登場する4人の男性から感じることができます。

・写真を見た人の感想

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この23枚の写真を見られた方の感想がFacebookに寄せられていました。「すごい想像力、ストーリーだ」「すごいわ。この女の人は助かったからいいけど、悲しいことに現実は助からない人が多いの」「どうやったら行為に及ぶ前に男性の心を変えることが出来るの?それが私の質問よ。」

・いかがでしたか。

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性的暴行の被害にあった女性に落ち度がなかったのか目が向けられるということは、インドに限ったことではありません。日本も例外ではありません。被害者に原因がなかったのかと目を向けるのではなく、加害者の人間性に問題があるということに気づくべきなのです。

性的暴行はなぜ起きるのか、加害者と被害者それぞれが何を思っているのか、第三者はどう対応すべきなのか、そんなことを改めて考えさせられるフォトシリーズでした。

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