コンビニ業界に詳しいライターの日比谷新太さんが、業界の裏事情を徹底レポートする当シリーズ。

前回のコンビニパンの現状に続き、今回ご紹介するのは、レジのお金が合わなくなった際の対処法について。故意に盗んだわけでなければ、店員が負担することはまずないと思うのですが、実際のところは……。

レジ作業で発生した現金ロスの処理

コンビニエンスストアには、毎日お客さんが約1000人来店します。それも、あらゆる時間にまんべんなく来店するのではなく、朝やお昼時など特定の時間に集中(ピーク時間)します。

その時間帯はレジがフル稼働し、レジ精算・電子レンジでの温め作業・袋詰め作業・中華まんの提供・おでんの提供・公共料金の支払い・チケットの発券販売など、膨大な作業をハイペースでこなす必要があります。

各店舗のアルバイトたちは、懸命にその作業を行っていますが、どうしてもミスが発生してしまいます。そのミスにも様々なものがありますが、今回は現金ロス(現金差異)について、どういうふうに処理するのかをご紹介しましょう。

まず前提として、コンビニでのアルバイトの勤務はシフト制になっています。シフトは6時~9時、9時~13時、13時~17時、17時~22時、22時~6時という、5つの時間帯に分かれているのが一般的です。また、コンビニに導入されているレジには、レジ操作を行ったのが誰なのかが分かるシステムが導入されています。

通常コンビニでは、ある勤務者のシフト時間が終わり次のシフト勤務者に交代する際に、レジ点検を実施します。このレジ点検では、お客さんから頂戴した現金の金額と、レジ操作(商品スキャン)で登録した現金の差異を確認します。

レジは誰が操作したのかが分っていますので、もしレジの操作ミスによって現金差異が発生した場合、誰の操作によってミスを発生したのかが分かります。

この現金差異の最終処理ですが、本来ならば店舗の負担となります。ところが、その現金差異分を該当のアルバイトが負担、具体的にはシフト終了時に精算させるというブラックな店舗が、一部では存在しているのです。

アルバイトが負担した現金の行方ですが、従業員懇親会などの資金にする店舗もあれば、なかには店長がそのまま頂戴する店も存在するとのこと。また埋蔵金としてプールをしておき、トラブル発生時に立て替えるというケースもあるそうです。

なぜか無くなる「たばこのカートン」

コンビニのなかには、たばこも扱っている店舗もあります。たばこの在庫は「カートン」と「バラ」の2種類が存在します。

大半の店舗では、店内のレジカウンターの背面にある専用什器に陳列しています。また、レジカウンターが大きな店舗では、レジ前面にたばこ販売用の什器を展開し、お客さんが自分で商品を手に取れるようにしています。

お客さんが自分で商品を手に取れるようになると、万引きの危険性が高まります。しかし、このセルフ販売を行うと、たばこの売上は確実に上昇します。お店としては、万引きのリスクと売上アップを両天秤にかけながら、どうするかを決めています。

では、カートンはどう扱われているかというと、レジカウンターの後ろやバックヤードの棚・カギ付きのロッカーの中など、基本的にお客さんが手に取れない場所に保管されています。ただ、お客さんが商品を手に取ることは非常に難しい場所のはずですが、それでもなぜか無くなることがあります。

そういった場合、原因は「従業員の内引き」がほとんどです。これは店長などの責任者が不在の時間帯に、従業員が商品を持ち帰る行為です。

コンビニでは、商品の納品・販売がシステムで管理されており、お店の中に商品在庫がいくら残っているのかが分かります(これを帳簿在庫と呼びます)。帳簿在庫と実際に商品数を数えた在庫数(実在庫)を比較し、どの商品が何個なくなったのかがわかります。

20年以上経営しているとある店では、毎回棚卸を行うたびに30万円分、40万円分も商品が無くなっていることがありました。この店舗でも同様の調査を行ったところ、たばこのカートンが大量に無くなっていることが分かりました。

そこで、たばこのカートンが保管されているロッカー前に、防犯カメラを設置したところ、あっさりと真相が判明しました。犯人は勤務歴10年以上のベテラン従業員でした。

事情を確認したところ、本人は悪いことをしている、窃盗行為をしているという気持ちは全くなかったということです。

どうやら、在庫は好きに持って帰っていいものだと、先輩従業員たちから伝授されていたようです。また、たばこだけでなくお菓子も、新商品が入荷されるたびに友達のために持って帰っていたそうです。

文/日比谷 新太(ひびや・あらた)

日本のコンビニエンスストア事情に詳しいライター。お仕事の依頼はコチラ→のメールまで: u2_gnr_1025@yahoo.co.jp

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス