4000メートルの崖にかこまれ、そとの世界を知らない町がありました。

町はえんとつだらけ。

そこかしこから煙があがり、あたまのうえはモックモク。

朝から晩までモックモク。

えんとつの町に住む人は、くろい煙にとじこめられて、あおい空をしりません。

かがやく星をしりません。

出典えんとつ町のプペル

つまらなくなった理由に「時代の閉塞感」を挙げる人がいる。たしかに、それはあるかもしれない。

夢を語れば笑われて、行動すれば邪魔される。前に進めば引きずられ、誤ればボロ雑巾のように扱われる。

そこかしこで、「芸能人の不倫、許すまじ」の大合唱。他人の家庭の事情に首を挟むなんて、狂気の沙汰だ。

不倫が「道徳違反」と言うのなら、他人の家に土足でズカズカ上がって、「お前達の恋愛は間違っている!謝れ!」というのは、それ以上の道徳違反だが、もはやそんな理屈など通用しない。

熱中できることを持たない人々は、ただひたすらに私刑の理由を探している。ただ、それだけだ。

「不倫」や「独立」なんてキッカケでしかない。大衆は、私刑開始のキッカケたる《摩擦》を探している。

摩擦を探し、そこを指摘することで、精神を保っている。一見すると『悪』だが、その正体は防衛本能だ。

それは全ての生き物のDNAに刻み込まれている機能なので、理屈ごとき、道徳ごときが奪い取れるものではない。

対話で解決できる問題ではない。「頭では分かっていても…」という類のやつだ。

ピースの綾部君が活動の拠点をニューヨークに移すそうだ。いいじゃないか。最高だ。

しかし、彼が、彼しか知らない環境の中で、悩み考え、他の誰のものでもない、彼の人生の時間を使った決断であろうと、やはり、「絶対に失敗する!」「迷走してんの?」「何も分かっちゃいない!」と、さも正論を振りかざす人は一定数存在する。

そして、容易く言葉にし、文章に残し、インターネットによって可視化されたその指摘は、「あ。お前も同じことを考えてるの?やっぱりそうだよねー」と横の繋がりを生み、指摘に勇気と自信を与え、強固なものとなり、見事に時代の閉塞感を生む。

誰か一人の巨大な悪が存在するわけではなくて、小さな防衛本能の集合体が、閉塞感だ。それはジックリと、しかし確実に空を見上げる人を減らし、星を信じる人を減らす。

気がつけば、頭の上は黒い煙でモックモク。現代は、まさに『えんとつ町』だ。

ただ、僕はそれを絶望的な状況とは思わない。摩擦を指摘する人が増えれば増えるほど、少しの摩擦で大きなインパクトを与えることができる。「なんでもオッケー」の時代よりも、遥かに効率的だ。

しかし、勢いで摩擦を起こしてしまっては時代や権力に殺されてしまう。

革命には時間が必要だ。すべて先回りして、根回しをして、全方位に対応できるようになる。その為の準備期間が必要だ。

独立を考えるタレントは、テレビに干されようが、事務所に干されようが、時代に干されようが、次の日から通常運転できる為の別軸の線路作りをしておくことが必要だ。

これは一朝一夕でできるものではない。上手くやれる人はもっと早いのかもしれないけれど、少なくとも僕は10年かかった。

露出を制限されようが、流通を止められようが、自分の活動や作品を世に届けられるようにする為の整備に10年かかった。

僕の場合は独立する為ではない。《対等な関係で交渉できるようになる為》だ。仰々しく言えば奴隷解放運動で、それには事務所や世間との『交渉の権利』が必要不可欠だった。

ちなみに、お世辞でも、おべっかでも何でもなくて、僕は吉本興業が好きだ。『なんばグランド花月』を持っているから。

準備期間は、あるていど地中に潜ることになる。タレントの場合だと、露出していないと『オワコン』とされてしまうから、そことの根比べだ。

だけど…まぁ、これは恥ずかしいから、『えんとつ町のプペル』に登場する父親の言葉を借りると、

他の誰も見ていなくてもいい。

黒い煙のその先に、お前が光を見たのなら、行動しろ。思いしれ。

そして、常識に屈するな。

お前がその目で見たものが真実だ。

あの日、あの時、あの光を見た自分を信じろ。

信じぬくんだ。たとえ一人になっても。

出典えんとつ町のプペル

時代に絶望することはない。閉塞感なんて、あって当前で、それを認め、その中で、どう動くかだ。

僕は、「未来はどうなると思いますか?」と訊かれることがある。『魔法のコンパス』なんて本を出したから、余計に。

その時、僕は必ず「未来は明るい」と断言する。

未来は明るいのだ。その理由を訊かれるけれど、「理由は、ここから一緒に考えよう」と返す。とりあえず『未来は明るい』という前提で話を進めて、そのゴールに向かって一生懸命帳尻を合わせよう、と。その方が成功確度が上がるから。

こんなことを言うヤツが描いた絵本が面白くないわけないと思うんです。『えんとつ町のプペル』まもなく発売です。すでに予約はスタートしています。お伝えするのを忘れていましたが、ステマです。

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