記事提供:CIRCL

「射精」のイメージから、常に精子を作り続けていると思われがちな男性の体。作り続けるという点はあながち間違いではないのだが、実は精子にも周期があることが、京都大学の研究で判明した。

また、精子を作る細胞の選択には偏りがあることも分かり、求める遺伝子を作り出すように周期をコントロールすることで、家畜の品種改良技術や、将来的には人の遺伝病予防の発展にも期待されている。

精子が作られる仕組み

ひと月に1度、女性の体内で限定的に作られ、加齢とともに徐々に減少していく「卵子」と違い(※1)、精子の素となる幹細胞は分裂することで増えていくため、精子は精巣の中で一生にわたり作られ続ける

また、幹細胞から精子が生成されるまで約70日かかるが、一旦完成すると射精されるまで2~3カ月は生き続けるという(※2)。

特殊なマウスで精子がどのように作られるのかを調査

精子は幹細胞から作られる。この基礎的な部分は判明していたが、たくさんある細胞の中でどの細胞が精子の形成に使われているのか、もしくは、それぞれの細胞から均等に精子が作られるのかなどの詳細は、これまで謎のままだった。

この謎の解明に取り組んだのが京都大学大学院医学研究科の研究チームだ。実験に使用したのは、遺伝的に自ら精子を作ることができない変異マウス(Wマウス)10匹。

ウイルス遺伝子を挿入した幹細胞をマウスの体内に移植し、2年間で生まれた子ども1325匹がどの幹細胞で形成された精子から生まれているかを調べ、パターンを解析した(※3)。

精子は卵子のように周期的に作られている!

実験の結果、幹細胞から作られる精子の数は、増大する時期と休止する時期が77日周期で繰り返されていることが分かった。精子が作られる数は一時的に休止するが、細胞分裂が止まるのではなく、精子を作る過程で細胞が死ぬことが原因なのだという。

ただし、マウスの精巣に2~3万個あると言われている幹細胞の中からランダムに死滅するわけではなく、細胞死する幹細胞と精子を生み出す幹細胞に選択されている可能性がある。研究グループは、精子はそれぞれの幹細胞から均等に生み出されるのではなく、偏りがあると考えている(※3)。

精子は遺伝子を運ぶという重要な役目を担った存在だ。それを生み出す仕組みをさらに理解することで、求める遺伝子を次の世代に伝達させたり、逆に、望まない伝達を阻害したりといった、より画期的な遺伝子コントロールが可能になるかもしれない。

現時点ではまだマウスでの実験段階だが、こうした技術はいずれ、家畜の品種改良や人における遺伝病の予防などに貢献する可能性を秘めている(※3)。研究チームは今後幹細胞の周期に焦点を置き、さらに理解を深めていくという。

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