記事提供:LITALICO 発達ナビ

ある日、ぽつりと娘がつぶやいた言葉に私は打ちのめされました。これまでの叱責が子どもをずっと気付けてきたことに、心から反省しました。娘は、どれほど苦しかったことでしょう…

この1年で、怒りっぽい娘に変化が

発達障害を抱える子どもたちは、私たちが想像する以上に傷付き、生き辛い毎日をなんとかこなしているのかもしれません。

もしあの時、児童精神科の門を叩かずに「怒るのをやめなさい」と娘に言い続けていたら、どうなっていたのでしょう。もしかすると、「生きていたくない」という思いがどんどん強くなり、自分を傷つけるような行為に繋がっていたかもしれません。

些細な出来事が怒りに直結し、毎日苦しむ娘を見かねて児童精神科の門を叩いたのは、およそ1年前のことでした。その後、アスペルガーの診断が下り、この1年で娘は大きく変わりました。

四六時中、口を開けば誰かを攻撃して怒りを爆発させていた頃が嘘のように、笑顔でいる時間のほうが多くなりました

自分を責め、否定し、卑屈になっていた娘が、褒められれば「ありがとう」と素直に受け入れられるようになったのです。これは大きな変化でした。

ふとした時に漏れた衝撃の本音。娘の辛さを理解してやれなかった私は…

ところが、そんな娘の笑顔を眺めてホッとしていた矢先、ある日のことでした。衝撃の言葉が娘の口から漏れたのです。

「私、児童精神科に行くまで、自分のことが大嫌いだった」
どうしてこの世に生を受けてしまったんだろうって、ずっと思ってた

たった7歳の娘が、産まれてきたことを後悔し、誰にも打ち明けられずに悩んでいたなんて…その事実に打ちのめされました。

これまで精一杯、愛情を注いで来たつもりでいたけれど、でも…。タイプの違う娘と息子を抱えて奮闘していた私は、毎日の生活を送るだけで精一杯でした。

パニックを起こして泣き叫ぶ息子に容赦なく怒りを振りかざす娘に対し、「どうしてそんな些細な事で怒らなければならないの!?」とイライラをぶつけたことも多々ありました。

怒りをコントロールできずに苦しんでいたのは、誰よりも娘自身だったのに、私は苦しんでいる娘にさらに追い討ちをかけ、追いつめていたのです。アスペルガーの娘には「嫌な記憶が何度もフラッシュバックされる」という特性があります。

その特性を持つ娘は、母親から浴びせられた否定的な言葉を、何度頭の中でリピートしたことでしょう。そのたびに「私はダメなんだ」「どうして私はこうなんだ」と、自分を責め続けていたのだと思います。

娘の本心をやっと理解し、反省した私。しかし、これで解決する訳でもなく

娘と私の8年間。振り返ってみると反省すべき点はたくさんあります。たとえ親であろうと、間違ってしまったことはきちんと謝らなければ、前には進めません。

わかってあげられなくて、ごめんね。ずっとずっと辛かったね。」「よくがんばってここまで来てくれたね。これからは一緒に前に進もうね。」

失敗を取り戻すことはできませんが、私の腕の中で大きな安堵のため息をつく様子を見ていると、娘の心は少しずつほぐれていったような気がします。

これで娘の苦しみが消えてしまった訳では決してありませんし、これから先もずっと、悲しい記憶が何度も蘇り、娘の心を傷つけ続ける事でしょう。娘が生まれてきたことを後悔する理由は、他にもたくさんあるのだと思います。

少し笑顔が増えたからといって、今までの出来事がなかったことにはならないのです。忘れられない悲しい記憶と共に生きていく、というのは、そういうことなのです。

傷ついた娘に、親がしてやれることはあるのだろうか?

私自身、娘の診断が下りる前は「診断がつくのかどうか」「発達障害の中でどこに分類されるのか」、そればかりを考えていたような気がします。

もちろん、診断名は大切です。何をどうすれば良いか、どんな特性があるのか、どんな思考の偏りがあるのか、調べるのに便利だからです。でも、診断名が出たからといって、何かが大きく変わる訳ではありません。

親が自ら変わっていかなければ、何も変わってはくれないのです

私は娘ではありませんから、完全に娘を理解することなど不可能です。それでも、娘の話をさえぎらずに聞いてみたり、いろんな文献に目を通して「こうかな?」と想像してみたりすることはできます。

親が懸命に寄り添おう、理解しようとしている姿を見せるだけでも、子どもの中で何かが変わり始めるような気がします。

まずは小さなところから、何でもいいから良さそうだと思ったものは実行してみる。その方法が自分たちに合わなかったら、すっぱりとやめて違う方法を探してみるその繰り返しが、きっと財産になっていくはずです。

まだまだ、一度怒りに火がついてしまうと消火するのが大変で、正義感が強いため、自分に関係のない人の行動も咎めずにはいられない娘。それでも、もう2度と「生まれてこなければよかった」と娘に思わせないために。

「このお母さんの元に生まれて来て良かった」と、心の底から思ってもらえることを目標に、これからも日々子どもたちと向き合っていきたいと思います。

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