日本の食卓には欠かすことのできない海苔。様々な場面で「名脇役」として活躍している食品です。かつて海外では、海苔はその見た目から得たいの知れない黒い紙として認知されていました。

しかし、近年その風味だけでなく、ヘルシーさや豊富な栄養分も兼ね揃えているという認識が高まり、各国で海苔ブームが起きているようです。

世界各国で海苔が人気!

海苔の世界的なブームを報じるPRIの記事では、急速に需要が増えているということ、また栄養分に富んでおり、かつては食べ物として認識されていない国もあったが、いまや食料としてだけでなく、

スキンケア製品や医薬品、接着剤といった生産品にまで幅広く使われるようになったと伝えています。

出典 https://www.flickr.com

オランダで開かれた海苔巻きのワークショップ。

2014年時点では、全体で6億米ドル(約621億円)にまで上昇した海苔の売り上げ。今では中国、韓国、インドネシアに加えて他国もその海苔の生産地を広げているとのことです。

学術ジャーナル『ネイチャー』が以前に発表していましたが、遺伝子の関係でこれまで「海苔は日本人にしか消化できない」と言われてきました。

しかし、韓国、東南アジアの一部やイギリスなどでは日本のようなシート型ではなく、のりの佃煮のような形状で食べられていたそうです。そして、世界各地でおこっている寿司ブームなどにより、近年海苔の需要が増えてきたといわれています。

では、欧米諸国ではどのような形で食されているのでしょうか?フランスの会社が海苔をヘルシー食品としてオシャレに売り出しています。

カリフォルニアに住むヘルスコンシャスな女性も海苔に夢中。誇らし気にレシピやその栄養価について語っています。「(一部抜粋)今日のランチに美味しいシーウィードラップを作ったの。アボカド、七面鳥、人参、スプラウトに溜まり醤油をかけたものよ」

こちらもアイルランドの若い女性が、海苔をさりげないアクセントとしてお洒落に料理しています。そして菜食者主義の人にも人気があるようです。使い方としては日本のレシピに似ているような気もしますよね。

そして、海苔のチョコレート!どんな味がするのでしょうか。カリフォルニアのオンラインショップで売られているようです。とても気になります。

こちらも手巻き寿司を野菜版としてアレンジした海苔のレシピだそうです。

「海苔をとったぞー!」

「美味しいよ〜!」

また著名なイギリスのシェフが『The Seaweed Cookbook』といった海苔のレシピ本を今年8月に出版し、話題を呼んでいます。

ブームの影に、研究者が栽培方法に警鐘を促す?

ただ、国連大学の科学者がこの海苔ブームの栽培方法に警鐘を鳴らすコメントを発表しています。イギリスにあるスコティッシュ・アソシエーション・フォー・マリーンサイエンス(SAMS)に所属する海洋生物学者のエリザベス・コッティエール−クック氏は

「日本や韓国、中国、インドネシア、フィリピンといった多くの国々は、何百年もの間、海苔の農業経営で利益をあげてきました。それも非常に良いやり方で。この経営によって貧しい田舎の地域に多大な収入をもたらすことができたのですから」

と長期間に渡って行われてきた海苔の農業方法を称えています。加えて、ここ10年、海苔が主に消費されてきたアジアの国以外、例えばカナダ、アメリカ、スコットランドといった国にまで、新しいマーケットを広げてきました。

そう、その繁殖方法が簡単なゆえ、インドネシアやフィリピンの原種が今では30を超える国にて繁殖するまでに至ったのです。

コッティエール−クック氏も「繁殖方法は非常に容易」であると語り、海苔を切り、その切った一部分を世界中のどこに移植したとしても、適した温度が保たれる限りはどこでも養殖が可能ということなのです。

ただ、その繁殖しやすいからこそのリスクがあることを忘れてはいけないと警鐘を鳴らしました。それは新しい場所に、原種だけでなく害虫や病原菌までもが「ヒッチハイク」されてしまうということです。

また他の作物と同様にグローバルな規模で行われている単一栽培方法は注意する必要があります。2011年から2013年の間にフィリピンにて「アイスアイス病」(ice-ice disease)といわれるバクテリアの感染が、海苔の栽培に生じてしまったのです。

その名が示すとおり、この病原菌に感染すると感染した部分が漂白し、さらには凍結してしまい死に至るのだそう。また、その損害額は310万米ドル(約3.2億円)というのだから、この期間の打撃は計り知れません。

海苔の品種自体に生物学的多様性がなかったため、この病気にかかることは根の深い致命的な問題となりました。「水路によってものすごい速さで全作物を失ってしまうのです。これらの作物はクローンですから。

そして、全ての農場では同品種であることによって、ひとつでも感染してしまえば全て感染してしまうのです」と言葉を続けます。

国連は、このクライシスを引き止めるために、他産業の業者からも彼らが苦労して手に入れた教えを海苔の農場経営者達にも取り入れるべきだと薦めているそうです。

前述したコッティエール-クック氏も、バイオセキュリティーの改善だけでなく、遺伝子構造が異なる品種を大量に生み出していくことが求められていると言います。栽培方法、経営方法共に課題を抱えながらも今後も伸びしろがありそうな海苔ビジネス。

日本人にとっては海苔は古風で保守的なイメージのある身近な食べ物ですが、外国人のフィルターを通してみるととてもクリエイティブに見えますね。これを機に新たな海苔の魅力を発見することができそうです。

周りでまだ海苔が苦手な「時代に追いついていない」外国の人がいたら、この魅力を伝えてあげてください。

文/臼井史佳

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