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「ママがスマホばっかりみてるから、ぼくはスマホになりたい」。子供にこう言われた時、初めて自らのスマホ依存症に気づく親たちもいるのではないだろうか。

シンガポールのネットニュースに掲載されていた小学生の作文をもとに、著者が絵本にしたものが『ママのスマホになりたい』(のぶみ/WAVE出版)である。

主人公のかんたろうくんは、幼稚園に通うお兄ちゃん。ブロックのスゴいのを作っても、ものすごい怒った顔をしても、スマホばかり見ているママはちっとも振り向いてくれない。

そんなママの姿を見て、初めのうちは呼びかけられても「わかんねぇよ!」と突っぱねていたかんたろうくんだったが、それでもスマホを見続けるママ。腹の立ったかんたろうくんは思わず、ママの手にあったスマホを叩いてしまう。

「あ!コラ!なんでそんなことするの!!」。本書にはママが目を大きく見開いて驚く姿が、著者らしいカラフルなタッチで描かれている。

現実の育児でも、同じようなことはないだろうか。子供が昼寝をしている時だけ、子供がテレビを見ている時だけ。そんなつもりでスマホを眺めていたはずが、気づけば何十分も子供をほったらかし。

「子育て」が「孤育て」とも言われる現代社会、家事と育児に日々奮闘する孤独なママの姿を誰よりも知っているのは、外で働くパパではない。じっと黙ってママを見ている、子供たちである。

そう考えると、主人公のかんたろうくんの目に映るママの姿は、もしかしたら今、この記事を読んでいるあなたなのかもしれない。著者が子供の目線で描く本書のストーリーは、21世紀の育児スタイルのあり方を改めて親たちに問う絵本のようにも思えてくる。

ところで冒頭の言葉は、主人公のかんたろうくんが幼稚園の帰りの会で「おとなになったら」という本を先生が読んだ後、泣きながら発表したものである。「ママがスマホばっかりみてるから、ぼくはスマホになりたい。

ママがテレビばっかりみるなら、ぼくはテレビになりたい。ママがあかちゃんしかみないなら、ぼくは赤ちゃんになりたい」。涙ながらに訴えるその姿は、読み手である私たち一人ひとりが子供との向き合い方について、大いに反省させられるシーンであろう。

「ママね、かんたろうがおもっているよりず~~っと、かんたろうのことがすきなのよ」。かんたろうくんのママのように、これからは子供の顔を見て育児をしようと決意する親は、果たして何人いるのだろうか。

本の帯には「全国のママに読んで欲しい一冊」とあるが、スマホ一台に振り回される現代は、子育てに関わるすべての人が今すぐ読むべき本なのかもしれない。

本書には、見返し部分に「しつもんタイム」があり、「ママは、いちにちなんかいくらいスマホみますか」の質問と、「いきぬきもたいせつだけど こどもは、すぐおおきくなるからちゅういを!」という、著者らしいメッセージがある。まずはスマホを置き、親子でじっくり本書を読むことから始めるのも悪くない。

文=富田チヤコ

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