記事提供:幻冬舎plus

究極のフリーランスとして生きる格闘家・青木真也による『空気を読んではいけない』は、ビジネスマンを中心に火がつき発売即、異例の2万部重版が決まった。

今回は、同じくフリーとして活躍する作家でブロガーのはあちゅうと、自分の好きなことを仕事にすることについて語り合った。

ガソリンみたいな本!

はあちゅう 新刊読みました!本に書かれていた言葉にビシバシ打たれました。

青木 
本当ですか?

はあちゅう ツイッターにも書いたんですけど、ガソリンみたいな本だなと思って。1ページ目から疾走感あふれる、読んでる人を叱咤激励する本ですね。

青木 おお。うれしい。

はあちゅう 行動したくなるような本だなと。説得力があったのと、言いきりが潔かったです。

青木 中途半端にしてもしょうがないから、振り切って書きましたね。

必ず先取りする理由

この本は究極のフリーランスとして生きる格闘家・青木真也の生存戦略が書かれているのですが、その中に新しい技術や情報には誰よりも早く飛びつくのが大事だという話がありますね。

青木
先行者優位は絶対あります。格闘技で言うと、相手が知らない技を仕入れると、完成度が低くても決まるんですよね。なので「新しいもの探しのゲーム」ではあります。

はあちゅう 私も一緒です。もうブログでもインスタでもフェイスブックでも、みんなが知っていれば知ってるだけ競争が激しくなって、センスと継続力がないと勝てない。

なので、新しいプラットフォームだったり、ツールが出る度に、これだったらナンバーワンを取れるんじゃないかという目で探しますね。

青木 そこは、同じですね。

はあちゅう 「新しい機能・サービスが出ました」っていうニュースを見たら、まずは自分で試してみて、自分に合うか合わないかの判断を先につけるようにしてます。

―青木さんは、新しい技術とかを取り入れ続けるのは好奇心なんですか?危機感ですか?

青木 危機感じゃないかな。

はあちゅう 両方ありそうですね。

青木 両方っすね。興味もあるけど危機感。やっぱり自分に腕がないことを知ってるから。

はあちゅう そこ、本を読んで、すごく共感しました。「僕は凡人だから」って書いてあって。凡人が努力する姿って心打たれますよね。

青木 腕がないから、とにかく新しいことを掘り続けていかないと生き残れないんですよ。

「職業」=「自分」ではないと耐えられない

―二人とも、安定した会社を辞めて、フリーになって活躍されています。はあちゅうさんは電通を辞めて、青木さんは警官を辞めましたね。

はあちゅう 警官だったということにビックリしました!

青木 死にそうになった。

はあちゅう なんで死にそうだったんですか。

青木 いや、思想教育です。要は、最初の研修で右向け右っていう人間にするわけですよね。それはきつかった。管理されんのが苦手なんですよね。

はあちゅう 苦手そうですよね。

青木 全然ダメ。ぐったりしちゃった。別に何が辛いってわけではないんだけど、みんなと同じことやらされると気が狂いそうになる。

はあちゅう 私もそうかもしれません。電通では、自分が立ち止まっていても生活が成り立っちゃって、何となく見栄えもいいっていうのがすごく窮屈で。

青木 ああ、分かります。それはしんどい。

はあちゅう 会議でも、「あの人何してるんだろう?」って人がやたらといるんです。そのときに、自分は足元から腐るって思っちゃったんですよね。そわそわしました。「人生ってこんな感じに流されていればいいのかな?」って。

青木 自分が「空気」みたいな存在になるのは耐えられないですよね。

はあちゅう そのときに一番悩んでいたのは、「伊藤春香」と「はあちゅう」が結び付かないことだったんです。コピーをどんなに書いても、「はあちゅう」っていうブロガーとしての実績にはならない。

「はあちゅう」っていうブロガーとしてブログをたくさん更新すると、今度は「伊藤春香」っていうコピーライターは何やってるんだ、ってなっちゃうんです。

「あいつブログなんか更新してる暇があったらコピー書けよ」って思われないかなとか、別に誰も、そんなこと言ってこないんですけど、自分が気にしちゃって。

―電通を辞めたのは、そこが原因だったんですね。

はあちゅう はあちゅう」と「伊藤春香」を一致させたいと思ってました。転職先のトレンダーズはそれを認めてくれたんですよ。創業者の経沢さんが、「はあちゅう」という名前を生かして働いてほしいって言ってくれて。

―青木さんも警察官では、「青木真也」として生きれないから、しんどかったんでしょうね。

青木 そう。それしかない。職業「自分」みたいなことですよね。職業「自分」は自由ですし、何してもいいですし。それはいいですよね。

自分の価値は自分で守らなければいけない

―フリーになってから何が大きく変わりましたか?

はあちゅう 会社員時代は嫌な相手でも付き合うのが大人だと思ってたんですけど、フリーランスになったらそういう思考が抜けました。

青木 そうですね。我慢して付き合うことの方がマイナスは大きいと思うので。でも俺、我慢して付き合ったことがないね。

―そうですよね(笑)。でも仕事や人を意識して選ばないと、自分がダイレクトに損しますもんね。

はあちゅう そうですね。例えばギャラをなかなか教えてくれないとか、すごい無理難題押し付けてくるとか、痛い目を何回も見てきました。

青木さんの本の中に「ギャラを下げるな」って書いてあったんですけど、まさに私もその境地にやっとたどり着けたみたいな感じですね。

ギャラを意味なく下げると仕事の価値も下がるし、自分で自分の価値を下げることになりますよね。

青木 はい。僕は海外でも、エージェントつけずにファイトマネーの交渉をしてきたので、面の皮が厚くなってるんです。

―会社が守ってくれないっていうのはでかいですよね。

青木 払ってくんないと、泣くのは自分ですからね。

はあちゅう 本当に後出しが多くて。最近、2時間と聞いて引き受けた仕事が、実際は7時間以上かかりました。こういうことには、ストレスを感じますね…。

青木 後出し多いっすよね。だから、タフに交渉して、自分の価値は自分で守んなきゃいけない。

バカを黙らせるにはカネしかない!

―二人とも「自分の価値」や「自分への評価」に対して敏感だと思うですが、の中には、「周りはすぐに手のひらを返す」って書かれてましたね。

青木 これはもう、基本です。

―何度も傷ついてきた?

青木 最初は。今はもうひっくり返してやるゲームだよね。

はあちゅう そうですね。

青木 「このやろう!見たか!おまえら」みたいな。そういうゲームですよ。

はあちゅう それで言うと、イケダハヤトさんもお金の話よくしますけど、私もやっぱり、バカな相手をわからせるには、お金が一番だと思っています。

だから、この本で、そのことが書かれていたのはうれしかったんです。本当に、バカを黙らせるにはお金なんですよ。いくら稼いでますってことが、相手にとっては一番わかりやすい。

―青木さんも、そこはこだわってますもんね。

青木 こだわってる。俺、情けないぐらいこだわってんだよ、それ。

はあちゅう でもすごい気持ちよかったです、本読んでて。「もっと言って!」って思いました(笑)。

青木 結局、格闘家みたいな、「好きを仕事にしてる人」は嫉妬も含めてなめられるんですよ。だから、好きでやってる上に稼いでるってことを見せ付けなきゃいけない。

危機感の正体

―二人とも、外から見てると絶好調だと思うんですが、危機感はまだありますか?

はあちゅう 危機感だらけですよね。

青木 
ああ、怖い。カネがなくなんのが怖いし、カネが稼げなくなるのが怖いし。だからもう怖いっすよ、すべてが。

―青木さんは年収を減らしたいって話をしますよね。

青木 減らしたい。右肩上がりじゃないと不安になっちゃうから。一回下げたい。

はあちゅう 私も右肩上がりじゃないと不安になります。

青木 でもそれ苦しくなるでしょう。

はあちゅう そうですね。フリーランスで2年目なんですけど、1年目に思ってたより稼げて、2年目はもっと頑張ったぞ、と期待したら、案外上がってなくて。

「私の頑張りは、自己満足でしかなかったか…」って悔しくて。お金にばっかりこだわってもしょうがないですけど、「収入は拍手の数」って思っているので、一つの指標として、バカにはしない。

青木 いや、それは、すごい。

―お金が入らなくなると怖いっていうのはどういう意味で一番怖いですか?単純に貯金が減るとかではないですよね?

はあちゅう フリーランスにとって収入は一番わかりやすい成長指標です。貯金が減るのではなくて、成長していないことや、後退していることに自分が気づかないことが怖いんです。

青木 そうね。そこが明確だから苦しいですよ、上ばかりを目指すのも。

はあちゅう 「もうこれだけ頑張ってるんだからいいか」って思うときと、「いやいや、こんなところで満足してる自分かっこ悪い」みたいな。ずっとこのアップダウンがあって。

青木 いや、向上心がすごいですね。

はあちゅうの「嫉妬力」

はあちゅう はい。とにかく何にでも嫉妬するので。マイケルジャクソンにも、ポケモンGO!にも。みんなが夢中になってるものがあると、「なんで、あれは私の仕事じゃないんだろう!」って思います。

青木 えぇ、苦しくないですか?

はあちゅう 稼いでいたり、活躍してる人には当然嫉妬するし、逆にイケハヤさんみたいに高知に移住して野菜を作ってるような人にも嫉妬します。「もし戦争が起って食糧危機になったらイケハヤさんのほうが豊かじゃないか!」みたいに。

―おぉ、終わりなき旅ですね。

はあちゅう 嫉妬しない人にも、嫉妬しますよ。「なんでこの人は嫉妬しないんだろう!生きるのが楽そうでうらやましい!」って。

青木 いや、はあちゅうさんはすげえですよ。

不安を消し去るためのスタートダッシュ

はあちゅう 未だに働きアリ精神があって。会社員時代は忙しい=稼いでるってことだったので、こういう風に外で対談するような仕事がないと超不安になるんですよ。私、今週は何も稼げてないし、生み出してないんじゃないかなって。

―noteで課金されてても?

はあちゅう ノートで課金されててもです。「やばい、私は今、社会からいらないものになりつつある」という感じがして。

―青木さんも、もろにそうですよね?試合がいつ決まるか分かんないですもんね。

青木 そうだよ。だから、深海で泳いでるような苦しさがあるわけよ。

―決まったら数千万だけど、決まんなかったら年収は0みたいな。極端な話そういうことですよね。その不安はやばいですよね。

青木 やばい。

―はあちゅうさんは、どうやって心のバランスをとってるんですか?

はあちゅう 私、昔から夏休みの宿題は7月中に終わらせて8月は遊ぶ派だったんです。

青木 それ。

はあちゅう 今年は最初の半年で5冊本を出したんですよ。早めに仕事を片付けました。だから残りの半年はちょっとふんわりして、心の余裕を持って、長期的なプランを立てようと思っています。

―最低ラインを最初にクリアしちゃうってことですね。

はあちゅう そうです。人生でいっても20代の最初の方が一番仕事を頑張ってるんですよ。もう胃薬とかがんがん飲んで自分を追い込んで、仕事してたんで。

だから、フリーになってからの仕事のほうが楽なんです。やりたいことしかやってないし。それは、初めのうちに苦しいことを全部やっといて、出来ること、出来ないこと、頑張ってどうにかなることと、ならないことを見極めたからかな、と。

青木 分かる。俺も24、5のときに、ファイトマネーは安かったけど、年間7試合して。あの時、追い込んだのは大きかった。で、大みそかは絶対試合するじゃん、それ、なんでだと思う?12月31日の収入は翌年の収入なんだよね、確定申告上。

―ああ、スタートダッシュって意味。

青木 そう。スタートダッシュ。

はあちゅう 
すごい、そうですね。先に距離をつけとくと落ち着ける。心の平常心は大事ですよね。

青木 俺は自分を一番信用してないから。競ったら負けるって思うから。だったらもう逃げ切りたいよね。もう相当逃げないとダメです。

―怖がりなんですね。

青木 怖がり、怖がり。でも勝負師は怖がり多いですよ。憶病じゃないと。

―はあちゅうさんも危機感は持ち続けるイメージですか?自分の人生。

はあちゅう そうですね。性格的にもずっと危機感を持ち続けます。

青木 結局、「好きなことを仕事にする」のは、自由で楽だけど、その分、常に危機感を持って生きていくってことですよね。

はあちゅう そういう意味でも、この本(『空気を読んではいけない』)は自分のオリジナルな道で生きていく!って人には是非読んで欲しいなって思います。

全ての仕事人に刺さる、極端ながらも本質的なメソッドがビッシリと詰まった『空気を読んではいけない』好評発売中!

青木真也(あおき・しんや)

総合格闘家
1983年5月9日生まれ。静岡県出身。小学生の頃から柔道を始め、2002年に全日本ジュニア強化選手に選抜される。早稲田大学在学中に、柔道から総合格闘技に転身。

大学卒業後に静岡県警に就職するが、2カ月で退職して再び総合格闘家に復帰。「DREAM」「ONE FC」で世界ライト級王者に輝く。

はあちゅう(はあちゅう)

ブロガー・作家
ブロガー・作家。慶應義塾大学法学部卒。電通コピーライター、トレンダーズを経てフリーに。「ネット時代の新たな作家」をスローガンに、ネットと紙を中心に媒体を横断した発信を続ける。

著作に「半径5メートルの野望」(講談社)など。月額課金制個人マガジン「月刊はあちゅう」が好評。ツイッター:@ha_chu

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