みんなが普段疑問に思っていることを編集部が調査・解決するコーナー「素朴なギモン」。今回はトイレのお話なので、お食事中の方は閲覧注意でお願いします。

飛行機のトイレの疑問に迫る

電車や船、旅客機などを利用した長距離の移動において、なくてはならない設備といえばトイレですね。いろいろなトイレの中でも、乗り物のトイレには強烈な特徴を持つものがあります。例えば、

シュゴッ!

と爆音を響かせて汚物を吸い込むニクイやつ。そう、旅客機のトイレです。Twitterをのぞいてみると、あの音が苦手な方も多いようです。

旅客機のトイレはなぜあんな音がするのでしょうか?今回は爆音の謎を含めて、飛行機でトイレについて調べてみました。

昔の旅客機は汚物を外に捨てていたってホント!?

飛行機が旅行に使われるようになったのは1920年ごろ。軍用機を旅客輸送事業に転用したのがはじまりです。その頃のトイレはどうだったのでしょう?

実は、飛行機による海外旅行が始まったばかりの頃は、トイレの汚物をそのまま外に出し、空中分解させていました。

出典 https://www.jal.co.jp

汚物を空中に捨てると、気圧の関係で霧状に粉砕されます。空中で散った汚物は、気流や風に乗ってどこかへ運ばれてしまうため、地上に着く時には、霧状になり分からなくなるのだそう。それもちょっと嫌ですよね…。

昔の旅客機は高度が低いせいもあってか、トイレの穴から地上が見えた、なんていう話もあります。いくら空中分解されたとしても、市街地の上空などで用を足すのはやはり複雑な気持ちだったのではないでしょうか。

現代の旅客機のトイレはどうなっているの?

では現代の旅客機のトイレはどうなっているのでしょうか?

昔のように機外に捨てるといったことはなく、タンクに溜める方式になっていました。JALの公式サイトによれば、同じタンク式でも、大きく分けて2種類のトイレがあるそうです。

1. 水を循環させ汚物をタンクに流す「循環式」

1つは、ボーイング747型機やDC10型機についている「循環式」と呼ばれるものです。循環式はそれぞれのトイレの下に汚物をためるタンクをもっていて、その名の通りタンク内の水を循環させることでトイレを洗浄しています。

出典 https://www.jal.co.jp

言ってみれば水洗式のトイレで、長い間この方式が使われていました。循環式は同じ水をキレイにして再利用しますが、何度も使っているうちに汚れてきてしまいます。さらに、タンクが真下にあるため、臭いもキツかったようです。

さらに、循環式は洗浄用の水を積まなければならないため、その分機体が重くなるというデメリットもあります。衛生面でも効率の面から言っても、いまひとつなトイレだったと言えるかもしれません。

2. 現在主流となっているのは、気圧を利用し汚物を吸い込む「バキューム式」

現在主流となっているタイプで、「シュゴッ!」という音とともに汚物を吸い込むのはこちらです。

もう1つは、ボーイング767などの飛行機で採用されている「バキューム式」と呼ばれるトイレです。この形式では、機体の後方に「ウェストタンク」と呼ばれる数個の汚物用タンクを装備し、機内各所のトイレの汚物をまとめるという方法を採用しています。

出典 https://www.jal.co.jp

飛行機の機内は快適に過ごせるよう、地上とほぼ同じ気圧に保たれています。一方、機外は高度が上がれば上がるほど気圧が低くなり、機内と機外が繋がった瞬間に機内の空気がすごい勢いで機外へと流れていきます。

よく映画などで、飛行機の窓が破れて機内のものが機外に吸い出されるシーンがありますが、これは空気が気圧の高い方から低い方へと流れるために起こる現象です。

バキューム式もこれと同じで、機外に通じるパイプを設置し、気圧の差を利用して少量の水とともに汚物を吸い出し、機体の後部にあるタンクに送る仕組みになっています。高度が低い時でも、「バキュームブロア」という機械で気圧の差を作り出し、汚物を吸い出すことができます。

こちらは循環式のように大量の水を必要としません。また汚物とともに臭いを吸い込むうえ、タンクが機体の後方にあるため、トイレが臭わないというメリットもあります。

出典中部国際空港株式会社提供

写真は中部国際空港セントレアで働く汚水処理車「ラバトリーサービスカー」です。抜き取られた汚水は処理場まで運ばれます。

そして最後の仕上げは汚水の処理です。タンクの汚水は着陸後、汚水処理車によって抜き取られます。

ちなみに、トイレがない戦闘機に乗っていて用を足したくなったら…?

旅客機と異なる目的で運用されている軍用機はどうでしょう。特に戦闘機にはトイレなど設置できませんから、別の意味での緊急時にどう対処するのかが気になります。

航空自衛隊、西部航空方面隊のサイトを覗いてみたところ、Q&Aコーナーにこんなやり取りがありました。

※戦闘機に乗っているときにトイレに行きたくなったら?

「我慢するしかありません(^◇^;)そうならないように、トイレで用を済ませてから飛行します。ただし、空中給油を行って何時間も飛行するような時は、携帯用トイレを持って行きます。」

出典 http://www.mod.go.jp

旅客機のような快適さとは無縁なフライトですが、任務遂行のためには仕方がないのかもしれません。

あの「シュゴッ!」という爆音は、実は意味があり、快適な空の旅を追求した結果生まれたものだったんですね。

どんどん快適になっていく空の旅。昔と違って安心して用を足すことができますし、安心して青空を飛ぶ旅客機を見上げることができますね。

この記事を書いたユーザー

Spotlight 編集部 Shin-shin このユーザーの他の記事を見る

生まれは昭和、ライター生活はウン十年。紙媒体がメインでしたが最近はWeb等でも記事を書き始めています。それなりに生きてる割に人生経験はショボく、しばしば情報の波に流されて溺れます。そんな中でも、面白くて心を打つ情報をお届けできればと思います。

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス