大隅良典さんが2016年のノーベル医学生理学賞を受賞

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10月3日、2016年ノーベル生理学・医学賞が東京工業大学栄誉教授の大隅良典さんに決まりました。大隅さんが解明したのは、すべての動植物に備わるとされる生命活動の基本・細胞が自らのタンパク質を分解して再利用する現象「オートファジー」のメカニズム。

オートは「自分」ファジーは「食べる」という意味で、「自食作用」と訳されます。一般にはあまり聞き覚えのないオートファジーですが、実はジャンプ読者の間で「これ知ってる!」と話題になっています。

オートファジーは漫画「トリコ」にも登場していた

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「トリコ」は、2008年から週刊少年ジャンプで連載されている島袋光年さんの人気漫画。「食」をテーマとした異色のバトル漫画で、未知の食材を見つけるため世界各地を冒険するというストーリーです。

今回の受賞が発表されると「オートファジー…『トリコ』で読んだぞ!」「オートファジー懐かしすぎ!お腹空いた時によく使ってたww」「「オートファジー」という言葉を知ったのはトリコでした」など、「トリコ」読者の間で一気に盛り上がりました。

学者たちも「トリコ」での解説を絶賛

ジャンプ連載時、オートファジーが取り上げられた事を受け、大阪大の吉森保教授は自身のHPにその感想を書き込んでいました。

なんと連載漫画の中にオートファジーと書かれているではないか! 読み間違いではなく、紛れもないオートファジー、しかもカッコして自食作用と正しい日本語訳も付いているし。さらには次のページには「オートファジー(自食作用):栄養飢餓状態に陥った生物が自らの細胞内のたんぱく質をアミノ酸に分解し一時的にエネルギーを得る仕組みである」という、好い加減な英文総説真っ青の極めて正確な説明までついている

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うーむ、感無量... ついにオートファジーもここまできたかあ。苦節10数年、やーいやーいオートファジーと蔑まれ続け(嘘ですが)、それが天下の少年ジャンプに...もう思い残すことはない(って大げさな)。

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大隅さんと共に研究を続けてきた東京大学の水島昇教授は「トリコ」のシーンをスライドで表示して講義をしているといいます。

また、前述の吉森教授は、なんと海外の講義でも「トリコ」を使っていると大阪大学医学系研究科・医学部のメールマガジンで語っています。

私のお気に入りのエピソードで、海外での講演でも毎回紹介している。今やクールジャパンを代表するMangaは国際語のようで、大いに受ける。

少年ジャンプは週間で300万部を売り、しかも一般の人が読む、これはNatureやScienceなどに論文を載せるより重要な出来事である、と言うと、ハーバード大医学部やその他の名だたる場所で爆笑と拍手喝采である
(ハーバードの医学部長には、講義で使うからスライドをくれと言われた)。

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マンガアプリ「少年ジャンプ+(プラス)」で緊急無料公開中!

この盛り上がりを受け、集英社は5日『ノーベル医学生理学賞受賞記念』として、「トリコ」のオートファジーが登場する3話分のエピソードを、マンガアプリ「少年ジャンプ+」で緊急無料公開しました。

「ジャンプ+」では「トリコを読めば話題のオートファジーが分かる?!」とアピール中。この無料公開期間は10月12日23時59分まで。関係者も納得のオートファジー登場シーンを、この機会にぜひ確認してみては如何でしょう。

「役に立つかどうか」より「どうなってるんだろう」という素直な気持ちが大切

ノーベル賞受賞の記者会見で、大隅さんは「『人の役に立つ』とか『必ず成果を出す』とかそうしたことがが強く求められていて、若い人たちが自分の興味のままに道を進み、自然体で生きることが難しくなっている」と語りました。

大隅さんは子供の頃、12歳年上の長兄が帰省のたびにお土産に持ってきてくれた子供向けの宇宙や生物、化学に関する本の影響を受けたそうです。大人になってからも当時の気持ちのまま、大好きな顕微鏡を何時間も覗いているうちに偶然に見つけた一つの細胞。これがオートファジーを研究するきっかけとなりました。

「とても面白いことを見つけた」と当時会う人ごとに話していたと、今になっても言われます。よほど嬉しかったのでしょう。

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「大事なのは、子ども時代に誰もがもっている、『これは何だろう、どうなっているんだろう』という素直な気持ちです。そこには、数十年後の社会を支える発見があるかもしれない。自分がおもしろいと思う道を突き進んでいってほしい」

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Twitterでは「これをきっかけに小中学生が『漫画のなかだけじゃなくて本当にある現象なんだ!』って理科に興味持ってくれたら良いですね」というコメントもありました。

現代は時間に追われ、結果が出ないものはすぐに見切りをつけるという風潮があります。大隅さんも「自分の興味のままに道を進み、自然体で生きることが難しくなっているのではないか」と語っていました。

子供たちが何かに興味を持った時、外からの評価ではなく、自分の内側にあるワクワクした思いを育ててゆける、そんな社会にしていく事が大人たちの役割かもしれません。

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