記事提供:R25

経営する会社のスタッフは中川さん含めて2人。「最小で最大限の売り上げを出す」

「収入は世間平均の42歳よりはかなり多い。貯金も平均的な同世代より多い」――ネットニュースの編集者・中川淳一郎さんは、著書『節約する人に貧しい人はいない。』(幻冬舎)の中でこのように述べている。年収が上り調子になっても低収入時代の金銭感覚を維持し、無駄遣いをせずにいたらどんどん貯金が増えたとのこと。

そんな中川さんにお金の使い道を聞いたところ、「ほとんど使わない。基本的に酒代だけ」ときっぱり。なぜ、中川さんは「酒代=飲み代」には積極的にお金を使うのか。

「打算で付き合う=悪」ではない

ウェブ界隈のメンバーとの飲み会の様子(左からnarumiさん、中川さん、大川竜弥さん、森川芳樹さん)。「仕事関係を除けば、美女に囲まれて飲むのは、楽しいから意味がなくてもいい(笑)」

「飲み会に行くと、仕事につながるんで得なんですよ。もちろん、これは今一緒に仕事をしている人や、これから仕事になりそうな人との“有意義な飲み会”に限る。

学生時代の友人との思い出話に花を咲かせる会や、いつものメンバーとくだを巻く飲み会は、無駄。これってすごく打算的な考え方なんですけど、それでいいと思うんですよ。だって、飲み会に行ったら2~3時間くらいは費やすことになるわけだから。爺さん婆さんになって皆暇になった時にやればいい」


「飲みニケーション」というと、旧時代的な印象が付きまとい、否定的な声が挙がることもある。しかし、仕事に有利に働くことは少なくない。

「結局、仕事をくれるのは人だし、人間関係を良好にしておくに越したことはない。フリーランスの場合は特に重要」

お金を貸したあと、人間関係の明暗が分かれる

無職の時代は250万円をギャンブル狂に貸し、戻ってこなかったことも…

実は、中川さんには過去に激しく後悔したお金の使い方があるという。それは、大手広告代理店・博報堂に勤めていた1999~2000年のITバブルの時期。インターネット関連企業の株価が異常に上昇し、友人から投資の話を持ちかけられた時の話だ。

「『今が投資のチャンス』と言い出した友だちがいて、『俺がファンドマネジャーとして運用してやるから、お前金出せ』って言うわけ。そのとき買ったCSKとセガの株につぎ込んじゃって…。

2000年にITバブルが崩壊した途端に暴落して、750万円をスッちゃったんですよ。そのとき俺は家賃6500円の学生寮に住んでまで節約していたのに、安定した会社員ゆえにつけこまれて金を失って、これは後悔した」


一方、お金を貸すことでより強い信頼関係が築けたこともあるそう。

「過去に一緒に仕事をしていたイラストレーターの女性が40万円貸してくれって言ってきたの。同棲していた彼氏と折り合いが悪くなって、早く家を出たいんだけど、引っ越し費用がないと。だから、すぐにATMに行って、初期費用と雑費を含めた40万円を渡した。この人はちゃんと仕事をして返すだろうって信用もしていたから」

実際、その女性は2年かけて月に2万円ずつ中川さんに返済。無事に完済した後も、彼女が専業主婦になるまで一緒に仕事をしていたという。

「彼女は今でもそれを感謝してくれていて、たとえ安い仕事でも引き受けてくれたりする。貯金があるからこそ彼女を助けることができたし、正直“金の力で恩を売る”のはアリだと思うんですよ。ただし、相手が絶対に返してくれることが大前提。返さなかったら問答無用で縁を切ります」

相手を信頼しているからこそお金を貸す。相手がきちんと返済すれば関係は続くが、不義理を働くのは裏切り行為。今後付き合う価値はないと判断を下す。

「貸したあとの対応だったり、飲み会での支払いだったり、金はその人の人格を測るのにもっとも分かりやすい指標。お金はあるヤツが払えばいいし、俺みたいに40代になったら若い人との飲み会では多く払うほうが、長い目で見たときに得なんです。

そこで数千円をケチって『ゼニゲバ』『ケチ』『甲斐性なし』とか言われる方が嫌だし、相手に不信感を持たせないことは重要ですよ」

南澤悠佳(ノオト)=取材・文
林 和也=撮影

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)1973年、東京都生まれ。博報堂、無職、フリーランス、ネット編集者を経て、編集プロダクションを設立。著書に、『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)など。

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