記事提供:VICE

All screenshots courtesy of 343 Industries/Xbox

ここ日本ではまだまだ盛り上がりに欠けるeスポーツだが、海外では凄まじい勢いで規模を広げ続けている。その勢いは止まるところを知らず、オーディエンス数、賞金総額は破壊的に膨れ上がっている。

以前、当サイトでもインタビューを掲載したアレックス・バックに、eスポーツの現場と今後について、再び話を訊いた。eスポーツ・バブルにプロゲーマーは何を想い、変化する周囲の状況をどう捉えているのだろう。

以前お話しした頃は、仕事以外のすべての時間をトレーニングにあてていましたよね。あれ以来どんな変化がありましたか?『Halo』で成功をおさめたんですか?

前回は確か「Battle of Europe」直前でした。僕たちは優勝候補でしたが、結果は3位です。がっかりしました。対戦相手をなめていたんでしょうね。

だからその後、あのチームではもうひとつイベントに参加しただけで、メンバーがひとり辞めてしまいました。でも、そのおかげで双子の兄弟のウィルを復帰されられたから、結果オーライです。

1、2年ブランクがあったけど、また一緒にプレイできるようになりました。無理やり復帰させたようなものですが、ウィルが戻ってからいろんなイベントで優勝しました。すごく良い流れがきています。去年は絶好調で、特に年末は最高でした。

そうこうしているうちに、『Halo 5』がリリースされたんです。嬉しくてたまらなかったので、何時間も練習しましたね。

リリース前に『Halo 5』をやりこむ機会はあったのですか?(メーカーの)343 Industriesが一般発売まであなたたちに公開しないはずありませんよね。

リリース前、343は、僕たちをシアトルに招待してくれました。そこで4日間もプレイさせてもらいました。アメリカのプロチームとも対戦しましたよ。素晴らしい経験でした。最終的にはショー形式の大会で勝利しました。それがGamescomで流れたんです。

アメリカのチームにはよく勝つんですか?

相手チームによります。アメリカには、本当に手強いチームがいます。でも、僕たちも、特に『Halo 5』では負けてはいません。以前はアメリカのチームにこてんぱんにやられていましたが、だんだん力の差が縮まっています。

『Halo 5』のようなゲームをキャンペーンのためだけに購入する人もまだいます。プロゲーマーはゲームのストーリーをどうとらえているんですか?

ゲームを手に入れたら、キャンペーン・モードをまずプレイします。そういうプロゲーマーは多いはずです。勝負にはこだわるしマルチプレイヤーでプレイするのが好きだけど、『Halo』のストーリーは、あのゲームをプレイする理由です。

でも、キャンペーンが終わると、すぐにマルチプレイヤーで遊びます。とはいえ、ストーリーはプロゲーマーにとっても魅力的です。僕は、子どもの頃に手に入れた最初の作品から『Halo』のファンでした。

この歳になるまでを追いつづけられるストーリー性はすごいですよ。ゲームの構造が皆を惹きつけているのも、間違いありません。スピード感のあるゲームだけどチームワークが必要で、チームのメンバーとの相性がよくないとダメです。

一発当たれば何でも倒せる『Call of Duty』みたいにすごく展開の速いゲームよりも、チームワークが大事なんです。最初の作品からずっと『Halo』には、独特の感覚が備わっています。

eスポーツはどこまで大きくなるのでしょう。eスポーツバブルの泡中にいる立場から何か意見はありますか?

今までよりも多くの、「普通の」ゲーマーがeスポーツや競技としてのゲームを知るようになったはずです。以前は、本当に変で、一部の人間だけがやるものだと思われていました。

でも、今では状況が変わり、eスポーツがTwitchやYouTubeで毎日観られるようになり、関わろうとする有名人や企業がスケールアップしてきてる。

それに、343、『Call of Duty』のActivisionなど、大手がシーンに積極的に関わっていますし、ゲームをつくる側もeスポーツを盛り立てています。おかげでeスポーツは、メインストリームになりつつあります。ともかく今は露出するときです。

2016年もその状況は続いていますね。今、『Halo』のワールドチャンピオンシップの賞金総額は200万ドルを超えています。かなりの大金です。大金獲得、という邪念がトレーニングの妨げにならないんですか?

僕たちのチームは、Google Docで書類を共有しています。その中の「モチベーション」というタブに、グランドファイナルのトップ16チームがどれだけ賞金を稼げるかが書いてあります。

だから、賞金はある意味でモチベーションになりますが、特にイギリスやヨーロッパでは、正直、自慢できるか、というのがすべてです。

金が入ればそれはいいけど、『Halo』シリーズで金を手にできるのは最後の最後で、その前にクリアしなくてはならないハードルが山ほどある。

イギリスとヨーロッパの予選を両方通過しなきゃならないから、僕たちは一度にひとつだけ考えるようにしてる。賞金については、グランドファイナルに進出するまでピンときません。

4、5年前のあなたは、eスポーツが競技としてここまでメジャーになるのを予想していましたか?

いずれメジャーになるとは予想していたけれど、こんなに早く実現したのは驚きです。特に『Halo 5』。賞金調達にクラウドファンディングが利用されるようになって、賞金総額があっという間に膨れ上がりました。

クラウドファンドなしには、ここまで大きな金額にならなかったでしょう。ゲーマーたちが自分の金を賞金箱に入れるだけだったはずです。

ノルウェイの公立学校が最近eスポーツをカリキュラムに取り入れました。私は、eスポーツがひとつの職業として認識されたあらわれだと思っています。あなたの意見を聞かせてもらえますか。

意外です。でも、学校でeスポーツ上達のノウハウを教えられるか疑問です。フットボールのような、従来のスポーツであれば、トレーナーやコーチ、といった職業も成立しますが、それとはぜんぜん違いますからね。

eスポーツが教育の場で取りあげられるのはすごいと思いますが、果たして授業でどのくらい身につくのかは疑問です。eスポーツは、とにかく楽しまなければなりません。

この業界のマーケティングに興味があるなら、マーケティングで学位取得を目指したほうがいい。ただ、変な気はするけれど、学校がeスポーツを受け入れてくれるのは嬉しいですね。

最高のeスポーツ選手は、誰にも教授できないようなプレイができるのでしょうか?イメージしているのは、メッシの素晴らしい個人技がバルセロナを勝利に導くようなかんじですが、『Halo』の大会でも同じようなドラマがあるんですか。

もちろん。『Halo』はチーム戦だから相性のよさと反応時間が一番重要です。頭をほんの少し早く働かせたり、マッスルメモリーを鍛えたりするにはいろんなエクササイズがありますね。

ただ、つきつめれば持って生まれた才能の影響は確かにあるでしょう。個人技では、僕は最高の『Halo』ゲーマーではないでしょうが、チームゲーマーとしては最高の部類に入るはずです。

自分のチームがどう戦うべきか理解しているし、対戦相手の「次の一手」も想像がつきます。それは週末にプレイして習得できるわけではありません。

でも、あなたのチームが負けそうになった時に、メンバーがひとりで大暴れして相手を全滅させたのを見て、目からウロコが落ちたのでは?

それはそうです。僕たち兄弟はどちらかというとチームワーク寄りで、ジンボーとスナイプドローンは個人としての能力がすごい。ここ一番でフィニッシュの一撃、リードをつくりたいときに、2人に頼りますね。

自分のチームにほとんど24時間ゲームをしてる連中がいるってのは、信頼できるやつがいることを意味する。やつらはおれたちの世界じゃスーパースターで、時間も労力もつぎ込んでるんだから今どんどん注目されているのは嬉しいよ。

最後に、『Halo』はすでに確立されていますが、これからのeスポーツシーンで頭角をあらわすゲームは何でしょう。

Gearboxは『Battleborn』を強力にプッシュしていくようですし、Blizzardは『Overwatch』、他にもたくさん新しいゲームが発表されています。もちろん、評判にもならず、プロがプレイしないようなものもあるでしょうが。


新しいゲームが出れば、「普通の」ゲーマーがもう一度注目してくれるはずです。ライト・ゲーマーがハードコア・ゲーマーになる良いきっかけになるでしょう。例えば、『Smite』は人気が出てきています。

まだ比較的新しいゲームですが、今ではものすごい数のゲーマーがプレイしています。『Smite』は上手くいった事例で、きちんとしたマーケティングとマネージメントがあれば、eスポーツは今よりもメジャーになるでしょう。

いいゲームに必要なのは、要求されるチームワークと個人技がバランスです。

面白味も当然必要です。『Smite』では、ゲーマーにたくさんの選択肢が用意されています。「to do」やアクションも豊富で、開発者が自らのゲームを愛しているのがよくわかります。

ゲームの数が増えれば、ゲーマーも、いろいろなゲームに散らばるでしょう。『Dota』をずっとやってきたゲーマーが新しいゲームをやれば、それに伴い、オーディエンスもわかれるでしょう。

新しいゲームが既存のチームやオーディエンスを奪い取りもするでしょうが、それは見てのお楽しみですね。

アレックスのイプシロンは、Halo World Championship 2016シリーズのUK Halo World Championship Finalsに出場し、5th‐8thの成績を収めた。

その後、アレックスとウィルはイプシロンを離れ、2016年5月、チーム「Dinosaurs」を結成し、活躍を続けている。

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