記事提供:Entame Plex

10月3日(月)より新たにスタートするNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』。

このドラマは、子供服専門店の創業者のひとりをモデルに、戦後の焼け跡の中、娘のため、仲間とともに子ども服作りにまい進し、激動の時代を元気にかけぬけていくヒロインとその家族、そして彼女の仲間たちが夢へと向かう姿を描く。

そんな今作のヒロイン・坂東すみれ役を射止めた芳根京子に、今作の魅力を語ってもらうとともに、演じたすみれ役に込めた“思い”を聞いた。その言葉の端々から朝ドラ主演という重圧にひたむきに向き合う彼女の姿があった。

――現在、撮影も順調のようですが、主演としての今の心境は?

「“初心を忘れないように”という強い思いがあるので、すみれ役に決まったときと今も大きく変わったところはないですね。主演だからと自分で自分にプレッシャーをかけてしまうよりも、気負わず今までと同じように心がけています。

とはいえ、現場に一番長くいるので、誰よりも作品のことを考えていたいですし、この作品を一番愛していたいと思っていて…、そこは最初からブレることなく、クランクインしてから今もずっと同じ気持ちです」

――芳根さんが演じたすみれという女性の印象は?

「日々演じていて、すごく強い女性だなと感じています。結婚して母になって、たくさんのことを経験してどんどん強くなっていくすみれを演じながら、撮影を重ねていくたびに感動しています。

幼少期のすみれを演じてくれた渡邉このみちゃんからのバトンをしっかりと引き継いで、大切に演じていきたいです」

――すみれ役を通して、自身のお芝居に何か影響はありましたか?

「“思いを込めて”という台詞は、何に対しても大切なことだなと改めて気付かせてもらいました。その言葉は、麻田(市村正親)さんから言われたことですけど、わたしも1シーン1シーン“思いを込めて”大切に丁寧に演じたいと思いました。

そのシーンを観て何回も泣きました」

――今、“思いを込めて”というイントネーションが完璧な関西弁でしたね。

「最近は、普段話しているときも“あっ、今の関西ことばっぽい”と思う瞬間が増えてきましたし、周りの人たちからも『すごく馴染んできたね』って言われることが多くなってきたので、とても嬉しく思います」

――印象的だったシーンはありますか?

「撮影に入る前の4月からお稽古をして、刺繍や裁縫をしているシーンは実際に自分たちでやっているので、『べっぴんさん』の全体を通しての魅力として、そこがまずあると思うので注目して観てほしいです」

――先日の記者会見では、夏休みの自由研究でおばあさんと一緒にお裁縫をした思い出を語っていましたが、おばあさんが裁縫で作ってくれたもので一番“べっぴん”だなと心に残っているものはありますか?

「祖母は、手芸が大好きでお裁縫の先生をやっていたんですけど、一番感動したのはベッドカバーですね。

すごく大きなベッドカバーだったんですが、パッチワークで全部手縫いで作ってくれて。はじめは大切にするあまり使えなくて壁にかけて飾っていました。

でも、2年前に亡くなってしまってからは使うほうが良いのかなと思うようになって、今は東京の家で毎日かけて使っています」

――結婚、出産、戦争など、演じたすみれは芳根さん自身、経験のないことも多かったと思いますが、演じる上での苦労などはありました?

「わたしは今19歳なんですが、その時代の出来事は授業で習ったことぐらいしか知識がなくて、どうしようかとすごく悩みました。それを知ってか、クランクインする前に監督から『祖父母の年表を作ってきてほしい』と宿題が出て。

一緒に住んでいる祖母に、生まれたときから東京に出てきたときのこと、戦争が始まったときにはどういう生活をしていて、どういう気持ちだったのかなど、こういう話を聞く機会も今思うとなかなかないことだったので、昔話を聞くような感覚ですごく細かく聞いたりメモを取りました。

その祖母の年表を通して、時代が見えてきたような気がしましたし、そこからは写真を見たり本を読んだりして、どういう時代背景だったのかなど自分に蓄積していきました。

今も撮影をしながら、とにかく自分で集められる情報を集めたり、いろんなところに足を運んで見たり聞いたりするようにしています」

――赤ちゃんをあやすシーンなどは大変でした?

「赤ちゃんから幼少期までのすみれの娘役を演じる子が何人かいるので、クランクインする前に会える場を設けてくださったんです。

『この子が初代のあなたの娘で、この子が二代目の娘です』といった感じで(笑)。三代目の子までくるともう2歳くらいで結構大きかったり。

今まで赤ちゃんと触れ合う機会がほとんどなかったので、小さい子を目の当たりにして“この子の笑顔を守りたい”とか“この子が幸せでいてくれたらこんなに幸せな気持ちになれるんだ”とか、そういった母としての感情が芽生えるんだなということが感じられて、こうした機会があってすごくありがたかったです」

――すみれを演じて母性を感じたり、理想の母親像などは感じました?

「出産のシーンは、小さな赤ちゃんが実際に隣にいるなかでのお芝居だったんですけど、人形でリハーサルをしたときから大号泣しちゃって…。

それを周りで見ていた皆さんは『人形なのにそこまで泣く!?』みたいに大笑いされて、監督からも『どこからどう見たって人形なんだから泣くな!』って(苦笑)。

本番では本当に産んだわけではないのに、隣にいる赤ちゃんを見て自然と涙がこぼれてきて自分でも不思議な気持ちになりました。

“自分のこと、まだ全然子どもだと思っていたけど、母親のような気持ちが自分にもあるんだ”ってそのときに気付かされましたね。

もし、自分の子どもが産まれたら泣きすぎて脱水症状で消えてしまうんじゃないかと思うくらいで(笑)。子どもが大好きなので、将来的には絶対ほしいなと思います。自分の中でいろいろと勝手な想像をしちゃいますね」

――菅野美穂さん演じる母親のはなが第1週で亡くなり、語り手として出演されます。菅野さんの語りは、すみれのことを天国からずっと見守ってくれているようですね。

「1週目ではなさんが亡くなったときに、菅野さんの語りで“亡くなった人はずっと見守り続けられる”という言葉がものすごく嬉しくて…。

すみれ自身がその言葉を直接聞いたわけじゃないですけど、何があってもお母様がちゃんと見ていてくれているっていうのをいつも感じていると思うんです。

もちろん台本にもナレーションが書いてあるんですけど、読んでいるだけなのに菅野さんの声が聞こえてくるような気がしたり、菅野さんの語りを頭で想像するだけで涙が出てきちゃいますね」

――いないけど励ましの声が聞こえるというか、きっとすみれの心の中で母親はずっと生きているんでしょうね。

「はじめの章ではお母様の写真を見ているシーンが多くて、1週目にお母様の写真に向かって“行って来ます!”というシーンがあったんですけど、そこでもう泣きそうになっちゃって…。

でも、それを見た演出の方から『いやいや、お母さんが亡くなってかなり月日が経ってるから!京子ちゃんはこのシーンが初めてかもしれないけど、すみれ的には月日が経ってしまってるんだから毎朝泣いてたらおかしいでしょ』って(笑)。

菅野さんのあのやさしい包まれるような声とか、やさしかったお母様の笑顔とかいろんなものが重なって、いつも涙がとまらなくなるんですよね(苦笑)」

――今回、主題歌(「ヒカリノアトリエ」)はMr.Childrenさんが担当されていますが、曲を聴いたときの感想は?

「主題歌がミスチルさんに決まったと聞かされたときは“えっ、まさか!”ってびっくりしました。こうして朝ドラのヒロインをやらせてもらうだけでも贅沢な話だと思っていたので、2重の喜びで胸がいっぱいになりましたね。

初めて聴かせていただいたときには鳥肌が立ったのを憶えています。感動するものを目の前にしたときってこういう風に、声が出なくて肌に出るんだって(笑)。この曲を毎日聴きながら現場に向かうようにしています」

――主題歌だけでなくキャスト陣も多彩で豪華ですが、刺激を受けたりしたことは?

「毎日がすごく刺激的で1日1日いろんなことを吸収できるように頑張ろうと思って演じています。まずお父様(生瀬勝久/坂東五十八役)とは、前半に2人のシーンも多かったんですけど、あるとき演出から『もっと新鮮な気持ちで!』と言われたんです。

それを聞いた生瀬さんが『今までのことは全部忘れて届けて』とアドバイスしてくださって。“あっ、そうか!届けないといけないんだ”と気付かされたんです。

台詞ではあるけれど、すみれの言葉としてちゃんとお父様の心に届かせないと意味がないんだって。お芝居だからとかそういうことは頭から一度取っ払って、その時の気持ちを大切にしようとより強く思うようになりました」

――百田夏菜子さん(多田良子役)ら同世代の共演者とは休憩中どんな感じなんですか?

「休憩中のわたしたちって、傍から見ている人からしたら『ホントにしょうもないな』って思っちゃうような感じで(笑)。夏菜子ちゃんがひとりでソファに座ってたら、どんなにソファが広くても真横にくっついて座るんですよ、わたし。

そうしたら『こっち来ないで、暑い!』とか『あっち行って!』とか『スペース広いじゃん!』って夏菜子ちゃんに怒られるまでがいつもの流れで(笑)。

そうやっていつもじゃれ合っているので、最近は真横どころか夏菜子ちゃんの膝の上に座るようになって(笑)。夏菜子ちゃんは、一緒にいて安心できる存在ですね。

でも、そういう安心感がありながらも、同世代の人たちには“負けたくない!”“もっと頑張らないと!”っていう感情も心のどこかにあります。

今まではそこまで感じなかったんですけど、この現場でそういう気持ちが出てきたのは、きっとみんな同じオーディションを経てここに立っているからだと思います。

オーディションでヒロインに選んでもらったからにはやっぱりこの人がヒロインで良かったって思われたいし、この人がヒロインだなって作品を観て思ってもらえるような存在になりたいって。

もちろんすごく仲良くて、一緒にごはんを食べに行ったりして、いろんなお話をしたりするけど、みんながそういう思いでひとつになれれば、もっともっと素晴らしい作品になるんじゃないかと思います」

NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』は、2016年10月3日(月)~2017年4月1日(土)まで放送予定(全151回)

【NHK総合】月~土 午前8:00~8:15/午後0:45~1:00(再放送)

【NHK BSプレミアム】月~土 午前7:30~7:45/午後11:00~11:15(再放送)、土 午前9:30~11:00(1週間分)

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