赤ちゃんを母親が抱くだけでお金をとる米国の医療システム

アメリカの医療費はとても高いです。出産で帝王切開ともなると、約$13,000(約130万円)以上の医療費がかかります。しかしもっと驚くことは、帝王切開後に自分が産んだ赤ちゃんを母親がただ抱かせてもらうことに対しても、お金をとってくるのです。

そのことに対して、”新生児を母親が抱かせてもらうだけで医療費として請求された!”と今回初めて父親になったライアン・グラスレーさんがSNSに投稿して大変話題を集めています。

「帝王切開直後に新生児を抱きますか?」と看護師に尋ねられて

2016年9月4日(日)、グラスレー夫婦は初めての出産のためユタ州プロボのユタ・バレー病院に行きました。彼らのこどもは帝王切開で生まれることになりました。

手術が開始される前に看護師が夫婦に尋ねました。「帝王切開後にすぐに新生児を抱きますか?」と。夫婦は「ええ、もちろんそうしたいです!」と答えました。

親なら自分のかわいい子供との出産直後のスキンシップを求めるのは、当然のことです。また、そのような体験をすることは親として非常に意味があると考えるでしょう。

グラスレーさんは、何故、看護師がそのような親として当然の行為に対してわざわざ尋ねてきたのかがその時はわかりませんでした。

”新生児とのスキンシップ”に対する医療費が請求されていた

でも、夫のグラスレーさんは、病院からの請求書を見て、その意味がようやく解りました。

「そこには、驚くことに”帝王切開後の新生児とのスキンシップ”という項目があり、$39.35(約4千円)の医療費が請求されていたのです!米国は自分が産んだ子を抱くことに対して医療費をとってくるんです!」と夫のグラスレーさんは驚きを隠せず、この事実をSNSに投稿しました。

出典 http://imgur.com

グレスレーさんが実際に受け取った請求書 SKIN TO SKIN AFTER C-SEC(帝王切開後の新生児とのスキンシップ)1 $39.35(約4千円)とあります。
 

SNS、3か所への投稿

この件に関して夫のグレスレーさんはよほど驚いたみたいで、彼が投稿した先は”imgur”(主に写真を投稿するサイト)、”reddit”(チャット方式のサイト)、”go fund me”(寄付を求めるサイト)の下記3件です。

わずか投稿後24時間以内で上記"reddit"では、2.6億人ものアクセスがありました。そしてそこには多くの人が法外な医療費やアメリカの医療システムがどのように機能するかを自分の経験を交えてコメントしています。ここに関しては群を抜く反響がありました。

寄付サイトへの投稿

しかしながら、これが一番驚かれた投稿でした。金額が金額でした。わずか$40の医療費に対しての寄付を求めるサイトでの投稿は、とても物珍しがられたのです。

そしてグレスレーさんのその投稿には「もしも、$40以上の寄付が集まったら、残りのお金はすべて私の去勢手術のために使わせてもらいます。これ以上私はこんな納得いかない請求を見たくないので。」とありました。

こんな投稿に対して、「これ、冗談でしょ?!」というコメントが寄せられています。

それは、普通、”go fund me”への寄付を求めるサイトへ載せられている投稿は、深刻なものが圧倒的に多いからです。たいていの場合が、命のリスクがかかっていて、”高額な医療費がとても払えなくて、治療が受けられません、助けてください!”というものなのです。

そこにグレスレーさんのわずか$40の寄付を求める米国医療システムを告発するような投稿が入ったことで逆に話題を集めてしまいました。

米国医療費が高額だということを人々が改めて認識

グレスレーさんは、「私の今回のSNSへの投稿に対して、殆どの人たちが米国の医療システムに対してショックを受けています。そして私が問題としている”新生児とのスキンシップ”に$40という金額よりも、帝王切開に対して$13,000もの医療費がかかるということが判ったことに反応しています。」と語っています。

興味深い看護師のコメント

”reddit"へのグレスレーさんの投稿に対して、ある看護師が興味深いコメントをしています。

「私は看護師として、手術室でのそのような新生児に対する請求がされていることを知りませんでした。ただ、生まれたばかりの赤ちゃんを母親に抱かせた後には、それなりの医療的措置が新生児に対して必要なのです。初めて外界に出た新生児が外界の空気に触れるだけでなく、外界との人との接触をしたわけですから、母親と離した後に、新生児に何か変化(異常)はないかと十分な配慮がされるわけです。そのために必要な医療費なのではないでしょうか?」

あくまでも納得できないと主張

今回の”新生児とのスキンシップ”に対する請求は、この看護師さんのある意味とても納得がいくコメントだったのですが、それに対してのグレスレーさんの返答は、

「看護師さんは、私の妻の首と胸の間に赤ん坊を置きました。そして私たち夫婦と一緒に赤ちゃんの写真を撮るために、私のカメラをもって写真を撮ってくれました。今回の妻の出産に対しての手術室での医療チームの対応は、とても素晴らしいものがありました。それに対しては私たち夫婦ともに感謝しています。ただ、今回のこの請求に対してはやはり驚いています。」とあります。

看護師さんの”新生児を母親に抱かせた後に安全確認に対する医療的ケアに対する費用の請求ではないだろうか”というコメントに対して、グレスレーさんは納得していませんでした。

去勢手術までするという宣言に対して

この件に対して、グレスレーさんは、納得いくまであらゆるSNSで議論を続けていくことでしょう。

”こんなバカげた費用を支払うくらいなら去勢手術して二度と子供ができないようにする!”とまで宣言したグレスレーさんに対して、あなたはどう思われますか?

参考資料

日本と米国の帝王切開にかかる費用の違い

ところで、日本で帝王切開をするといくらかかるのかを調べてみました。

帝王切開手術自体は健康保険適用で、地域や医療機関に関わらず、手術代は22万2000円(32週未満の早産の場合などは24万2000円)。この金額のうち3割が妊産婦の自己負担額となるのです。自費診療分は医療機関ごとに異なります。これに加えて入院費、食事代、その他諸々がかかり約10日間の入院含め、約40~100万円(保険適用前)ということでした。食事代を除く医療費は自己負担3割とすれば、約15万円~40万円というところでしょうか。

更に日本の場合は、高額療養費(適応金額が世帯の年収によって違う)というものがあるので、実際の自己負担は、高額療養費の限度額までということになります。そして日本は会社などによって出産手当なるものがもらえるそうなので、実質、費用はそんなに自己負担しなくてもすむみたいです。日本は本当に医療費に関しては恵まれていますね。ただし、あくまでも健康保険に入っていればの話ですが。

グレスレーさんによると米国(州や病院によって違う)では帝王切開は約130万円なので、やはり米国の方が圧倒的に医療費は高いですね。米国では帝王切開の場合、入院はだいたい3日~5日くらいです。約130万円には入院費も含まれているみたいですから日本の半分以下の日数の入院なので、やはりそれを含めて130万円は超お高いというところですね。ここから各自の加入保険でいくらおりるのかは、個人差があるのでわかりません。

最後に

筆者も、ニューヨークの病院で帝王切開で息子を出産した経験者なのですが、筆者の場合は、全身麻酔だったため、”新生児とのスキンシップ”に関してはできませんでした。なので、そのような項目の医療費もとられていませんでしたが、帝王切開に関しては26年前でも1万ドル以上(約100万円以上)の費用がかかり驚きました。もっともその殆どを当時、(元)夫の会社が加入していた医療保険がカバーしてくれたので助かりましたが。

しかし、今回のグレスレーさんは、よほど頭にきたんでしょうね。彼はシステムエンジニアで、お金に困っている人ではありません。でも、我が子を出産後に抱くだけで、医療費が取られたことに対してどうしても納得がいかなかったのです。それで寄付サイトにまで投稿して、人々の関心を高めようとしました。そしてそれは見事にグレスレーさんの思惑通りの反応があったわけです。今回のグレスレーさんが起こしたSNSでの一件は、いわば米国医療費に対する告発みたいな形でかなり話題になっています。

でも、実際の看護師さんのあのコメントで、筆者なら納得できるのですが、グレスレーさんはあくまでも譲りませんでした。

本来なら、初めての子供を授かった幸せな喜びで包まれる人生での貴重な時間を、グレスレーさんは米国医療に対する怒りで満たしているわけです。これは、ある意味お気の毒だと感じました。

もちろん、米国医療費が馬鹿げたほど高額なことは筆者も十分味わってきましたので、グレスレーさんの今回の告発のような投稿意見も判らないでもありませんが。

人生、1度しかない初親になった貴重な体験をこのような形で台無しにしてしまった新米パパに対して、どしても憐みを感じてしまうのは、筆者だけなのでしょうか?

この記事を書いたユーザー

さくらまい (Mai Sakura) このユーザーの他の記事を見る

最後まで読んでいただきありがとうございました。
日本生まれですが、米国に30年間住んでいた米国籍のライターです。2014年に家族で日本に移住してきました。どうぞよろしくお願いします。
I am working as the Spotlight web writer in Japan now.
Estoy trabajando como un escritor web del centro de atención en Japón.
Я работаю в качестве веб-писателя в центре внимания в Японии.

得意ジャンル
  • 話題
  • 社会問題
  • 動物
  • 美容、健康
  • 感動
  • コラム
  • ニュース

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス