記事提供:日刊サイゾー

「妊婦配慮席」の様子

韓国で、電車内のマタハラが止まらない。

9月27日、ソウル地下鉄4号線の優先席に座っていた妊婦が、「席を譲れ」と要求する老人男性に、いきなりおなかを殴られた。

老人は酔っ払っており、それでも丁寧に「妊娠中なんです」と伝えた妊婦は、その後、老人が取った言動に驚愕せざるを得なかった。

老人は、「妊娠していないのに、そのふりをする女が多い。確認してみないとわからん」と言いながら、妊婦のマタニティウェアをめくったのだ。

昨年にも、同じようなことがあった。30代の男が、優先席に座っていた臨月の妊婦を「お前は障害者なのか?」とののしった挙げ句、ビンタを10連発。後の裁判で、男が精神疾患を患っていたことが明らかとなるも、暴行罪で懲役4カ月の判決が下されたという。

また、優先席に座っていた妊娠初期の妊婦が、隣で不快そうな顔をする60代の男に「私、妊婦です」と弁明すると、「若い女が生意気だな」と吐き捨てられたケースも。それを聞いた妊婦が警察に通報しようとすると、男は彼女のおなかを殴ったそうだ。

電車内でのマタハラは、ほかにいくらでもある。老人が優先席に座っている妊婦を席から立たせて説教をかます、というのは日常茶飯事だ。ここまでくると、「そもそも韓国では、妊婦が優先席に座っちゃいけないのか?」という疑問が頭をよぎるかもしれない。

しかし、韓国の優先席(韓国では老弱者席という)は、日本と同じく高齢者・妊婦・障害者・乳幼児連れなら誰でも利用できるし、それが一般常識のはずだ。しかし、韓国では優先席をめぐる老人と妊婦の戦いが激しい上に、社会的にも妊婦への配慮が足りない。

2014年に発表された人口保険福祉協会の調査によると、「妊婦に配慮する」と答えた韓国人は93.1%に上るが、逆に「配慮されたことがある」と答えた妊婦は、約半数にほどにとどまった。

それをよく物語るのが、同じくソウル地下鉄で起きた騒ぎだろう。先月、何者かが、優先席を示すピクトグラムのうち、“妊婦”と“乳幼児連れ”に赤いバツ印をつけて回ったのだ。妊婦への配慮がいかに欠けているかを象徴する、陰湿な事件ともいえるだろう。

深刻化する電車内でのマタハラに、ソウル地下鉄は昨年から、一般席の両端に「妊婦配慮席」を設けた。座席シートは強烈なピンク色で目立たせ、床にもピンクのシートを貼って派手な作りにしている。

それでも妊婦たちからは「席を譲ってくれなかった」「その席に与えられた意味を知らない人のほうが多い」といった声が上がる始末。ソウル地下鉄は「妊婦配慮席は空けておきましょう」というキャンペーンを実施するなど、手探りで対策を進めている状況だ。

いずれにせよ、少子化対策のためにも、妊婦への配慮をもう少し意識する必要がありそうだ。

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