記事提供:CIRCL

腸内細菌の乱れはさまざまな病気の原因となることが知られているが、最近の研究では、ビールやチョコレートなど、ごく日常的な飲み物・食べ物も腸内細菌のバランスを崩す大きな原因になることが明らかになった。お酒や甘い物はほどほどがよいとされる理由は、ここにもあった。

脳より複雑!?な腸内細菌

「体内の小宇宙」とも呼ばれる脳は、数千億個もの細胞から構成されており(※1)、それらが複雑にネットワークを形成している。

そして、私たちの五感全てをつかさどるだけでなく、脳には呼吸、循環、体温維持など、生命活動に必須のあらゆる中枢が存在し、体中の組織を調節している。

しかし、実は腸の中にはそれよりもはるかに多くの腸内細菌が生息している。その数は10兆個とも100兆個ともされ、少なくとも1000種類が生息していることも分かっている。

そして、腸内細菌は、私たちの生存に欠かせない数々の働きをしており、もはや、私たちの体の一部となっている。

近年、この腸内細菌の働きが非常に注目されている。腸内細菌は、腸での消化や吸収といった働きをサポートするだけでなく、性格や意思決定など、私たちの精神機能にも関わっていることが数多く示されているのである(※2)。

食べ物で乱れる個性的な腸内細菌

腸内細菌には個人の食生活やライフスタイルが反映されるため、腸内細菌には個性があるといえるだろう。そこに注目したのが、ベルギーのルーヴェン・カトリック大学の研究グループである。

腸内細菌の約3分の1は多くの人に共通のものだが、残りの3分の2は各個人に特有のもの
なので、それが病気へのなりやすさなど、個人の体質に関わっている可能性があると考えたのだ。

そこで、研究グループは1000人以上もの人を対象に、糞便中の腸内細菌を採取し、まずは、どのような要因が腸内細菌のバランスを崩すのかを調べた。

その結果、特に腸内細菌に影響を与えるものとして、消化・吸収が悪い食べ物、個人の栄養状態、薬物の使用、性別、年齢などがあることが明らかになった。

ビールとダークチョコレートには要注意 腸内細菌バランスに影響大

消化・吸収が悪い食べ物の他にも、ビールとダークチョコレートは腸内細菌のバランスに大きな影響を与えるという。

そして、なかでもダークチョコレートは、ある特定種の菌種の割合を増やすことが明らかとなった。また、薬では下剤、抗生剤、花粉症薬、ホルモン剤などを使用したときに大きな影響が認められた。

これら腸内細菌のバランスの乱れが、直接病気にどのように結び付くかについては、まだまだ不明な部分が多い。しかし、身近な食べ物一つでも腸内細菌のバランスを崩す要因になるということは、とても大きな発見であろう。

近年、腸内細菌の新たな働きが次々と明らかになり、腸には、従来私たちが考えてきた以上にさまざまな働きがあると考えられるようになってきた。「脳腸相関」という言葉もあるように、腸は脳と緊密に連絡を取り合って生体機能の調節もしているのである。

腸は、ただ単に食物を消化・吸収するだけの組織ではなく、体全体をも調節する「第二の脳」と言うこともできる。私たちはもっとお腹を大切にする必要があるだろう。

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