記事提供:TOCANA

1991年、アルプスにあるエッツ渓谷の氷河で見つかった、約5300年前の世界最古の男性ミイラ――。

エッツィ(Otzi)またはアイスマンとの愛称で知られており、すでに顔や体、衣服や武器などが再現されたり、持病や食生活、死因に至るまでかなり深く研究がされてきたが、今回復元されたのはなんとその“声”だ。

■衝撃ボイスに世界が驚愕!

研究チームはCTスキャンを用いて、エッツィに“最も似ている”声の合成に成功した。ミイラの声帯、喉と口腔の再現に着手し3次元モデルを制作してエッツィの母音を究明したという。

大事な調査対象であるミイラ本体には一切損傷を与えてはならないため、まずチームはCTスキャンによりエッツィの腕や頭蓋骨、脊髄や骨など体を3DCG化してソフト上で動かすことを可能にした上で発声方法を調査した。

この方法により、すでに朽ちかけているミイラ本体には全く損傷を与えずに済むのだ。

ただ、ミイラそのものは左腕を顎の下で右方向に伸ばした不自然な形をしているため、咽頭部や舌骨が隠れたり、部分的にすでに結合して一体化されていたりしたことから調査は難航し、精確な身体的情報を集めるのには多大な労力を費やしたという。

CTスキャンを用いてエッツィの身体パーツの復元にこぎつけた後は、声道がどう機能するか声帯部分の骨密度や収縮率、厚みや細胞の組織構成等をシミュレーションするために数理モデルをソフトウェアに落とし込まねばならなかった。

これらすべての結果をもとに、チームはエッツィが現代人男性と同じ、平均的な周波数100~150Hzで話していたことを突き止めたのである。

こうして喉部分の身体的な情報と発生する音響エネルギーに関するデータを集めて、ボイスシンセサイザーを使用し声を再構築したという。

出典 YouTube

よみがえったエッツィの“声”。

チームリーダーで喉科学者であるローランド氏は今回、取材に対して「残念ながらミイラからまだ取り出せていないいくつかの重要な情報があるので、まだ声を完璧には復元できていません」と語るが、声道と声帯の長さを計測して“声の近似値”に迫ることが可能になったといい、将来的には子音の復元をも目指していること、そして「ここからが研究の始まりです」とさらなる解明に向けて意欲を燃やしている。

■解明が進むエッツィの生態

声以外にもこれまでにさまざまな検証がなされているエッツィだが、発見された現場の調査から埋葬された跡が確認できており、またかなり至近距離から肩を矢で射抜かれていることから、同族内のトラブルで殺害されたものと推測されている。

羊やヤギ、牛の皮から作られた衣服を着ており、体にはツボ治療のためのタトゥーが61個あり、炭と薬草を混ぜたものを塗りつけていた。腸に鞭虫が、胃にはピロリ菌が感染していたことや、動脈硬化の要因になる遺伝子を持っていたことまで判明している。

最近の研究ではエッツィのルーツが現代ヨーロッパ人とは異なる特徴を持つことを伝えている。母系はアルプス人種の流れを組んでいるが、父系はスウェーデンブルガリア地方に遡るようだ。

胃腸の分析からは鹿肉やアイベックス(高地に住むヤギ)、大麦のスープやパンを食していたこともわかっている。

最新技術を駆使して生前の姿と声を取り戻した石器時代のエッツィ。近い将来には古代人とバーチャルで会話することもできるかもしれない!?

出典:Daily Mail

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