多くの大ヒット映画を生んだ今夏、少し変わった注目を集めたディズニー作品がありました。映画『ジャングル・ブック』をご覧になりましたか?

ジャングルが舞台です

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ジャングルで育つ少年の成長を、ジョン・ファヴロー監督が描いた愛と冒険の物語。東京ディズニーランドのジャングル・クルーズは、この映画のオリジナルアニメが元になっています。

ジャングル・ブック吹替予告編

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壮大なジャングルを駆け回る少年と動物たち。自然ドキュメンタリーを観るような光景は驚きの連続!

登場する人間は、少年ただ一人。たくさんの動物たちと一緒に、鬱蒼と茂るジャングルの中で物語が進みます。

少年はジャングルを猛ダッシュしますが、撮影中に危険は無かったのかと心配になるアクションばかり。でも、大丈夫。このジャングルは地球上に存在していません。

映画『ジャングル・ブック』が注目されたのは、その撮影場所なんです。

撮影隊はジャングルに1歩も入っていません

少年役のニール・セティ君は、こう言います。

“We didn’t go out to the jungle at all,” Sethi says.

“I was just in New York - that’s where I live - and flew to LA and that was just it. It was all blue screen so there was no need for a jungle. ”

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「僕たちは全然、ジャングルに行かなかったんだ」と、セティは言うのです。

「僕は、ただ僕の住んでるニューヨークから、ロサンゼルスに飛んだだけ。そこにはブルースクリーン(※CG合成の為の青色の背景スクリーン)があって、ジャングルの為にはそれ以外は必要なかったんだよ」

どういうことでしょう?  少し、撮影現場を覗いてみましょう。

「ジャングル・ブック」 あのシーンはこうして作られた

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「ただそこを歩いてみて。後から足していくから」と言われて、ただそこを歩いたニール君。

なんと、撮影場所はハリウッドのスタジオ!

実際はそんなに広くはない場所でカメラを回し、その映像をパソコン上で処理。木々や川や空、あらゆる自然を合成していきます。もちろん、動物たちも。

あの美しいジャングルは人によって生み出されていたのですね。

海も街も作ります

今や、どんな物でも作れてしまうCG技術。時には、海を作り出します。

『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』では海を

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第85回アカデミー賞で監督賞・作曲賞・撮影賞・視覚効果賞の最多4部門を受賞した映画『ライフ・オブ・パイ/虎と漂流した227日』(2012年)は、大海原で漂流する青年と虎を描いたスペクタクル。

Life Of Pi - Featurette "Creating Richard Parker"

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海上のシーンはスタジオ内に作られたプールで撮影されました。1頭のトラをコンピュータ上で作り上げるために、4頭の生きたトラをモデル撮影しています。

アン・リー監督は最先端の3D技術を用いて、圧倒的な海の光景を見せてくれました。

「それは魔法みたいな光景で、観客は冒頭から一気にうっとりさせられるでしょう。3Dの力が貢献しているのと、映画そのものもまた素晴らしい作りです・・・3Dは芸術文化の一翼です・・・私にとってこれ以上の作品は今、ありません」

出典 https://youtu.be

(2012年・Life Of Pi: James Cameron on Ang Lee's 3D Story Tellingより)

映画『アバター』で3D技術の力を一気に引き上げたジェームズ・キャメロン監督もそう絶賛するCGは、不可能と思えた原作の映画化を可能にしました。

自然や動物だけではないんです

以前はCGといえば、SF映画の印象が強くありました。今では自然や動物も、コンピュータ技術で作れてしまいます。それだけではありません。

『華麗なるギャッツビー』では街を

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F・スコット・フィッツジェラルドの原作を映画化した『華麗なるギャッツビー』(2012年)は富豪の姿を、レオナルド・ディカプリオ主演で描いたドラマ。『ムーラン・ルージュ』などのバズ・ラーマン監督ならではの美麗な背景や衣装は、贅沢そのもの。

The Great Gatsby Visual Effects Before & After Clip

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この映画の背景は、ほとんどがCG!街そのものが生み出されています。CGを使うことで、往年の街の風景や人混みといった空気感も再現。

実際にある景色を作り出す手法は映画だけでなく、アメリカのドラマでは多く使われています。何気なく目にしている映像が、実はCGで作られていることも多いのです。

CG映画の誕生

そもそも、CGって何でしょう?

CGとは、コンピューターグラフィック(computer graphic)のことをいう。コンピュータを使ってグラフィックを制作するのが基本。大きく3DCGと2DCGに区別されるが、作品を見て、どちらが2Dで3Dであるかは大別できない。また、3D手法で創った画像を2D手法で加工したり、その逆の方法もある。もともとCGは、ノイズのない鮮明な色彩の他に、修整や編集の際にも用いられる。また3Dの場合、“リアルな映像”であったり、アニメーションであったり、非現実的な映像も可能とする。当初は映画によく使われていたが、最近では映画に限らず、CMの映像やイラストレーション、漫画などでも用いられ、一般的な映像・画像の編集方法として定着するようになった。

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では最初にCGが使われたのは、どの映画でしょうか。
一般的に、最初のCG映画はディズニー製作の『トロン』とされています。

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コンピュータの中で繰り広げられるアクションは、1982年の公開当時、大きな話題に。以後、多くのCG映画が登場する先駆けとなりました。

最初にCG映像を登場させたのは

ただ、映像となるともう少し遡れそうです。
現在につながるデジタルコンピュータが最初に出来たのは1946年。その12年後、ある映画が作られました。

アルフレッド・ヒッチコック監督の名前をご存知の方も多いことでしょう。

生年月日:1899/08/13 出身地:イギリス
電信会社を経て字幕デザイナーとして映画界入りし、撮影所の仕事をするうちに25年に監督デビュー。26年の「下宿人」を経て34年の「暗殺者の家」からスリラー専門になった。「レベッカ」などで名声を得る一方、テレビで「ヒッチコック劇場」のパーソナリティを務め世界中に顔を知られ、スリラーの代名詞となる。「知りすぎていた男」や「北北西に進路を取れ」など緻密で格調高い作品の一方、「サイコ」、「鳥」、「フレンジー」などホラー色、猟奇色の強い作品も手掛けた。26年、編集者であったアルマ・レヴィルと結婚、彼女はヒッチコック作品の脚本を手掛けた。金髪の美人女優を好んで使うことでも有名だった。80年に腎不全でこの世を去った。

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ヒッチコック監督が1958年に発表した映画『めまい』。その中で、映像作家のジョン・ホイットニー・シニアが作ったシーンが使われています。

Vertigo Original Theatrical Trailer

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グルグルと回る螺旋状のビジュアル。ホイットニーがコンピュータで作成したものです。

コンピュータ映像がスクリーンに登場したのは、これが初めて。映像という点からみると、この『めまい』がCG最初の映画ではないかという見方もあります。

Whitney’s work on the opening sequence for Vertigo could be considered an early example of computer graphics in film.

出典 http://rhizome.org

ホイットニーの『めまい』におけるオープニングシーンの作品は、コンピュータ・グラフィックスにおける初期の例だと考えられる。

CGは人が作っています

今ではほとんどの映画でCGが使われています。背景や生物だけでなく、撮影時に写り込んだカメラやマイク、スタッフなどを映像から消去するために使われることも。

CGの制作には時間もお金もかかります。膨大な準備と人手が必要です。人の手だけで映画を作っていた頃と、その労力は変わりません。

裏側を知って、映画のワクワクが減ってしまうこともあります。しかし反対に、映画を作る人々の情熱や工夫が感じられて、大いに魅力が増すことも!

撮影現場を少し想像してみる。そうすることで、新たな発見や驚きに巡り合えるかもしれません。

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