知られざるママの実態や本音をご紹介するコーナー「ママのホント。」

30代の女性、Sさんが悩んでいるのは“子供の習い事”について。地元では有名な菓子店でパートをしているSさんは、年少さんになる娘さんを育てるママでもあります。

土日もパートがあるせいで、習い事に積極的にはなれない現実。それに対してママ友は、どんどん子供に習い事をさせていく…焦りを感じながら、過ごしていました。

家計を支えるので必死な日々

「主人は会社員。特別残業もなく、土日が休みでありがたい会社である反面、稼ぎが良くない。それで、家計を支えるためにパートをはじめたんです」

ご主人が休みの土日には勤務時間8時間のシフトを入れてもらい、平日は娘さんを保育園に預ける日々。仕事は大変だけれど、お給料をもらえることが嬉しくて頑張れるといいます。

「幸い、主人が家のことを積極的にやってくれているので家庭は円満。これがなによりです。でも、近所のママ友とは格差を感じます。着ている服も、履いている靴も持っているバッグも。そもそも、ここのマンションに住んでいてパートに行っている人なんかいないですから…」

苦笑いしながら話すSさんが暮らすのは、都内でも絶好の立地にあるマンション。低層階だと自虐的に話してくれましたが、周囲がうらやむマンション住まいを実現させているのです。その分、ローンに多額が流れ、生活するお金を切り詰めることになっているといいます。

「保育料を払って、必要な買い物をして、それでローンもしっかり返済していくには、パートをしてやっとなんです。これ以上、毎月の出費を増やせないという状況で…」

周囲は英語・水泳・体操・ピアノと子どもの習い事三昧

そんな中、同じマンションに住むママ友さんが盛り上がっているのは「子供の習い事」について。人気なのは英会話。英語が小学校でも必須科目になった現在では、子供の英語能力を育てようと乳幼児期から教育熱心な親がたくさんいます。身体能力の向上を目的に、体操や水泳も根強い人気。バレエで芸術性も柔軟性も磨こうという人もいますし、音感は幼い頃に育まれると信じ、ピアノを早々に習わせることもめずらしくはありません。

「水泳を習わせてから子供が風邪をひかなくなったとか、体操に通い始めたら側転をすぐできたとか…習い事自慢を耳にするたびに、心が痛くなりました。正直、うちには習い事をさせる時間の余裕もお金もありません。そんな中、うちの真上に住んでいるママさんと会ったとき、嫌味を言われたんです。

『子供は才能の塊なんだし、習い事をさせないと子供がダメになって可哀想だよ』

悔しいけど、でも実際に習い事をさせられない環境にいる娘。ごめんね…という気持ちでいっぱいになりました。」

気にしていた部分をママ友に指摘され、Sさんは深く傷ついたことでしょう。懸命に毎日を生きているのに、思うように子供に習い事をさせてあげられない…至らない親のせいで、“子供がダメになってしまう”と何日も自分を責めたといいます。

孫の変化に気付いた祖母が、救いの言葉をかけてくれた

そんなある日、Sさんに急なシフト変更の連絡が入りました。急病で人が足りないから今から来れないかとお願いされたのです。

「いつも希望通りのシフトを組んでもらっているので、そういうときくらい応えなきゃと思って。母に電話をして、娘のお迎えを頼みました。うちのマンションのカギを母は持っているので、主人が帰るまで娘と家で留守番をしてくれないか…と。母は『OK、OK』といって引き受けてくれ、その日わたしは急いでパートに行きました。」

月に1度会うか会わないかくらいの頻度だった娘さんとSさんのお母さん。Sさんが仕事から帰宅したとき、めずらしくご主人は残業でまだ家におらず、娘さんとお母さんは2人、仲良く遊んでいたといいます。「ありがとう」とお母さんに伝えるやいなや、興奮気味にお母さんはSさんにこう言い放ったそうです。

「この子、こんなに歩けるようになんたんだね!保育園に通う前とは、大違い。疲れたともなにも言わないし、すごい成長だね

保育園への送り迎えは、Sさんの日常でした。大人の足で15分かかる園への道のりは、子供の足であれば相当な負担。でも、娘さんは晴れの日も雨の日も、自分の足で歩いて通っていました。特別な習い事はさせていなくても、Sさんの娘さんはいつの間にか“元気にいっぱい歩くこと”を習得していたのです。確かにそれも素晴らしいこと。でもやっぱり、Sさんの胸には“習い事”が引っかかっていました。

「周りはみんな、習い事させてるんだよ。うちもなにかさせなきゃ、可哀想かなぁ」

それを聞いてSさんのお母さんは一言ピシャリ。

「本人が『やりたい』って、言ったのかい?」

Sさんはハッとしました。娘さんは別に、習い事をやりたいとは一言もいっていませんでした。幼い頃の習い事は、確かに親が主導となって決めることかもしれません。でも、Sさんはそもそも本人がやりたいかどうかもわからないのに“習い事をさせようか”と悩んでいたのです。周囲のママ友の影響で、ただ習い事をさせなきゃ子供がダメになる、可哀想なんだ…と思い込んでしまったからでした。

子を思う母は皆、将来を案じて様々なことを模索します。習い事や塾、テキスト購入や家庭教師…子供への投資を惜しまない親はたくさんいます。でもそこに、子供本人の意志はあるのでしょうか。

「母の言葉で肩の荷が下りた気がしてます。周りと同じように、なにかさせなきゃいけないって思わずに、本人がしたいと言ったらさせてあげられるような環境を整えておくことを考えるようになりました」

Sさんは今日も、パートをしながら、愛する娘さんにとって最良な環境を整えることを考えています。ママの愛、きっと娘さんにも届いているはずです。

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Spotlight編集部 コンテンツハートKIE このユーザーの他の記事を見る

代表を務めるのは元船舶料理士、フリーライターとして活動し6年目になるKIE。仕事、育児、家庭、家事…”なにも諦めない生き方”の実現を目指し、やる気に溢れたママさん達とライター集団を結成。心にそっと寄り添う、日常に彩りを添える記事の執筆を目指し活動しています。

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