記事提供:CIRCL

1日の約3分の1もの時間を費やす睡眠。快適な睡眠には質のよいベッドは欠かせないが、体にしっくりくるものはなかなか見つからない。そんななか、今後私たちの生活を支えてくれるかもしれない”未来”のベッドが誕生した。

ヒントはチンパンジーが木の上に毎日作る寝床京都大学研究者らと京都の寝具メーカーが協力して、今まで経験したことがないような心地よい眠りを味わえるベッドを作り上げたのだ。

過去最高の寝心地「人類進化ベッド」

「人類進化ベッド」は、京都大学と寝具メーカーのイワタの協力で開発された。縦1.6メートル、幅1.2メートルの楕円(だえん)形で、地面からの高さは45センチ。

広さに余裕を持たせる従来のベッドと違い、少し背が高めの女性なら足がはみ出してしまうほどの大きさ
だ。

ベッドを支える枠組みは木製だが、クッション状の専用敷布団を敷く中央部分には「ペーパーコード」と呼ばれる耐久性の高い紙ひもが編み込まれ、ハンモック状になっている(※1)。

腰からお尻部分にかけて深さが増す構造なので、横たわると体が包み込まれているような状態になるという(※2)。

心地よいクッションと揺れが睡眠を促す

寝心地がよさそうなベッドといえば、フカフカのクッションベッドを想像するかもしれないが、体に負担をかけず、本当にぐっすりと眠るには適度な硬さが必要になる。「人類進化ベッド」は、ちょうど頭を乗せるフチの部分が硬めになっているため(※2)、安定感もバッチリなのだ。

また、縦方向だけでなく、どんな方向で寝ても揺れを感じられる仕組みになっている。揺りかごのような適度な揺れは寝付きをよくし、深い睡眠に入る直前のノンレム睡眠を長くさせる(※3)。

開発のきっかけはチンパンジーのベッド

このベッドを制作するきっかけとなったのは、京都大学でアフリカ地域の霊長類について研究している座馬耕一郎(ざんま・こういちろう)氏の発見だ。アフリカでの調査時に、チンパンジーが作ったベッドにふと寝転んでみたところ、今まで経験したことがないほどの快適な寝心地に驚いたのだという(※2)

人類進化ベッド 将来的には商品化も期待

人類進化ベッドは、2016年4月6日~6月26日の京都大学総合博物館「ねむり展」で試作機が初公開された。

当初から注目されていたこのベッドは体験者からも好評で、ゴリラ研究で知られる京都大学総長の山極寿一(やまぎわ・じゅんいち)教授も「思ったより非常に良い。人類の本能が蘇ってくるのかもしれない」と話した(※4)という。

京都大学教授で睡眠文化研究会理事でもある重田眞義(しげた・まさよし)氏は、より多くの人に使ってもらうため、将来的には商品化も考えていると話している(※2)。

ねむり展はすでに終了しているため、残念ながらこのベッドの寝心地を体験したいという願いは叶わない。運よく体験できた人は、人間が遠い昔に忘れてしまっただろう本能の赴くまま、極上の眠りを味わえたのかもしれない。

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