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税務署が咎めない「究極の節税」』(辻正夫/幻冬舎)によると、国税庁の「法人税の調査事績(平成26年事務年度)」の発表では、申告漏れなどを税務署に指摘された法人は7万件に及び、追徴課税は総額1707億円と、前年に比べて7%以上増えているという。

帝国データバンクの2014年の調査によると、「脱税」や「粉飾決算」などのコンプライアンス違反が原因で倒産する企業は、2010年から5年連続で増加しているそうだ。できるだけ納税額を抑えたい気持ちは分かるが、そのために法律を犯し、バレて高額の追徴課税を受け、そのうえ刑事告訴までされるのは本末転倒だ。

本書は、32年間にわたって大阪国税局の税務調査官として勤務し、中小企業約700社の法人税調査を担当してきた、著者の辻正夫氏だからこそ書ける節税テクニックが紹介されている。本書のテクニックを駆使すれば、節税を果たし、会社を強くすることができるという。

しかし、一部の経営者が期待するような法律スレスレのテクニックは書かれていない。正しいテクニックを使った真っ当な節税法だ。そのテクニックを要約したものを、ほんの少しだけ紹介していこう。

究極の節税の考え方

節税には「支出を伴う節税」と「支出を伴わない節税」の2つがある。「支出を伴う節税」とは、経費を支出したり、備品の購入をしたり、減価償却資産の取得などで利益を減らす方法だ。

「支出を伴わない節税」とは、キャッシュを使わずに利益を圧縮する方法だ。この2つのうち「支出を伴う節税」が広く実践されている。節税効果が実感しやすいためだ。

しかし辻氏によると、会社にキャッシュ(現預金)を残してこそ、会社が強くなっていくという。「支出を伴わない節税」を行うのだ。もし会社からキャッシュがなくなると、取引先が倒産して売掛金が回収できなくなった場合、黒字倒産を起こすこともあるそうだ。

また、会社にキャッシュが増え、財務基盤が強くなると、金融機関の与信力(信用)が高まり、場合によっては無担保で融資を受けることもできるとか。

究極の節税の具体策 役員報酬

「経営者個人と法人のトータルで節税する」というのが辻氏の考える節税の大原則だ。ところが「自分の会社なのだから役員報酬をたくさん受け取って当たり前」と考える経営者が少なくない。

しかし、辻氏の提案する「会社にキャッシュを残す」という点で見ると、トップが役員報酬をたくさん受け取るべきではない。所得税の最高税率は、2016年現在で45%(4000万円超)になっており、これに住民税10%をプラスすると55%になる。

中小企業の経営者となると、最高税率の報酬を受け取っている人も少なくないはず。役員報酬をたくさん受け取ると、会社からキャッシュが出ていくだけでなく、経営者個人が得た役員報酬に対して、さきほどの55%の最高税率がかかってしまう。

法人税などの実効税率を34%と考えれば、21%も余分に税金を払っているのだ。そうではなく、代表者個人の役員報酬は、法人税などと同額程度の所得税になるまで抑え、その分のキャッシュを会社に残すことで、結果的に余分に払っていた税金を節税するべきという。

辻氏いわく、役員報酬の金銭的な目安は1200万円程度だそうだ。「所得税+住民税」と「法人税などの実効税率」の推移を比較した場合、所得税などが法人税などと同額になるラインだからだそう。

この他にも様々な「究極の節税」が書かれており、これ以上紹介すると際限なくなるので、あえてここまでにさせていただく。本書こそ経費で購入すべきだ。中小企業の経営者は絶対に手にすべきだろう。

本書にも記述されていたが、日本の99.7%は中小企業だそうだ。中小企業こそ日本社会なのだ。経営者には正しく会社運営してもらい、誠実に納税してもらい、日本をもっと良くしてほしいと願う。

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