知ってるようで知らない、だけど気になるあのシゴトをSpotlight編集部が深掘り取材するコーナー「シゴトペディア」。今回ご紹介するのは子どもがなりたい職業の上位にも挙げられる「漫画家」です。

『SUPER JUMP』誌に1996年、読み切りとして登場した『交通事故鑑定人 環倫一郎』

お話を伺ったのが、言わずと知れた少年マンガ誌『週刊少年ジャンプ』で、1987年に
『ff(フォルテシモ)』でデビュー、以降『交通事故鑑定人 環倫一郎』など、多数の雑誌に作品を発表している、漫画家の樹崎聖(きさき・たかし)さんです!

漫画家の樹崎聖さん

「私が漫画家を目指したのは、中学2年生のときで、当時、リバイバル公開されていたチャップリンの映画『独裁者』を見たことがきっかけです。彼は映画俳優ですが、私は漫画を通じてユーモアを伝えたいと思い、漫画家になることを決めました」

その後、樹崎さんはジャンプの新人賞(ホップ☆ステップ賞)を受賞し、デビューを果たします。漫画家という職業に将来の不安はなかったのでしょうか。

「私はデビュー作が新人賞を受賞したとき、全審査項目において満点で入選したんです。そこからすでに迷いはありませんでした。ただ描きたいことがあれば描くだけだと」

樹崎さんは仕事を取り組む中で、「お金のために働かない。夢中になれることをやること。表現のための妥協をしないこと」を心がけているそう。漫画家で「食える・食えない」よりも、良作を生み出すための情熱が、仕事を続ける原動力になっているのかもしれません。

「女性は下手だから描くな!」と言われた過去

樹崎聖さんの猫絵(pixivより)

漫画家さんとかかわりの深い「編集者」という存在。漫画を世に送りこむため、漫画家を叱咤激励するイメージを思い浮かべる人も多いでしょう。今度はそんな編集者と漫画家とのやりとりについて聞いてみました。

『お前は男を書く作家だから、女は(下手だし)描くな!』と言われたことがあります。悔しかったので、それから奮起して女の子をかわいく描けるよう修練を積みました。その成果もあってか、その後、担当氏は前言撤回しましたよ」

なんともストレートな言葉!しかし、こうした編集者のひと言が、自然と画風や作品を変えるきっかけになっているのかもしれません。また、樹崎さんは印象に残っている編集者でこんな方を挙げてくれました。

「こちらのどんな小さな迷いもネーム(セリフやコマ割りを大まかにあらわしたもの)の中から見逃さない編集者は、有能という意味で印象に残っています。その人は直しを要求してくるときも、こちらのやりたがっているベクトルを外すことがありませんでした」

編集者からの乱暴な指示に憤ったことも

作業場の様子

一方では、イヤ~な印象の人もいたそうで…。

「直しの指示をするとき、『いいから直せ』と、理由すら言わなかった人もいましたね。そのときは○○したい(※編集部自粛)と思ったものです(笑)」

樹崎さん曰く、編集さんとのやりとりで重要なのは「本音でぶつかること」「テンションを上げて打ち合わせをすること」。全力で作品への想いをぶつけるわけですから、それだけの気力も必要なようです。

「優れた編集者に当たれば、素晴らしい参謀であり最高の相棒です。ただし向こうはサラリーマンなので、それ以上を期待してはいけません。作品のために命を一緒に削れとは思ってはいけませんし、もし外してしまったとしても楽しくやる気持ちが大事です」

この絶妙な距離感の取り方も、漫画家を続ける上でのカギを握っているのかもしれませんね。

長く続けるための秘けつは「出し惜しみしない」

学校で講演を行う樹崎さん

現在、樹崎さんは、大学や専門学校、海外での講演や、後進育成を目的とするプロジェクトにも取り組んでいます。そんな樹崎さんに長く書き続けるために意識していることを聞いてみました。

出し惜しみしないことだと思います。いつかはネタ切れするかと思うかもしれませんが、困ったりはしません。全部出せばまた次が生まれて来るので。いいネタは、自分が考えたキャラクターが漫画の中で勝手に走り出すんです」

漫画の世界は数多く描いたものが勝つ

10月9日~10日には、原作・演出協力を担当したモーションコミックLIVE 『ZOMBIEMEN』が上演される

最後に、樹崎さんに漫画家にとって必要なことは何か伺いました。

情熱と人間力です。メジャー雑誌の編集者も、結局は漫画家を『人』で判断します。そして、とにかく『描きまくれる』こと。数を描いた者が勝つ世界だと思っています」

「情熱」、そして「人間力」。数多くの作品を生み出してきた樹崎さんだからこその言葉だといえます。やはり漫画家には技術的スキルに加え、作品のアイデアを生み出し、担当編集といい関係を築く、人間的スキルの向上も重要なようです。

漫画家としてさまざまな活躍ぶりを見せる樹崎さんは、自著による漫画技法書「カタルシスプラン」「10年メシが食える漫画家入門R」(ともに幸文堂出版)、そして「10年大盛りメシが食える漫画家入門ふりかけ付き」(星海社新書)が発売されたばかり。手に取ってみれば、その情熱をよりリアルに感じることができるはずですよ!

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