出典 https://www.amazon.co.jp

90年代、携帯電話やインターネットの一般化に合わせ、売春の形態にも変化が起こった。掲示板や専門サイトで十代の少女たちが男性を募り、セックスと引き換えにお金を払ってもらう「援助交際」の流行である。

時代を経て現在、体で稼ぐ女子高生=JKたちはますます増加傾向にある。しかも、彼女たちを組織化し、利益を得ようとする大人たちも現れてきた。いわゆるJK(女子高生)ビジネスの誕生である。

サラリーマンより稼ぐ女子高生たち―JKビジネスのすべて―』(高木瑞穂/コアマガジン)はJKビジネスの実態を、経営者である大人たち、従事する女子高生たち、そして客である男性たち、それぞれの視点から浮き彫りにしていくルポルタージュである。

警察とのイタチごっこを繰り返しながら、名称や形態を変え存続していくJKビジネスの過激さには、関わる人間すべての業が見て取れるようだ。

本書においてJKビジネスとは、「男性客が女子高生から料金と引き換えにサービスを受ける機関」として定義されている。

サービスの内容はマッサージや耳かきなどの身体接触を誘発するものから、マジックミラーで仕切られた部屋で体育座りをするなどの「のぞき部屋」形式のものまで様々だ。そして、サービスの大半が男性側の性的興奮へとつながっている。

従業員が本物の女子高生かどうかは定かでないことも多い。高校生以上の年齢の従業員は「オーバー」と呼ばれるのに対し、女子高生以下の年齢の従業員は「アンダー」と呼ばれ、男性客から重宝される。

JKビジネスの発祥は2008年、秋葉原で開店したリフレクソロジーだとされている。リフレクソロジーとは、マッサージやエステを受け気分をすっきりさせる店という意味である。

「マッサージ」と冠すると風営法に抵触してしまうため、編み出されたのがリフレクソロジーという呼称だったのだ。

その後、「ヌキさえなければ」という考え方のもと、サービス内容は過激さを増していく。2009年には女子高生と銘打った従業員が水着姿でエステを行ってくれる店舗が全国的に大流行。

JKエステは3年ほどで摘発の憂き目に遭うが、その間にもJKビジネスはむしろ勢いを増し、「JK居酒屋」「JKガールズバー」「女子高生見学クラブ」「JKコミュ」など、次々と新業種が生まれていく。

どうして摘発や逮捕の危険性があるJKビジネスが無くならないのか。まず、純粋に利益が良すぎることが挙げられる。

事務所になるテナントさえ確保すれば、宣伝がネットと口コミだけで賄えてしまうJKビジネスは、たとえすぐに摘発されるとしても、その間に売上を荒稼ぎすることができる。前科がついてでもお金がほしい人間からすれば、魅力的すぎる仕事なのだ。

そして、女子高生の中にも、JKビジネスに志望してお金を稼ごうとする一定数が常に存在している。近年のJKビジネスの一部では性的な「裏オプション=裏オプ」が蔓延し援助交際の温床となっているが、それを了解の上で働いている女子高生は少なくない。

そして、店舗側も裏オプを許容しているどころか、奨励しているケースすらあるという。とある女子高生は裏オプによって3カ月で300万円を稼ぎ出した。

性行為すら我慢できるのであれば、そんな割のいい仕事は滅多にない。そのため、JKビジネスに従事したい女子高生は後を絶たないのだ。

また、本書にはJKビジネスで売春の客となり続けている「ロリコン」を自称する成人男性たちの座談会も収録されている。JKビジネスのいかがわしさにスリルを覚え、あわよくば女子高生を「囲いたい」と告白する彼らからは、完全に道徳観が欠落している。

著者は決してJKビジネスそのものを否定しているわけではない。だからこそ、行き過ぎたJKビジネスの現状に危惧を覚え、警鐘を鳴らしている。

暴走した業界の行く末に待っているのは破滅なのだろうか。それとも、ふてぶてしく規制に適応しながら狂った日常を持続させていくのだろうか。いずれにせよ、JKビジネスは今日も人々の欲望を飲み込みながら蠢いている。

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