1990年から2013年まで、23年間に渡ってNHK教育テレビ(現・Eテレ)で放送されていた工作番組「つくってあそぼ」。20代後半から30代前半くらいのアラサー世代の中には、「この番組を見て育った!」「モノを作る楽しさはこの番組から教わった!」という方も多いかもしれません。

同番組では「ワクワクさん」と「ゴロリ」の掛け合いも見どころでしたよね。ところで、番組が終了してしまった今、23年間「ワクワクさん」を演じていたタレント・久保田雅人さんは、どこでなにをされているのでしょうか。

前略、工作の楽しさを教えてくれた、“ワクワクさん”こと久保田雅人さん。

今、どうしていますか?

出典Spotlight編集部

「はい、今も子どもたちへ工作の魅力を届ける“伝道師”をやっています」

わーいご本人だ!“ワクワクさん”でお馴染み、久保田雅人さんは、実は現在も子どもたちへ工作の魅力を伝える活動を行われていました

そこで今回Spotlight編集部は、全国の幼稚園や保育園を飛び回り、子どもたちに工作を紹介し続けている久保田さんへ直撃取材を敢行!長年続いた番組のエピソードから、工作にかける想いまで、あのワクワクさんのキャラクターそのままに、たっぷり語っていただきました。

さらに後半では特別に、“プチプライスな材料できる簡単な工作”を久保田さんの実演動画でご紹介します!

番組スタート前から、日本全国で工作教室を行っている理由

ーー現在は毎日のように、日本全国の幼稚園や保育所に訪問し、親子の前で工作を作り、先生方の研修会で工作を教えるなど、多忙を極めている久保田さん。こうしたワークショップや工作教室といった活動は「つくってあそぼ」終了後からの活動かと思いきや、意外にも番組開始前から始まり、23年間の放送中も行っていたことが発覚!

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久保田「『つくってあそぼ』が始まる以前、ワクワクさんのオーディションに合格して、番組出演が決まったのですが、その当時の私は工作なんてやったことがなかったんです。

というのも、そもそも私は無事教員免許も取得して、日本史の先生になろうとしていたんですよ。それが大学4年生のときに、たまたま立ち読みした雑誌がきっかけで劇団に入り、俳優をする一方でアニメ声優として業界デビューをしていました。なので、工作については完全に素人だったんです。

こんな状態ではまずい!ということで、NHKさんに幼稚園を紹介してもらい、まずそこで工作をしたのが始まりでした。番組を収録するときは、スタジオなので子どもたちは1人もいません。それに、子どもたちは年齢が1つ違うだけで、できる範囲も全く異なる…。

どう教えたら子どもたちが喜んでくれるのかを私が理解するために、実際に子どもたちの前で工作をしてみる必要があった
んです。23年間の番組放送中も、幼稚園へ訪問して工作をし続けていました」

ゴロリが住んでいる星に、不時着したところからすべては始まった

久保田「『つくってあそぼ』は1990年4月に始まった番組ですが、実はその前から『ワクワク』は存在していました。同番組放送開始の前年、平成元年に試作番組が2本放送されていまして、そのうち1本目のタイトルが『ワクワクおじさん』だったんです。当時の私はまだ26、7歳だったのに、もう『おじさん』ですよ(笑)。

しかも最初は設定も全然違っていて、ゴロリが住んでいる星に私が乗り物で不時着し、そこでなぜか空き箱で工作をするという設定でした。

ゴロリとは、ある意味、親子のような関係ですね。実際の設定も、子どもの代表であるゴロリのアイデアを、大人代表のワクワクさんが形にしてあげながら、2人で遊ぶというスタイル。なので番組では、本当に親子で遊べるように、特殊な材料ではなく極力家にあるものを使っていました」

ワクワクさんが“大抵負けていた”、ゴロリとの対決の真相

出典Spotlight編集部

久保田「ワクワクさんとゴロリが作ったものでゲームをするのがお決まりでしたけど、よく「ワクワクさん、あれってわざと負けてるんですか?」って聞かれていたんですよ。

…あれ本気でやってましたからね。台本にも「(ワクワクさんのセリフで)○○ゲームよーいスタート! 以下、実況中継風アドリブ」って書いてあるんですよ。で、最後に「(勝者)ワーイ、ワーイやったぁ!(敗者)くぅ、残念」ってあるだけなんですよね。

どうしてそうなっていたかというと、子どもって、大人の変な段取りや嘘を見抜いちゃうんですよね。だから段取りでゲームをやっても、子どもたちってなんにもおもしろくないんですよ。あのゲームの部分は、ゴロリと真剣にやってるからおもしろかったんですよね」

「23年間、私とゴロリには“永遠の課題”があった」

出典Spotlight編集部

ーー今でも「工作の伝道師」として、子どもたちや親御さんたちに、工作の楽しさや遊び方を伝えるために活動を続けている久保田さん。その工作のアイデアはどのように生み出されているのかというと…。

久保田「『ワクワクさん』=『工作のアイデアを考えて教えてくれる人』と思っていた方が多いかもしれませんが、実は違いまして、工作のアイデアはすべて造形作家のヒダ・オサム先生のものです。そのことは、どこへ行っても私は包み隠さずに言ってきました。ちゃんと番組最後のテロップにも『造形アイデア ヒダ・オサム』と出ていたんですよ。

ヒダ・オサム先生という名曲を作り出す“名作曲家”がいる。ならば私とゴロリは“名演奏家”になることに徹していました。どんな名曲であれ、演奏されずして人々を感動させることはありえない。私とゴロリは、ヒダ先生の素晴らしいアイデアをいかに上手に伝えるかということが大事なんです。

子どもたちが見て、『ああ面白かった』じゃだめなんですよ。『ああ、面白かった、よし、やってみよう』と思ってもらえる番組作りができてこそ、“名演奏家”なんです。それが23年間、私とゴロリの永遠の課題で、追い続けてきたものです。その想いは、番組が終了して全国を回っている今でも同じなのかもしれないですね」

当時、工作を教えた園児に再会したとき…

出典Spotlight編集部

久保田「幼稚園への訪問も長いことやらせてもらっていますが、とある保育園に行ったときに、そこの保育士さんに『自分が園児だったころに、ワクワクさんが来た』と言われたことがあったんです。当時、園児だった子が、今では保育士になって、私に2度会っているんですから、びっくりしましたよ」

ーーそれほどまでにキャリアの長い「工作の伝道師」として活動する久保田さんですが、自分が納得できる工作ができるようになったのは、番組開始から3年ほどたってからとのこと。自宅で工作の練習をしてから収録に臨んでいたものの、NGとなることも多かったといいます。そんな苦労を重ねながら、番組が23年間続いた秘訣とは…。

久保田私は23年間、一度も台本通りにしゃべったことがありません。それを許してくれたディレクターさんはありがたかったですね。ワクワクさんとゴロリが本当に楽しく作っている雰囲気を醸し出せれば1番、ということで番組制作を進めてくれていたので、本当に助かりました。

ゴロリ(を演じていた古市次靖さん)とは、いかにお互いが常に新鮮にいられるかを考えた結果、収録以外の時間はできるだけベタベタしないようにしていました。その代わり、その日の分をすべて撮り終えた後は、よ〜く飲みに行きましたけどね(笑)」

家庭でひたすら担当し続けている、“とあるコト”

今日は、Spotlight読者の皆様への実演動画撮影のため、たくさんの道具が入った大きなバッグを持参してくださった久保田さん。貴重すぎるバッグの中身を見せてもらっちゃいました!そこには、飲料パックをはじめとした“使用済み”のものがずらり。

出典Spotlight編集部

あるひとつの飲料パックの正体は…。

出典Spotlight編集部

なんと、お道具箱!ゴミにしてしまうのではなく、リメイクや工作の材料にするため、ご家庭でのゴミの分別はすべて久保田さんが担当しているんだそう。

久保田「幼稚園などの工作教室での材料は、すべて自分で用意しています。たとえばティッシュの空き箱ひとつとっても、翌月に○件の幼稚園に訪問するから、○つ必要だ』という風に、必要な数を準備していかなければいけません。これがけっこう大変なので、捨ててしまうものの中に材料として使えるものがないか、ゴミの分別は私が担当しています。

材料は用意してもらうよりも、自分が持って行ったもののほうが使いやすいんですよね。ティッシュの箱だけでもいろいろな形がありますし、トイレットペーパーの芯でも微妙に色や形が違いますから」

出典Spotlight編集部

ご家庭での“言われてみれば納得”な役割を伺えたところで…。お待ちかね!今回はSpotlightのために、1つの牛乳パックを使って、3種類の工作を披露していただきました。どれも簡単に作れて楽しく遊べるものばかり。特別な材料も要らないので、プチプライスでできるところも最高ですよ!

「1つの材料で3つ作れる」楽しく遊べる簡単工作の実演動画はこちら!

出典 YouTube

まさに、あの頃テレビの向こうで夢中になったワクワクさんそのもの。軽妙なトークをくり広げながら、見事な手際であっという間に3つの工作を完成させた久保田さんに、取材陣一同は圧倒され、すっかり童心に返って大喜び!子どものみならず、大人も笑顔にさせてしまう久保田さんが想う、“子どもと一緒に工作を作るときのコツ”とは…。

久保田
「やっぱり“楽しく作る”ということなんです。教える大人も一緒に楽しんで、遊び心を持つことが1番大事ですね。楽しんで笑いながら教えれば、きっと子どもも“わくわく”してくれるはず。大人の皆さんは、自分が遊ぶつもりで子どもたちに教えることを大切にしてほしいですね」

取材中も、ユーモアたっぷりなお話で取材陣を常に笑わせてくれていた久保田さん。久保田さんご自身が一番遊び心を持った大人であるからこそ、私たちが今も昔も久保田さんに魅了される理由なのかもしれませんね。さぁ、この記事の最後は、久保田さんが実演工作の合間に叫んだ、アツい言葉で締めたいと思います。

久保田『こうなったら死ぬまで工作をやってやるー!“彼は死んでもハサミを離しませんでした”って教科書に書かれるようになろうかな!』

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