2014年に公開された映画があります。病と闘いながら生きていた若い2人が出会い、愛し合い、死を見つめながら生きた日々を描いたジョン・グリーン著、小説「さよならを待つふたりのために」が原作です。

ヘイゼルは16歳.甲状腺がんが肺に転移して,酸素ボンベが手放せないまま,もう三年も闘病をつづけている.骨肉腫で片足を失った少年オーガスタスと出会い,互いにひかれあうが…….生きて人を愛することのおかしみや喜びをまっすぐに描き,死をみつめながら日々を送る若者の生々しい感情をとらえた,傑作青春小説.

出典 http://www.iwanami.co.jp

映画のストーリーのように激しい恋愛をし、深く愛し合い、短い人生を駆け抜けて逝った若い夫婦がいました。

Katie PaigeさんとDalton Pragerさん夫妻は、ともに享年26才でした。

KatieさんがはじめてDaltonさんを知ったのは、2人が18才の時にさかのぼります。FacebookにDaltonさんの母親が撮影した入院中の息子の写真を投稿したことがきっかけでした。

Daltonさんと同様に自分も嚢胞性線維症という難病と闘っていたKatieさんは、グラム陰性桿菌(セパシア菌, バークホルデリア・セパシア)という感染症の治療のために入院治療を受けていたDaltonさんのことがなぜか気になって仕方がありませんでした。

「あなたは私のことを知らないと思うけれど、誰かと話したくなったら連絡ちょうだい」

Katieさんが送ったメッセージをきっかけに、2人はメールを交わすようになり、次第に愛が芽生えていったのでした。

嚢胞性線維症とは

特定の分泌腺が異常な分泌物を産生し、それによって組織や器官、特に肺や消化管が損傷を受ける遺伝性疾患です。 嚢胞性線維症は、特定の遺伝子の突然変異を親から引き継ぐことで発生し、粘り気の強い濃厚な分泌物が肺やその他の臓器の働きを妨げます。

この病気では、30代後半まで生存できる患者は半数です。 治療薬や処置には、抗生物質、気管支拡張薬、肺の分泌物を薄める薬、呼吸障害に対する胸部の治療、消化障害に対する膵酵素の補充などがあります。 肺移植が有効な患者もいます。

米国の白人では、短命の原因となる遺伝性疾患として最も多いのが嚢胞性線維症です。

出典 http://merckmanuals.jp

「絶対、彼に直接会ってはいけない。会えば命の保証はない」

若い2人の情熱は、Katieさんの担当医のアドバイスに耳を貸すことさえもできないほど、燃え上がっていました。

医者の助言にも関わらず、2009年8月、KatieさんはDaltonさんが住む街へ母の運転で6時間もかけて会いに行きました。

そしてその日のうちに交わした熱いキス。

しかし、それがどういう意味を持つか、その時2人は深く考えてはいませんでした。

Katieさんがグラム陰性桿菌に感染するのに、さほど時間はかかりませんでした。

幸いなことに、感染にも関わらず深刻な状態に陥ることはなく、2年後2人は結婚しました。

それからの何年間かは2人にとって、とても幸せな日々でした。家を買い、家中を2人の写真で埋め尽くし、友人たちとゲームと楽しみ、2人で台所に立って料理をし、旅行も楽しみました。

しかし、そんな日々が長く続くことはありませんでした。2014年、アメリカ、ペンシルバニア州ピッツバーグの病院。肺の移植手術のため、ドナーを待つ人々のウェイティングリストに2人の名前がありました。

その年の11月にまずDaltonさんが肺の移植手術を受けました。しかし、その後リンパ腫が見つかり、いったん克服はしましたが、その後も肺炎や感染症に苦しみ、入退院を繰り返しました。Katieさんは、医療保険に関するトラブルがあり、少し遅れて2015年7月に移植術を受けることができました。

当初は成功したかに見えた移植手術でしたが、Katieさんもその後ガンを発症し、その上肝機能が低下、肺には水がたまり、心臓の機能も著しく低下していったのです。

2人に残された日は、もうあまり長くはありませんでした。

この時夫のDaltonさんはミズーリ州の病院、Katieさんはケンタッキー州の病院に入院していました。遠く離れた2人は、病床からFacetimeを使って話をしていたようです。

死ぬ前に2人を会わせてあげたいと家族は願いましたが、著しく体力を失っていたDaltonさんをKatieさんのもとへ移動することは不可能でした。

そして、9月17日、KatieさんとFacetimeをしている最中、Daltonさんは息を引き取りました。

まるで後を追うかのようにKatieさんは、夫の死後わずか5日後の9月22日、夫が待つ天国へと旅立ったのです。

生前インタビューに答えてKatieさんはこんなことを言っていました。

20年間何も無く空しく生きるより、私は5年間愛し愛された幸せな人生を送りたい。

出典 http://edition.cnn.com

そしてこんなことも言っていました。

もしも私たちの物語を本にしたら、きっとベストセラーになるかもね。

最後のページはこんな文章で締めくくるの。

「2人はお互いの腕の中に抱かれて、ずっとずっと永遠に幸せに暮らしました」って。

出典 http://edition.cnn.com

2人の生き方やKatieさんの選択に、非難をする人もあります。

「ゆっくりとした自殺でしかない」

「彼のせいで、生きることができた自分の人生を投げ出した彼女に対し、複雑な思いがします」

「まだ実際会ってもいなかった彼に、自分の人生を犠牲にしてまで会いに行くべきではなかった」

今は天国にいる2人を誰も非難することはできないと思います。彼女の選択は、親として家族としてその立場に立つと、とても簡単に受け入れることはできません。

しかし、誰かを心から愛し、それが短い期間ではあっても、80年の一生分深く激しいものであったと信じたいと思いました。皆さんはどう感じたでしょうか。

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公式プラチナライター。テキサス州在住。料理研究家でフリーランスのコラムニスト

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