消防隊員はそのイメージ通り、なかなかハードな仕事。まず、男社会というイメージがありますが、海外では女性の消防隊員の活躍も時折見られるので、なんだか励まされるような気持になります。

でも、その昔は女性の消防隊員というのはかなり珍しかったようです。ロンドン在住のサリー・ハーパーさん(51歳)が消防隊員として組織に参加したのは、1988年のことでした。

「髪を切れ」研修2日目でそう言われたサラさん

Licensed by gettyimages ®

当時、女性の消防隊員はイギリス国内では6万人の中でたった9人だけだったそう。サリーさんはその中の1人でした。研修2日目にボスから「お前は髪が長すぎる。男のように短く切れ」と指示を受けたと言います。

サリーさんは、長かった髪を襟足いっぱいまでカット。しかし、ボスたちはそれでもまだ長いと言い、バリカンでサリーさんの髪を短く刈りあげました。「侮辱されたと思い、泣いてしまいました。」サリーさんは自分のアイデンティティを失われるような気分になったそう。でも、「消防隊員になりたければ、これぐらいできなくてどうするんだ」と言われ歯を食いしばって耐えたと言います。

サリーさんは「女性でも歓迎します」と書かれた消防団のリクルート記事を見て応募しました。とことが当時、男社会の消防組織にとってサリーさんという女性は歓迎された存在ではありませんでした。それでも、自分からは絶対に辞めないと確固たる信念を持って、ひたすら仕事を頑張ったサリーさん。これまで幾度もの苛めや侮辱に耐えて来ました。

今回、そんなサリーさんの娘であるケイティさん(23歳)も、母と同じ道を歩むことを決意し、今年から消防隊員になりました。

サリーさんとケイティさんは、イギリス初の母娘消防隊員

Pinned from mirror.co.uk

「仕事柄、火に巻き込まれて死んでしまうことの方が簡単に思えた」というほど、若い頃は男性陣から壮絶な苛めにあったというサリーさん。特に妊娠中は「だから女は…」という感じの態度で接してこられたと言います。自宅までの帰り道、車に乗り込むや否や悔しさで泣きっぱなしという経験も少なくなかったのだとか。

初めて梯子に上った時も「あいつには無理だ。女だからな」と、暗に役立たずと言われた経験も。更に更衣室は集合場所から離れた場所にあり「着替え時間は5分。ちょっとでも遅れると女だから支度が遅いと言われました」とサリーさんは当時を振り返り、男社会の厳しさを語りました。

娘ケイティさんの状況は…

Licensed by gettyimages ®

母親のサリーさん同様、南ロンドンのトゥーティングというエリアで消防隊員として勤務しているケイティさんですが、現在は女性消防士の数も増え、男女変わらずの対応を受けているといいます。

「私は母が、男女差別の酷かった時代にとてもよく頑張ったと誇りに思っています」とケイティさん。サリーさんは娘に危険な仕事をさせたくはありませんでした。それでもケイティさんは、サリーさんの背中を見て育ち消防隊員として働きたいと思ったのです。

そんなケイティさんは、消防団員になってまだ5か月。サリーさんの若かりし頃と現代では組織の対応も随分違うことでしょう。

現在、マネジャーの地位を築いたサリーさんは「私は過去に丸刈りにされたことを絶対に忘れないわ。もし、今度髪の長い若い男性消防員が入って来たら、そうね、ルールを変えるわ。後ろで一つに束ねなさいってね」と、過去の苦い記憶に笑いながらそう語りました。

命を賭ける仕事、消防士

Licensed by gettyimages ®

確かに、命を賭ける仕事ならば相当の体力も必要でしょう。どこの国でも昔は男尊女卑があったのだなとサリーさんの話を聞いていると実感できますね。

今はサリーさんは、娘ケリーさんに「可能性を広げて行って欲しい」と願っています。タフでハードな仕事ではあるけれども、消防団員の命を救う仕事は何よりもリスペクトされるべきもの。お母さんのようにしっかりとそのキャリアを積んでいってほしいですね。

この記事を書いたユーザー

Mayo このユーザーの他の記事を見る

公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

得意ジャンル
  • 話題
  • 社会問題
  • 動物
  • 海外旅行
  • 育児
  • テレビ
  • カルチャー
  • 美容、健康
  • ファッション
  • 感動
  • コラム
  • おもしろ

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス