都会では隣に住んでいる人の顔も知らないということがよくあります。顔を合わせる機会がないとその分疎遠になってしまうのは自然なこと。地域によっては、昔のように「お隣さん」という軽い気持ちで頼りにできないというところも。

隣人とのコミュニケーションがないと、孤独に陥る人も多いことでしょう。イギリスのフルハム在住の70歳になる女性も、周りとの接触を断ち孤独に暮らしていました。

3児の母親であるルーシー・アッシェンさんは21年間、同じアパートに暮らしていました。そしてそのアパートに70歳の女性も住んでいましたが、二人はこれまで口を交わすことはありませんでした。

ルーシーさんが見た限りでは70歳の女性は、とても孤独な暮らしをしているようでした。
友達のような訪問者もなく、彼女の様子を見に来る人もいない…。言葉は交わさなくとも何かと気になっていたルーシーさんは、ある日その女性に話しかけることに。

ところが、その女性はなかなかルーシーさんと打ち解ける姿勢を見せませんでした。その高齢者女性は精神疾患を持っており、なかなか人を受け入れることのできない様子だったそう。

でもルーシーさんは根気よく粘り続け、最近ようやくその女性の信頼を得るまでになりました。そして女性の部屋にあがったルーシーさんは、ショックを受けました。

あまりにも汚れきった部屋の中で惨めに住んでいた…

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掃除など何年もしていないような部屋の有り様にショックを受けたルーシーさん。見渡すと、冷蔵庫も汚れており中にはほとんど何も入っていません。更に台所周りにもゴミや汚れが付着し、リビングも荒れ果てた状態でした。

あちこちに汚れがこびりついていた

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家具も見るも無残な状態だった…

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こんな部屋で70歳の女性は、たった一人で缶詰を食べ暮らしていたのでしょう。戸棚にはやたら多い缶詰だけがぎっしりと並んでいたそうです。

しかも、その女性は13年間お風呂に入っていなかったことも知り更に衝撃を受けたそうです。この惨めで孤独な汚れた部屋を見たルーシーさんは、意を決して女性の部屋の掃除を申し出ました。

「ご近所さんを助けなきゃ」そう思うルーシーさんの気持ちに何の戸惑いも湧きませんでした。14歳になる娘にも手伝ってもらい、同時にFacebookで「My Lady」というアカウントを作り、近況を報告し同時にみんなからのヘルプを受け付けました。

すると、SNSパワーが動きました。多くの人がルーシーさんとこの女性に激励のメッセージを送り、また女性に必要なものの80%が24時間以内に揃うという嬉しい結果となりました。そしてルーシーさんと娘さんが60時間と11日かかって掃除した女性の部屋は、驚きの変貌を遂げました。

「暮らし」が感じられる空間に

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汚れを綺麗に取り去ったキッチンには、明るさが戻りました。みんなの寄付の食料を冷蔵庫に入れると、そこには「暮らし」の空間ができあがりました。

リビングも見違えるように綺麗に…

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ボロボロになったソファを処分し隅々まで掃除したリビングルームは、生活空間溢れる温か味ある場所に生まれ変わりました。「住める空間として受け入れるまでにも60時間かかったんです。本当はまだ、終わっていないんですがなんとかマシになりました」というルーシーさん。

高齢者の女性は、これまで汚れた部屋の床で寝ていたそうです。でもSNSを通して多くの人がいろんなものを寄付してくれたために、ベッドも提供してもらえることになったそう。

これまで13年間、キッチンシンクで顔を洗っていただけという女性に、ルーシーさんはシャワーもさせました。「今からシャワーを手伝いますね」と言うと、女性は「怖い。転ぶかも知れない」と答えたそうです。でも「大丈夫。そのために私がサポートしますから。怖がる必要はもうどこにもないんですよ」と優しくルーシーさんは話しかけました。

「部屋が綺麗になったことで、彼女自身も自分への尊厳を取り戻せると思います。これからは快適さと周りの人たちの思いやりに溢れた暮らしをして欲しい」とルーシーさんは語っています。

人との触れ合いの大切さも取り戻した…

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ルーシーさんの14歳の娘、ルビーさんも今回はよく協力してくれたそうで、ルーシーさんが部屋を掃除している間も、女性の身の回りの世話や、女性を楽しませようと一緒にテレビを見たりずっと話しかけたりして相手になっていたそう。

実はルビーさん、夏の間ホリデーを諦めてお母さんのヘルプに徹したと言います。ルーシーさんが「あの人を助けてあげたい」というのを聞いて、自分も全面的に協力したいと申し出てくれたのだそう。ルーシーさんのような思いやりがある女性に育てられたからこそ、娘のルビーさんもまたその気持ちを受け継いでいるのでしょうね。

孤独な人が増えているという現実

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この70歳の女性のように何らかの精神疾患をもっていなくても、孤独に暮らしている人は社会に数多く存在します。特に都会では他人のことには関わらない主義の人も多く、ご近所さんとのお付き合いというコミュニティが全く存在しない地域もあるために、高齢者たちはますます孤独になって行くのではないでしょうか。

ルーシーさんのようなちょっとした親切でも、時に人によっては「大きなお世話」となりがちです。その境界線は非常に微妙ですが、それでも「助け合う」精神を持つことは大切だと思う筆者。

少なくともこの70歳の女性にとっては、ルーシーさんとルビーさん、そしてSNSを通しての支援者によって孤独や惨めさを少しは払しょくできた様子。ルーシーさん達の、決して自己満足ではない人への優しさは、きっと本人に伝わっていることでしょう。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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