これまで3回にわたり、ダメダメフリーランスがいかに惨めな生活をしているかを、私、中川淳一郎(40歳・フリー歴14年)の実体験などを踏まえて紹介してきました。お陰さまでフリーランス同士の妙な連帯感まで生まれましたが、「そろそろ、ちゃんと仕事をしている様子を書け、ボケッ!」という声もいただきましたので、今回は「馬車馬編」。

29歳から30歳にかけ、突如としてとんでもなく収入が上がり、無茶苦茶に働く状況になった時の様子を報告いたします。

同時にやっている仕事は常に5個以上、年間休日は10日

メインの仕事だけをやっていれば、そこそこ休めるのですが、なぜか5個ほど仕事が常にあるんです。私の場合、2週間に1回発売される「テレビブロス」の編集業務をやり、隔週の月~水曜日に校了作業をするのです。それ以前は企画を作ったり取材をしてりしているのですが、その時、以下のような仕事が突如として誰かから降ってきて、それを作ることにもなるのです。となると、年間で休みは10日間程度になります。これは2004年から2005年にかけてやっていた仕事です。

・某IT企業メルマガ執筆
・某週刊誌のグラビア取材
・某IT企業広報部署の外注先が外注するPR会社のさらに下請け業務
・某社社長の書籍ゴーストライター仕事
・某出版社のPR代行業務
・某隔週雑誌の編集業務
・某役所の啓発パンフレット制作
・某酒造メーカーのHP作成
・某IT企業の会社案内作成
・某TV局発の書籍編集業務

一体、どのようにしてこれらの仕事は降りてくるのでしょうか…。

どのようにして仕事は来るのか…

なんだかよく分からないのですが、気付いたら仕事が始まっている--といった状況になるのですが、一応、どんな経緯で仕事がいただけたのかを振り返ってみます。

【テレビブロス】
→売り込みに行った。

【某IT企業メルマガ執筆】
→私があまりに仕事がないことを心配した近所に住んでいた美女が紹介してくれた。

【某週刊誌のグラビア取材】
→カメラマンが「なんか、一緒にやりましょうよぉ!ドーンとやりましょうよぉ!」と言ってきたので、売り込んだ。

【某IT企業広報部署の外注先が外注するPR会社のさらに下請け業務】
→PR会社の人から「ウチの会社若い人しかいないんで、アンタみたいな30歳の男が欲しいんだよね。来れる?」と言われ、「喜んで!」と。

【某社社長の書籍ゴーストライター】
→飲み屋で知り合いと飲んでいたら、そこにやってきた初対面の女編集者から「あっ、丁度今、ゴースト探してるけど、アンタできる?」と言われ、「喜んで!」と言った。

【某出版社のPR代行業務】
→元々付き合いのある会社の人が「会社に頼むとかなり高いので、アンタみたいなフリーのPRマンに仕事出したいんだけど」と言われ「喜んで!」。

【某隔週雑誌の特集編集業務】
→某中東関係の仕事。私の師匠が、某隔週雑誌の人と仲が良く、中東関係に詳しいライターを必要としていた。たまたまアフガニスタンに行った過去などもあったため、「こいつが適任です」と某隔週雑誌の人に紹介され、やることに。

【某役所の啓発パンフレット制作】
→知り合いの編集プロダクションの美人社長が「アンタヒマそうね。全然名前聞かないわよ。まったく活躍してないのね。だから手伝いなさい」と言い、やることに。

【某酒造メーカーのHP作成】
→取材ができて、さらには地方都市まで行っても家族から文句を言われないようなモテない男のライターが必要とされており、私がドンピシャハマった。

【某IT企業の会社案内作成】
→たまたま同社社長を過去に取材しており、その時の記事が良かったとか良くなかったとかで、お声掛けいただき「喜んで!」。

【某TV局発の書籍編集業務】
→某TV局勤務の知り合いの女と飲んでいたら、「ギャラ安いんだけど、この条件で受けてくれる人いないから、アンタやってよ」と言われ、「喜んで!」。

いきあたりばったりで仕事をしまくっていたら…

なんと、たまたま様々な仕事の支払日が重なり、30歳のとある月の月収が180万円を超え、「あぁ、3年前の年収の3倍を1ヶ月で稼げたか…。ヒデキ、カンゲキ…。お母さん、育ててくれてありがとう…」とむせび泣くのでした。

しかしながら、休みはないので、疲弊していくばかりです。

この忙しさになった時には案外損をしている

何しろ同時並行で様々な締切が連日のようにあるため、優先順位を以下のようにつけるようになる。

【1】とにかく納品を間に合わせる

【2】質については、クライアントにある程度最終的に良くしてもらうということで、80点を目指す。100点を目指そうとギリギリまで粘っても結局83点くらいにしかならないことが多い。だからその3点の差のために時間を使うことはやめる。

【3】他の締切がまだ来ない仕事の準備を進める

このループのため、できなくなることが2つ出てくる。

【A】見積書・請求書の発行

【B】経費精算

正直、【1】~【3】はやらないと多くの人に迷惑をかけてしまうので、やらなくてはまずい。だが、【A】【B】は、結局自分の懐が痛むだけなので、ダメージは少ない。発注主からしても「請求書が来ないんです~」と上司や経理には言えるし、こうした請求書やら経費精算などは「仕事が終わってから3ヶ月以内までですよ!」的ルールが各社存在し、このまま請求書も経費請求も来なかったら儲けもの♪的側面もある。

フリー仲間に仕事をふろうとするも…

フリーランスで働く人はかなり極端で「あまりにも忙しい人」か「あまりにもヒマな人」に分かれる。つまり、安心して仕事を任せられるかどうか--ということである。自分が忙し過ぎ、さすがにこれは誰かに振らなくては…という場合でも、信頼できる人は大抵無茶苦茶忙しいため、仕事を振ることができない。

大抵の場合は電話でこんな会話になる。

私:「スイマセン! 松本さん、ここしばらく、ヒマなんてことないっすよね?」

松本:「おぉ!元気!いやぁ、なんか無茶苦茶仕事があってさぁ…、しかも毎晩飲んでてさぁ…」

私:「今、某役所のパンフレット作っているんですけど、一緒にできないっすよね?」

松本:「締切はいつかな?」

私:「3週間後の水曜日、それまでに企画考え、恐らく取材は10件くらいあるかと思います」

松本:「1件くらいは取材行けると思うけど…」

私:「いえいえ!松本さん、忙しいと思うので、ごめんなさい!ヘンな電話しちゃいまして」

松本:「いやぁ、ごめんね、せっかく話くれたのに」

私:「いえいえ!こちらこそごめんなさい!いや、分かっていたんです!!お忙しいってことは」

というわけで、ますます自分の仕事量が増えていくのである。

こういった人々が飲み屋で会うと、必ず出てくる話題が「睡眠との戦い」

こんな状況ではありつつも、ある程度の休息は必要なため、フリー仲間で飲み屋に行ったりする。すると、6人いた場合、2人くらいは居酒屋でグーグーと寝始める。

そして、起きている4人は「仕事多いよなぁ…」となり、そこで話題は「いかに眠気を醒ますか」という話になる。

当時人気だったのが、第一三共の「カフェロップ」というカフェイン入りのキャンディーである。これを一粒なめるとあらっ! 目がシャキッ! となり、約3時間は働けるのでした。

そして、睡眠の話題は妙な方向に行ってしまう…

どうすれば目が醒めるか、という話をしていると、最後は必ず「覚醒剤って眠くならないって聞くよなぁ…」「ですよね…」「つーか、ダメダメダメ!やっちゃダメだからね!」「ガハハハハハ、やるワケねーよ!」

と、忙しい時はかくも楽しく、そして「あぁ、仕事がもらえて幸せだ」とすべての発注主に感謝の気持ちを抱き、また、翌日も労働にいそしむのでした。

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