あっという間に夏休みも終わり、人、人、人でにぎわっていた海にも静けさが戻りつつある。秋になり、人影まばらになった海を「誰もいない」と表現した歌があったが、とんでもない!私たち人間には見えていない海の中では、さまざまな魚たちのとんでもない営みが常に繰り広げられているのである。

魚はエロい』(瓜生知史/光文社)は、四半世紀以上のキャリアを持つ水中カメラマンの著者が100点以上のオールカラー版の写真と共に、海の生き物たちの人間顔負けの愛憎劇を紹介している。

通常は“生命の神秘”として真面目に美しく取り上げられることが多い海の生き物たちの生態を、ちょっとだけ下世話に、しかし半分くらいは真面目に記述している。

処女サメの見分け方

凶暴なイメージのサメは、その繁殖行動もSMじみている。発情したオスが、求愛に応じたメスに噛みつくというのだ。それはサメの交尾器の特殊な形状に理由がある。多くの哺乳類の交尾器がホース状になっているのに対して、サメのそれは“溝”状になっている。

そのため途中で精子が漏れ出ないように、オスはメスの体を自分の体に固定して密着させておく必要がある。愛の行為のひととき、オスはメスをその歯で“噛み抱えて”いるのだ。

これに耐えたメスの体は交尾後、噛み跡でボロボロになる。この噛み跡を見れば、経験済みのメスか処女であるかを見分けられる種もあるのだという。

エロくて放映禁止

著者が以前、テレビのバラエティ番組でこれぞ!と思い選んだ「エロい水中生物」があった。しかし、ディレクターから返ってきた答えは「エロすぎて放映できません」。

著者が一押ししたのはサザエ。サザエのメスは放卵の際、岩を這い上がり頂上で立ち上がる。殻を持ち上げ反り返ったときに、普段隠れているサザエの中身が見えるのだが、これがまさに女性の局部そのもの。

いろいろな器官についても全てが揃っていてさらに場所も同じだという。モザイクかけても放映ができないというのも無理もない。お蔵入りになったサザエの禁断の立ち姿、ぜひ本書でご確認あれ。

その他にも、性転換するクマノミ、お辞儀をしながらハートの形でキスをするウツボ、巨大ペニスでチャンバラするウミフクロウ、ロリコンのタコベラ、Gカップのオッパイカイメンなど、バラエティ豊かなラインナップだ。

海の生き物たちが何を考えて“エロい”行動をとっているのか、実際には未知のままで想像の域を出ることはない。しかしそれは、言葉を持たない彼らが無言で、かつ強力に放つ私たちへのメッセージのように思えてならない。「生きるってこういうことだよ」と。

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