株式投資になかなか一歩を踏み出せない人にとって、大きな疑問の一つが「なぜ株価が上がるのか?」ではないでしょうか。株式投資に詳しいライターに、投資家の間で最近話題となった企業(銘柄)を取り上げ、「なぜ株価が上がったのか?」を解説してもらいました。

半年で最大4.2倍になったユーグレナ株

ユーグレナという会社をご存じですか?便秘などによく効くミドリムシの粉末サプリメントを作っている会社です。テレビや雑誌でも話題になったので聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

ユーグレナは投資家の間でも人気が高く、アベノミクスの成長戦略のシンボル的な株になりました。その株価は、東証マザーズ上場後から半年ほどで最大4.2倍となりました。もし上場したときに株式を持っていたら、現在(2016年3月18日時点)も4.7倍ほどの資産価値があります。

なぜユーグレナはここまで人気があるのでしょうか? それは、ユーグレナという企業に「夢」があったからなのです。

ユーグレナってどんな企業?

ユーグレナは2005年にバイオベンチャーとして設立され、まだ設立10年程度の若い会社です。2012年に東証マザーズという成長企業向けの株式市場に新規株式公開(IPOとも呼びます)を果たしました。2014年には東証一部という日本を代表する市場に昇格しています。

ユーグレナの社名は、同社が生産している微細藻類ミドリムシの学名「ユーグレナ」に由来しています。

ミドリムシは、栄養価の高い健康食品の原料やバイオ燃料になることが知られていましたが、量産技術が確立されていませんでした。ユーグレナ社長の出雲充氏は東京大学農学部在学中から、この微細藻類が世界の「食料問題」と「環境問題」を解決する可能性を信じ、2005年8月に仲間と起業しました。

起業から4カ月後の同年12月には、東京大学、大阪府立大学、近畿大学等の研究室、およびJX日鉱日石エネルギー、日立プラントテクノロジー、清水建設など民間企業の協力により、世界で初めてミドリムシの屋外大量培養に成功しました。業績は、機能性食品、化粧品向けなどのヘルスケア分野を中心に拡大してきています。

人気の秘密はわかりやすい「夢」

ユーグレナ株がIPO後、大人気となったのは、個人にも判りやすい「食料問題」と「環境問題」を解決するかもしれないという夢があったからです。

特にバイオ燃料としてのユーグレナの可能性です。ちょうどユーグレナがIPOする前後の2012年~13年は原油価格が100ドルを超え、ガソリン価格が1リッターあたり180円を付けるなどエネルギー価格が急騰していました。

石油価格の高騰と環境問題の高まりから、再生可能エネルギーが話題になりはじめたのもこの頃です。ユーグレナはバイオ燃料での期待が高く、東大発ベンチャーという話題性もあり、判りやすいテーマであることから個人投資家に人気化したのです。

初値は公開価格の2倍!

2012年12月末、東証マザーズにIPOしたユーグレナの株価は過熱気味にも見えました。最初に付いた値段(初値)は、IPO時の売り出し価格(公募価格)である1700円の2.3倍の3900円になったのです。

ちなみに公募価格・初値とは何か、というお話をしますと、企業はそもそも資金調達や株主増加のために株式の売り出しをします。売り出し株を買いたい人は、IPOの幹事証券会社に購入の申し込みをします。購入希望が売り出し株数を上回る場合、抽選などの方法で売り出し株が投資家に配分されます。この値段が公募価格です。そして上場後、市場で最初に付く値段が初値です。

幸運にもユーグレナ株が公募価格で買えた投資家は、100株で17万円だったものが、初値では39万円になりました。

熱狂は長期間続いて…

熱狂はこれだけではすみませんでした。ユーグレナのすごいところは、その後も人気が長期に渡って継続したことです。もちろん2013年といえば、アベノミクスによる株価の急上昇が始まった年です。ユーグレナがアベノミクスの成長戦略のシンボル的な株となったこともあり、2013年5月につけた上場来高値は1万6510円と初値の4.2倍となりました。

公募株を手に入れられなかった投資家が、初値後に市場での買いに殺到したのです。仮に100株を初値の39万円で買ったとすると、それが5カ月後に165万1000円になり、126万1000円の利益を生みました。

これは極端な例かもしれませんが、こういう夢があるのが株式市場です。

いまも株価は倍以上のまま

ユーグレナの株に興味がある方は、Yahoo!ファイナンスなど株式関係のウェブサイトにて証券コード2931で簡単に見ることができます。2016年3月18日時点の株価は1604円になっています。ずいぶん下がっているように見えるかも知れません。

ユーグレナは、株価が急騰した事もあって、2013年の3月には1株を5株に株式分割しています。したがって、ユーグレナ株をIPO時に100株持っていた投資家は、今は株数が500株に増えていることになります。現在の1604円は実質8020円の価値があることになります。

さすがに昨年来、原油が大幅に下がったことで、再生エネルギーへの期待は一時期ほどの過熱感はありませんが、それでも初値で買った人にとって、株価は倍以上のままです。

まだまだ夢の続きを

ユーグレナは2014年12月には東証マザーズ市場から東証1部に昇格しました。たった2年で日本を代表する市場まで登りつめました。

バイオ燃料についても夢のままではなく着実に進んでいるようです。2015年12月には、国産バイオ燃料計画として、横浜市、千代田化工建設、伊藤忠エネクス、いすゞ自動車、全日本空輸とともに、横浜市鶴見区にジェットとディーゼルのバイオ燃料2種を製造する実証プラントを建設することを発表しました。

18年前半に稼働させ、20年以降に商業化を目指す計画です。20年には、バイオジェット燃料を使った航空機の有償フライト、次世代バイオディーゼル燃料を使ったバスの公道走行を日本で初めて実現させるタイムテーブルになっています。

ユーグレナ株は初心者には向いていない?

ユーグレナ株自体は、値動きが激しく初心者には向かないという見方もあります。ただ夢を信じて持ち続けるという投資方法もあります。ソニー、セブン&アイズ、Yahoo!などの株をIPOの時に最低単位だけ買って持ち続けていれば、株価の値上がり、増配、分割等で、資産価値は1億円を超えているそうです。

金融のマーケットは数字ばかりで面白くないと感じる人もいるかもしれませんが、実はこんなストーリーが隠れており、このストーリー性が投資家を惹きつけている側面があるのです。

平田 和生
慶応大卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダー。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして活躍。現在は主に個人向けに資産運用を助言。

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