記事提供:サイゾーウーマン

年齢20代、月収35~40万円。歌舞伎町、六本木のキャバクラ嬢の平均収入層だ。ただ、これは都心のキャバクラ嬢というほんの一部の層にしかすぎない。

首都圏を離れると、月に20日出勤しても半分ほどの20万円前後しか稼げていないキャバ嬢もたくさんいるという。水商売で働きながらも、厳しい生活を強いられている地方のキャバ嬢の実態に迫った。

接客してない間、時給がつかない「待機カット」

今回、話を聞いたのは、大阪市内在住のみづきさん(仮名・25歳)。彼女は20歳で子どもができたことをきっかけに、当時付き合っていた男性と結婚した。2人の子どもに恵まれたが、結婚生活は3年しか続かなかった。

「夫は家庭にお金をほとんど入れない人でした。配管の下請けの仕事をしていたんですけど、週に2、3日しか働かなくて、お給料は全てギャンブルに使ってました」

元々、キャバクラで働いていたみづきさんは、夫の給料は当てにできないと、週に5日、地元のスナックで働いて生活の足しにしていたという。

「子どもは夫に預けてました。生活費は入れてくれないけれど、子煩悩な人だったので。でも、そんな生活が続くと、私のお給料を頼るようになって、夫はついに仕事を辞めてきたんです」

夫の突然の「主夫宣言」にみづきさんは、離婚を決意。離婚は親権を巡って難航したが、養育費を受け取らないという条件で、子どもはみづきさんが引き取る形となった。離婚してからは神戸の実家に戻り、スナック勤めをしながら、両親に子どもの面倒を見てもらう生活が続いた。

しかし、母親が体調を崩し、子どもを預けることができなくなってしまった。頼る場所をなくしたみづきさんは大阪に戻り、夜間保育園と提携しているキャバクラを探し、働くことになった。

子どもは現在、2歳と4歳。夜間保育は月~土曜日預かりの月極めで2人合わせて6万円以上。そのほか食事やお風呂など追加料金を合わせると月9万円近くを支払っている。

普通の保育園よりも割高だが、キャバクラの時給は、地元のスナックの頃に比べると倍になったという。ただ、キャバクラの給与も月によってばらつきがある。

「勤務時間内でも、保証時間を過ぎると『待機カット』といって、接客してない間、時給がつかない仕組みになってるんです」

この「待機カット」は、風営法の目をかいくぐり、深夜まで営業している店が多い関西地方ではよくある勤務体制だという。

店のオープンから午前0時、または午前1時までと、保証時間は異なるが、その時間を過ぎると接客しなければ時給がつかない。客が入るか、自分で客を呼ばない限り、無給で待機しなければいけない。

「夜間保育は1日8時間までで、店の営業時間は6時間。同伴やアフターはできないので、ほかのキャストと違ってお客さんはつかみにくいです。子どもが風邪をひいたら預けられないので、出勤できなくて罰金を取られることもあります。

そこから所得税や送迎代を引かれるので、お店が暇な時期だと、月手取り20万円程度。児童扶養手当を合わせても、家賃と夜間保育代でほとんど飛んでしまい、一時は風俗と掛け持ちしたこともありました」

子どものためにも昼間の仕事をしたいというのが本音だ。しかし、昼間の保育園も夜間以上に空きがなく、今の店で働くことで何とか預けられている状態。たとえ生活が苦しくても、「今、店を辞めるわけにはいかない」とみづきさんは語気を強めた。

夢を追って掛け持ちでキャバクラ勤め

キャバクラで働いていても、生活が厳しいのは、みづきさんのようなシングルマザーだけではない。まいさん(仮名・21歳)はパティシエの夢を持って、専門学校を卒業後、和歌山から神戸へ出てきた。

スウィーツレストランでパティシエの見習いの仕事も決まり、神戸市中心部から少し離れたアパートで1人暮らしをしている。パティシエの月給は手取り17万円程度。ボーナスはなく、家賃や生活費、独立資金のための貯金を引くとほとんど残らないので、夜はキャバクラでバイトしている。

「時給3,000円~!週1から働けます!」と書かれた求人を見て入店したが、現実は厳しいものだった。「3,000円というのは、週4日以上出勤、営業時間オープンからラストまで働ける、レギュラー出勤の時給でした」

まいさんのパティシエの仕事は朝8時から夕方5時。キャバクラは夜8時から深夜2時までの営業なので、そこから送迎を使うと家に着くのは深夜3時過ぎになってしまう。まいさんは朝が早いため、終電までしか働けない。

週3日、オープンから終電までの勤務で、店側から提示された時給は2,300円。それでも1日4時間は働けるので、生活の足しくらいにはなるだろうとはじめは思っていた。しかし、店が暇だと早上がりさせられたり、女の子の出勤が多いという理由で、出勤を削られる日が続いた。結局、実際にまいさんが働けた時間は、週1日で3時間ほどだった。

「レギュラー出勤のキャストは新規の客につくけど、私みたいに掛け持ちのキャストは、レギュラー客のヘルプにしかつけさせられません」

新規客をつかむことはおろか、ヘルプ回りばかりで営業をかけることもできない。最近ではシフトを入れても、店側から「女の子が足りない日だけ連絡する」と言われる日が続いている。

ほかの店に移ることは考えないのか、と筆者が問うと、「ノルマも、遅刻や当日欠勤などの罰金もないし、何よりお給料が全額日払いでもらえるからラクなんですよね」と、まいさんはつぶやいた。

華やかに見えるキャバクラ嬢たちも、「子どものため」「将来の夢のため」といった事情を抱えて働いているケースが少なくない。その上、地方では、地域間の賃金格差などが深刻度を増しており、昼間の仕事だけに専念したくてもできない。都心から離れた夜の蝶たちの闇は広がるばかりだ。

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