出典株式会社NAO

知ってるようで知らない、だけど気になるあのシゴトをSpotlight編集部が深掘り取材するコーナー「シゴトペディア」。今回は男性中心の業界で働く女性たちの仕事に迫ります。

世の中には、男性が大半を占めている仕事がいくつかあります。その中のひとつに挙げられるのが「トラック運転手」

ですが、近ごろでは女性のトラック運転手も増えており、彼女らを通称「トラガール」と呼んでいます。国土交通省も、女性トラック運転手をさらに増やそうとトラガールのPRをしており、その効果も出ているとか。

とはいえ、あくまで男性中心の業界。しかも体力を使いそうなトラック運転手となると、肉体的にも大変そう。ということで、実際のトラガールにお話を伺ってみました。

今回インタビューをお受けいただいたのは、株式会社NAOの代表取締役・中野菜穂さん。じつは彼女、もともと漬物の卸事業を行う会社の社長でしたが、途中から運送業にも挑戦。みずからトラガールとして働き始めたそうです。

女性社長がいきなりトラック運転手になったワケ

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株式会社NAOの代表取締役・中野菜穂さん

――卸事業の社長だった中野さんが、どうしてトラガールに挑戦したのですか?

「卸事業では必ず物流が発生します。それを『自分でやってみたら面白いかも』と思ったのがきっかけですね。いずれは会社全体で運送業をしたかったので、免許より先にトラック運転手の『運行管理者』という必須資格を取りました。合格率が30%を切るような資格で不安だったのですが無事合格し、それから大型免許を取って、トラガールになりました」

普通は物流会社の社員として経験を積むものですが、中野さんは免許を取るといきなり自分一人でトラック運転手の営業をし始めたそう。このころは「周りの人にもかなり驚かれた」といいます。

――未経験で男性の業界に飛び込んだとのことですが、最初は大変だったのでは?

『お前何しにきたんだ?』と言われましたね。受け入れてもらうのも時間がかかりました。ただ、現場の人に挨拶周りをしていくうちに、徐々に話していただいて…。そうやって、いただいた仕事をこなすうちに、溶け込んでいきました」

女性ならではの「特権」とは

――そもそもトラックの運転手は、どんな作業をしているのでしょうか?

「荷物の載せ方、積み方は重要で、安全に走行するために、前方または後方よりに荷物が偏らないように積み方を考えたり、載せた際にいかに商品を安全に運ぶことができるか工夫しています」

――荷物を積んだり下ろしたりする際は、女性だと大変なのではないでしょうか…?

「荷物の積み下ろしは機械でやることも多いので、そこまでではありません。それよりも、荷物を積んだ後の“シート掛け”が大変です(笑)。私の乗っているトラックは軽トラックが大きくなったようなタイプで、その荷台にかけるシートがすごく重いんです。そこは毎回苦労しますね」

そんな時には現場の人が手伝ってくれるようで、「女性ならではの特権かもしれません」と笑みを浮かべながら語ってくれました。

トラガールが一番苦労するのは「トイレ」

出典株式会社NAO

――力仕事以外に、女性ならではの大変さを感じる場面はありますか?

「女性が一番つらいのはトイレですね(笑)。大型トラックは止められる場所が少ないので、本当にトイレ探しが大変なんです。男性は、最後の手段としてどこかしらで済ませられますが、女性はなかなか…。ですので、運行が決まった時点でまずトイレスポットを調べます

――気軽にトイレに行けないというのは辛いところですね…。

「ほかにも辛かったという意味で忘れられないのは、太陽光発電のソーラーを運んだとき。ソーラーは山奥に運ぶことが多くただでさえ大変なのに、ある日大雨で地面がぬかるんで、何度もタイヤがハマってしまって…。『二度と行きたくない!』と思いました(笑)」

その際も、現場の人が総出で手伝ってくれたとのこと。中野さんは「そうした優しさや、荷物を届けたときに喜んでいただけるのが仕事のやりがいです」と語り、「いろいろな土地に行けて、ご当地料理を楽しめるのもメリットですね」とも教えてくれました。

――最後に、今後の目標はありますか?

「運送業は高齢化が進んでいます。でも、運送はライフラインの一つでもあり大切なもの。ですから、男性女性に限らず、若い人にどんどん入ってきてもらいたいですね。そのためにも、賃金や仕事内容など、運送の仕事が少しでも良い環境になるよう業界全体に働きかけていきたいです」

男性の多い運送業界の中で輝くトラガール。今後さらに環境が整備されてくれば、「トラガール」という言葉が必要ないぐらい女性の姿を見つけることが容易となっていくことでしょう。

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