出典 http://ddnavi.com

子どもを「ちゃんとしつけなくては」と思うあまり、つい厳しく叱りすぎたり、怒鳴りつけてしまったりすることはないだろうか。あるいは、スマホに気を取られているうちに、子どもをつい放ってしまっていることはないだろうか。

いま、こうした「ふつうの親」が行ってしまう日常の行為が、子どもたちの精神に重大な影響を及ぼしている。

子どもの心の問題の背景には、子育てをする親の孤立、精神的に追い詰められた親が子どもを追い詰める「プチ虐待」の問題がある。そう指摘するのは、『「プチ虐待」の心理まじめな親ほどハマる日常の落とし穴』(青春出版社)の作者である、明治大学教授で臨床心理士の諸富祥彦氏。

諸富氏によれば、学校現場では「家だけいい子、学校で暴れる子」が年々増加傾向にあり、30人クラスのなかに5~6人もいるのが当たり前となっているという。

友達とトラブルを起こしたり、先生から注意されたりするなど、ちょっと不快なことがあるとパニックになり、突然「かんしゃく」を起こし、「イヤだー!イヤだー!」と泣き叫んだり…。モノに当たりモノを投げたり壊したり、友達に暴力を振るい続けたり…。

家では「いい子」なのにも関わらず、学校に行くと感情のコントロールが効かなくなってしまうという子どもが急増している。

その原因は、学校にあるのではなく、家庭内にある。諸富氏は、親たちが子どものためを思ってしてきたしつけによって、子どもを知らず知らずのうちに「プチ虐待」してしまったことが、この原因にあると考えている。

日本の親は「ものすごく甘い親」か「ものすごく厳しい親」のどちらかに極端になってしまう傾向がある。「ほどほど」に甘く、「ほどほど」に厳しい親が望ましいが、それはなかなか難しく、いずれの場合も、学校で「手のかかる子」となりやすい。

特に厳しすぎる親に育てられた子どもは、親のことを心底恐れ、家では、常に緊張を強いられ、「家ではいい子」として生活している。「プチ虐待」でたまった「やり場のないつらい気持ち」を、親の目の離れた園や学校で発散し、学校などで衝動的に暴れてしまうのだ。

また、その他に、「スマホ・ネグレクト」が原因となっている場合もあるという。スマホに依存している親が知らず知らずのうちに子どもたちを無視し、子どもたちの心の成長を妨げている可能性があるのだ。

ある報告では、スマホ依存によって赤ちゃんの親を見つめるまなざしが、少なくとも一日に30~40回、無視され、放置されているという。親に無視され続けた子どもは、本来育つべき子どもの「心」が健全に育っていく基盤が育たない。

不快なこと、イヤなことを心の内側にためておけず、感情のコントロールができない。人への不信感があるため、長期的な信頼関係が築けず、人間関係もうまくいかないまま、成長していってしまう。

子を持つ親たちは、子どものためを思ってしてきたこと、無意識のうちにしてきたことがまさか「プチ虐待」となっていたかもしれないなんて驚きだろう。

「プチ虐待」を止め、子どもの「心」の成長を正常に戻すためには、まずは、親としての自分の行動を見直し、「プチ虐待」をしていた可能性に「気づく」ことから始めるしかない。

気づいたうえで、子どもとの向き合い方を考えていくしかない。「ほんものの虐待」にならぬようにふんばること。気づいた時点で、ストップし、それ以上エスカレートしないようにすること。

諸富氏のこの本は、子どもを持つ親にとって、我が子への接し方を見直す第一歩となりそうだ。

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